28.沓掛道中
鏡五郎・佐野文香
作詞:木下龍太郎
作曲:山崎剛昭
(男)擦れて痛むか 草鞋の紐が
(男)旅はつらかろ 女には
(女)世話をかけます 浮き世の縁で
(女)足手まといの 母子(おやこ)連れ
(二人)夫婦もどきの 旅姿 お絹 沓掛 時次郎
(セリフ)「渡世の義理とは言え お絹さん 私(あっし)は
ご亭主をこの手に掛けてしまいやした。
償い切れねぇ罪ほろぼしの真似事に
お内儀(かみ)さんと太郎吉坊は 沓掛の時次郎
この身に代えて一生面倒見させていただきやす。」
(男)好いちゃいけない 亭主の仇
(男)憎みながらも 恋ごころ
(女)惚れちゃならない 罪ほろぼしが
(女)せめてこの世で 済むまでは
(二人)けむり三筋の 浅間山 影も三っつの 中山道
(セリフ)「私が弱いばっかりに……薬代のために時次郎さんを
やくざ出入りの助っ人に行かせてしまった。
二度と刀は持たないと心に決めて足を洗った方なのに。
私たち母子(おやこ)のために いいえ
このお絹のために戻ってください時次郎さん…」
(男)一度限りさ 一度は捨てた
(男)長脇差(ドス)を抱いての 助っ人は
(女)生きて戻って 私のために
(女)たとえ手傷を 受けるとも
(二人)いつか心は 固結び お絹 沓掛 時次郎
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