1.人生一代男花
作詞:久保進一
作曲:山田年秋
演歌ひとすじ やるぞと決めて
浮世こがらし 流し唄
通天閣の赤い灯よりも
燃えるこの花 男花
引くな人生 俺の道
縄ののれんに 肩叩かれて
くぐる横町の 屋台酒
陰にまわって 支えてくれた
可愛いお前が いればこそ
真一輪 花となる
俺の出番と 薄陽がさせば
廻り舞台の 幕が開く
道頓堀の 水面に映す
度胸千両の 晴れ姿
人生一代 男花
2.ふたりの花道
作詞:水木れいじ
作曲:久保進一
酒じゃ消せない心の憂さも
おまえいりゃこそ 耐えられた
日陰町から苦労坂
ささえてくれたね永いこと
今日からふたりのふたりの花道を
他人に踏まれた世渡り下手の
どこに惚れたか恋女房
つらい世間にすねていた
似たもの同士と言うおまえ
今日からふたりのふたりの花道を
敷居またげば男の世界
あとは頼むよこれからも
晴れの門出と抱きよせて
見上げる夜空に春の月
今日からふたりのふたりの花道を
3.露地裏
作詞:海老原秀元
作曲:桜田誠一
からからと木枯らしに 泣きながら
空き缶がとぶ板を ころがった
踏まれても 踏まれても
それが浮世のさだめなら
裾のほこりはなぁ・・・
笑ってはたこうぜ
古傷に沁みるのさ その演歌は
置き去りのあのひとを 思い出す
好きだって 好きだって
二度と帰らぬ 故郷なら
罪なたよりはなぁ・・・
出さずにすまそうぜ
しんしんと降りしきる 雪をみて
露地裏の居酒屋で 酒を呑む
辛くても 辛くても
明日に希望が あるのなら
今日の苦労はなぁ・・・
黙ってたえようぜ
4.夫婦盃
作詞:水木れいじ
作曲:水森英夫
遅れて来た春かみしめながら
久しぶりだね さしむかい
命ふたつのおもいで月夜…
苦労かけたと抱きよせて
夫婦 盃…おまえと 水いらず
しがない俺らを男にすると
影に日向に 尽くす女房
命ふたつの裏町ぐらし…
湯の香ほんのり口紅させば
夫婦 盃…おまえは きれいだよ
川面のおしどりごらんよ おまえ
惚れて惚れぬく あの姿
命ふたつの 海山千里…
何処へ流れてゆこうとも
夫婦 盃…おまえと ふたりづれ
5.うちの女房
作詞:もず唱平
作曲:市川昭介
女将さん うれしいよ
燗の地酒に 風呂吹きかぶら
久しぶりだよ 我が家の気分
こんな夜は 想い出す
一ツ違いの姉さん女房(にょうぼう)
できたヤツだった あゝうちの女房
今だって 惚の字だよ
咲くも咲かぬも 人生ドラマ
あたし脇役 あなたが主役
なんていい このオレを
立ててくれたよ過ぎたる女房(にょうぼう)
できたヤツだった あゝうちの女房
もう一度 逢いたいよ
この手握って 今わの際に
忘れ形見を 泣かせぬために
好い人を 探してと
笑顔無理して作った女房(にょうぼう)
できたヤツだった あゝうちの女房
6.夫婦劇場
作詞:水木れいじ
作曲:松浦孝之
俺に甲斐性が あったなら
とおに倖せ やれたろに
夫婦劇場 ないないづくし
着のみ着のまま つれ添って
いくつ越えたか 苦労坂
愚痴のひとつも こぼさずに
他人は他人だとついて来た
夫婦劇場 ないないづくし
春と想えば 冬が来て
酒のうまさが わかる歳
ごらん緑の あの松葉
ふたりづれだよ 枯れるまで
夫婦劇場 ないないづくし
泣いて 笑った 人生に
明日は陽がさす 花が咲く
7.天翔の舞
作詞:浜大介
作曲:山中博
天に羽ばたけ 星雲越えて
芸にいのちを 賭けて翔べ
夢は雄々(おお)しく 新たな世紀(とし)の
檜舞台を 踏みしめながら
あゝ天翔の 晴れの門出の 舞い姿
浮世荒波 艱難辛苦(かんなんしんく)
おとこ一代 受けて立つ
望み豊かな 明るい御代(みよ)に
燃える心を 一途に生きる
あゝ天翔の 祝賀重ねて 四季を舞う
光り輝く 黎明(よあけ)の空に
昇る金龍 雲の果て
千代に栄えて 吉祥天(きっしょうてん)の
雅極める 男の姿
あゝ天翔の 宴(うたげ)寿(ことほ)ぐ 舞い扇
8.鞍馬の火祭り
作詞:鈴木信子
作曲:四方章人
夜空に火を吐く 大松明(だいたいまつ)を
背負えば男が 弾けて燃える
俺の故郷 鞍馬の火祭り
「祭礼や最良」
「祭礼や最良」
掛け声篝火 舞い散る火の粉
おやじが担いだ 甲斐性松を
今夜はこの俺 度胸で担ぐ
裸一貫 鞍馬の火祭り
「祭礼や最良」
「祭礼や最良」
命火燃やして 男を焦がす
男は千両 金張り神輿
あの娘は手松で 足元照らす
夢をゆさぶれ 鞍馬の火祭り
「祭礼や最良」
「祭礼や最良」
根性ひとつで 祭りを飾る
9.いで湯の宿
作詞:木下龍太郎
作曲:久保進一
湯舟に浮かぶ 三日月を
手桶で掬(すく)い 湯を浴びる
きれいな肌で 抱かれたい
最後なら…
もう戻れない 元の二人に
いで湯の宿
障子の陰の 虫の音は
私の胸の しのび泣き
浴衣の袖を 押し当てて
乱れたら…
もう見られない 夢の続きは
いで湯の宿
別れの朝は 明けたのに
袂に隠す 時刻表
汽笛はここで 聴くつもり
辛いから…
もう戻れない 元の二人に
いで湯の宿
10.忍び傘
作詞:仁井谷俊也
作曲:影山時則
三ヶ月(みつき)待たせて 逢うのはひと夜
口紅(べに)をさす手が 震えます
蛇(じゃ)の目…せせらぎ…人恋しぐれ
私だけです 今夜の貴方
ひとり来ました… あゝ忍び傘
一度抱かれりゃ おんなは弱い
堕ちて溺れる 深い闇
吐息…黒髪… 人恋しぐれ
愛に泣いても 悔やみはしない
いのち一途な… あゝ忍び傘
朝よこのまま 来ないで欲しい
憎い寝顔の 愛おしさ
なみだ…残り香… 人恋しぐれ
添える明日は なくてもいいの
夢に生きます… あゝ忍び傘
11.浪花人情
作詞:水木れいじ
作曲:岡千秋
なんぼ上手に 儲けてみても
持って死なれる 銭はない
浪花人情 紙芝居…
酔うて 見栄きる ド甲斐性なしに
つくす可愛い ゝ おまえという女
生まれついての 極楽トンボ
苦労水掛け 法善寺
浪花人情 しのび雨…
愚痴もこぼさず 傘さしかけて
ほろり泣かせる ゝ おまえという女
空を見上げりゃ 通天閣は
ドンとどでかい 夢灯(とも)す
浪花人情 明日(あす)に咲け…
肩を抱きよせ 行く花道に
春を呼ぶよな ゝ おまえという女
12.山内一豊の妻-女の賦
作詞:藤間哲郎
作曲:山崎幸蔵
二千石でも 百石ぐらし
禄(ろく)をはむより 人を取る
着のみ着のまま なんのその
うしろ姿の 頼(たの)もしや
千代は千代です 千代の一生
ああ あなたに決めた
女子(おなご)かしこく なること勿(なか)れ
母のことばを そのままに
生きて戦国 また生きて
二人三脚 いばら道
千代は笑顔で 千代はいくどか
ああ 別れに泣いた
土佐の太守(たいしゅ)の まぶしいお顔
妻の冥利(みょうり)と おがみます
琵琶湖恋しや 長浜が
夢にうつつに 揺れている
千代はあなたと 千代はあの世も
ああ また次の世も
13.春という名の女
作詞:もず唱平
作曲:遠藤実
春よ来い 春よ来い 春よ早く来い‥
物ごころつかない ガキの頃に
嫁いだ母の 俤しのべば
こらえきれない この涙
風の便りに 苦労を重ねて
齢よりふけていたという
母は宿命に不似合いな
春という名の 女だった
「おまえに惚れたのは確かだ。
お前を倖せにしてやりてェ、
そうも 心底思っているんだ。
けどよう‥‥‥
このオレの心の奥底に、
もっと恋しい人がいるんだ。
ごめんよ、勘弁しておくれ‥‥‥
オレのお袋さんだよ。
“春よ来い 春よ来い来い 早く来い”
オレの手を引きながら歌っていた、
あの時の俤と手の温み‥‥‥。
三つ四つで訣れた親をと、
お前は笑うかも知れねェが、
お袋を不倖せのままにして、
オレが倖せになるわけには
いかねェんだよ。」
いつまでも 若くはないとすがる
お前の言葉 忘れちゃいないが
待っておくれよ もう少し
白髪まじりの 賄い女が
こんなに寒い冬の夜
枕ぬらしちゃいないかと
薄い縁でも 気にかかる
春よ来い 春よ来い 春よ早く来い
春よ早く来い‥‥‥
14.深川しぐれ橋
作詞:松井由利夫
作曲:吉田矢健治
帯の結び目 逆手で締めて
霧をひと吹き 潔め酒
情け着流し 男の道は
胸に三寸 ぶちこんだ
義理の楔が 義理の楔が 守り札
(セリフ)生きるのも けじめ 死ぬのも けじめ
けじめだけはきっちりとつけて
男の道を歩いて行こうと思っております
男いのちの 観音開き
好いた惚れたじゃ 閉じられぬ
酒の力を 借りてじゃないが
すがる片袖 ふりはらい
涙ひとつぶ 涙ひとつぶ 反古にする
(セリフ)涙は瞼でとめて 言いたいことは呑みこんで
それでいいんだ それがあいつのあいつのためなんだ
一度かぎりで 二度ない浮世
濡れりゃ躓く 戻り雨
花は散るから その実が残る
意地のけじめは きっちりと
つけて辰巳の つけて辰巳の しぐれ橋
15.酒しぐれ
作詞:関口義明
作曲:宮下健治
いくら惚れても 尽くしても
所詮結べぬ えにし糸
酔えば未練が なおさらつのる
女ひとりの 夜ふけごろ
指にこぼれる ああ 酒しぐれ
男ごころの 嘘・まこと
知らぬうぶでは ないけれど
風の音にも かすかに痛む
夢の数かず 思い出を
なんで濡らすか ああ 酒しぐれ
吐息まじりの こぼれ灯が
路地に咲いてる 花暖簾
忘れきれない 面影ばかり
浮かぶお猪口を 何としょう
胸にそぼ降る ああ 酒しぐれ
16.赤垣源蔵・徳利の別れ
作詞:木下龍太郎
作曲:保田幸司郎
一升徳利を 手土産に
雪降る中を 饅頭笠
これが今生の 別れなら
酒で敷居は 高けれど
兄をたずねる 暇乞い
(セリフ)義姉上さま 赤穂浪人
呑んべえのこの赤垣源蔵
やっと仕官が叶い、お別れに参上致しました。
兄上がお留守とあらば、そこに掛った小袖を兄上と思い、
別れの酒を一献傾けとうござりまする。
人は一代 武士は
その名を惜しめ 末代も
下手な謡曲を 口ずさみ
膳を間に 懐しき
黒の小袖と 差し向い
(セリフ)明十五日 寅の刻
吉良邸へ討入り致します。
二度と生きては戻れぬ身ならば、
せめて せめて一目なりともお逢いいたし
別れの酒を酌み交しとうございました。兄上様!
明日の討入り 身仕度を
急かせて鳴るか 鐘七つ
残る浮世の 未練やら
払う先から 降り積もる
雪が重たい 赤合羽
17.惚れて候
作詞:原文彦
作曲:鈴木満
夢を抱くよに おまえを抱いて
男泣きした あの夜は
咲き急ぎ 散り急ぐ おまえのために
おれが苦労を 背負ってやる
もどる道など ないんだよ
惚れて候 おまえになァ
雨がみぞれに みぞれが雪に
変われば燃える 肌の色
こんなにも いとおしい やさしいおまえ
過去がつらくて 泣くだろが
いいさ泣きなよ 好きなだけ
惚れて候 おまえになァ
夢があるなら つかみに行こう
逃げたら夢は 遠ざかる
これからの 人生を おまえと生きる
男ごころに 嘘はない
離しゃしないよ 離さない
惚れて候 おまえになァ
18.おまえはかすみ草
作詞:鈴木信子
作曲:奈和成悟
蔭であなたを 支える花に
私なるのと 微笑むおまえ
いつも気ままで いつも勝手で
幸せやれぬ 俺なのに
尽くしてくれるよ いい女だ
一緒に咲こうよ おまえはかすみ草
夢に向って ひたすら歩く
そんなあなたに 惚れたのと云う
苦労かけても 涙見せずに
笑顔でいつも 耐えている
可愛いい女だよ 離さない
一緒に咲こうよ おまえはかすみ草
ふたり咲いたら 目立って映える
ひとりだけでは 映えないふたり
いつも離れず 側にいてくれ
いのちを重ね 暮らそうよ
いつかは陽のさす 春が来る
一緒に咲こうよ おまえはかすみ草
19.御陣乗太鼓
作詞:鈴木信子
作曲:山崎剛昭
波が牙むく 能登の海
山を背負った 名舟町
夢の厳しさ 辛さに耐えて
しっかり生きろと 御陣乗太鼓
情け一打ち 涙で二打ち
いのちの響きだ 故郷の華だ
漁はおまえと 二人舟
冬は出稼ぎ 浪花路へ
どこへ行っても 心の奥に
聞えて来るのさ 御陣乗太鼓
夢で一打ち 心で二打ち
守ってゆきたい 響きの絆
稽古稽古で 実を結ぶ
俺は夜叉面 六人衆
強さ哀しさ 冷たさ弱さ
生きざま刻んだ 御陣乗太鼓
意地で一打ち 根性で二打ち
荒浜篝火 あかあか燃える
20.雪の桜田門~あゝ井伊大老
作詞:山北由希夫
作曲:吉田矢健治
黒船前にして 江戸城は
攘夷開国(じょういかいこく) 揺れ動く
たとえ刺客に 出逢うとも
男大老 決意する
あ…… 明日の日本を 救える道は
開国以外に 道はなし
(セリフ)
宵節句というに季節外れの雪ではござらぬか。
水戸の白梅が彦根の赤鬼を斬るには持ってこいの雪だ。
おのおの方、革新の大義をはたすには……「雨でもない」
……「風でもない」……大雪あるのみじゃ
めざすは大老(たいろう) ただ一人
水戸の浪士(ろうし)は 斬るという
時は三(さん)月 登城日と
かたい約束 誓う酒
あ…… 菊は二度咲く 葵は枯れる
西からくつわの 音がする
(セリフ)
諸大名の行列がと絶えたあとである。
めざす彦根の一隊が一本道具を先に立て、
およそ同勢六十人、いずれも赤合羽にかぶり笠、
「下にー下にー」と進み出た。
見物するように 見せかけて
彦根行列 駕籠(かご)を待つ
不意をつかれた 大老は
桜田門の 雪と散る
あ…… 花の生涯 白刃の舞いに
むなしく天誅(てんちゅう) 受けて死す
21.風花の宿
作詞:大沢浄二
作曲:大沢浄二
春にはすこし 早いけど
ひとりたずねる 山の宿
涙を湯舟に 落として泣けば
季節はずれの 風花が
チラチラむなしい 風花の宿
強く抱かれて 幸せに
暮らすことさえ できません
胸にくすぶる 残り火さえも
逢えぬつらさに なお燃える
どうすりゃいいのよ 風花の宿
命を燃やした 旅路の春を
酒に浮かべて 涙ぐむ
幸せうすい 運命(さだめ)が憎い
22.道頓堀人情
作詞:若山かほる
作曲:山田年秋
ふられたぐらいで 泣くのはあほや
呑んで忘れろ 雨の夜は
負けたらあかん
負けたらあかんで東京に
冷(つ)めとない やさしい街や道頓堀(とんぼり)は
未練捨てたら けじめをつけて
きっぱり今日から
浪花に生きるのさ
くちびるかんでも きのうは過去や
わかるやつには わかってる
負けたらあかん
負けたらあかんで東京に
冷(つ)めとない やさしい街や道頓堀(とんぼり)は
でんと構えた 通天閣は
どっこい生きてる
浪花のど根性
三吉魂 あんたにあれば
うちが小春に なりもしょう
負けたらあかん
負けたらあかんで東京に
冷(つ)めとない やさしい街や道頓堀(とんぼり)は
ほれてつきあう 今夜の酒は
まっ赤に流れる
浪花の心意気
23.残り雪
作詞:水木れいじ
作曲:桜田誠一
ひとつ枕に 身をよせながら
なぜに結べぬ さだめの糸よ
人目しのんだ 別れの旅も
今日で最後の あゝ 夢一夜(ひとよ)
情けに染まれ… 残り雪
灯りおとして 紅ひもとけば
匂うほのかな 湯上がり化粧
あとがつくほど この指噛んで
すがるおまえが あゝ いじらしい
舞い散る恋の… 残り雪
燃えたふたりの 幾春秋(いくはるあき)が
みんな夢なら 忘れもしよう
尽きぬなごりに 酒くみあえば
いつか夜明けの あゝ 風の宿
命につもれ… 残り雪
24.瞼の母
作詞:坂口ふみ緒
作曲:沢しげと
軒下三寸 借りうけまして
申しあげます おっ母さん
たった一言 忠太郎と
呼んでくだせぇ 呼んでくだせぇ
たのみやす
(セリフ)
おかみさん、今何とか言いなすったね
親子の名のりが したかったら
堅気の姿で尋ねて来いと言いなすったが
笑わしちゃいけねえぜ
親にはぐれた子雀が
ぐれたを叱るは 無理な話しよ
愚痴じゃねぇ 未練じゃねぇ
おかみさん 俺の言うことを
よく聞きなせぇ
尋ね 尋ねた母親に
倅と呼んで もらえぬような
こんなやくざに 誰がしたんでぇ
世間の噂が 気になるならば
こんなやくざを なぜ生んだ
つれのうござんす おっ母さん
月も雲間で 月も雲間で もらい泣き
(セリフ)
何を言ってやんでぇ
何が今更、忠太郎だ 何が倅でぇ
俺にゃおっ母は、いねぇんでぇ
おっ母さんは、俺の心の底に居るんだ
上と下との瞼を合わせりゃ 逢わねぇ昔の
やさしい
おっ母さんの面影が浮かんでくらぁ
逢いたくなったら
逢いたくなったら 俺ァ瞼をつむるんでぇ
逢わなきゃよかった 泣かずにすんだ
これが浮世と いうものか
水熊横丁は 遠灯り
縞の合羽に 縞の合羽に 雪が散る
(セリフ)
おっ母さん
25.人生車
作詞:松井由利夫
作曲:大沢浄二
意地と人情(なさけ)の 二つの輪っか
弱音を吐けば 空廻り
今は半端な 火の車
俺は涙と 血の汗で
いつかかならず いつかかならず
押し上げる
右に躓(つまず)き 左によろけ
それでも俺は 前に出る
愚痴も言わずに 肩をかす
そんなあの娘に 夢の花
せめて一枝(ひとえだ) 送らなきゃ
死ぬに死ねない 死ぬに死ねない
男なら
男いのちの 人生車
梶棒(かじぼう)離しゃ 後戻り
雨にずぶ濡れ 泥まみれ
ここが根性の 見せどころ
辛抱二(ふた)文字 噛みしめて
俺は明日の 俺は明日の 虹をみる
26.北へ流れて
作詞:久仁京介
作曲:山崎剛昭
北へ流れて この酒場
風がつめたい 男の旅路
夢をわすれた
恋もわすれた
せめて心に やさしさだけは
失くすものかと 独り言
群れにはぐれた 渡り鳥
おれと似たよな さすらい暮らし
落ちてはじめて
泣いてはじめて
生きるこの世の つらさを知って
傷のふかさを 噛みしめる
戻るあてない その道を
燃える夕日が まぶしく染める
生きる男の
つよさ よわさを
胸に抱えて 冷酒あびりゃ
北の港の 春遠い
27.水たまり
作詞:海老原秀元
作曲:桜田誠一
いっそ泣けたら どんなにいいか
泣けぬ辛さの 水たまり
風の路地裏 居酒屋は
遠い故郷の 蝉しぐれ……
男って奴は
酒に涙を 捨てるのさ
惚れていりゃこそ 惚れたと言えぬ
言えばおまえを 駄目にする
胸の落ち葉の その奥にゃ
むかし泣かせた 女(ひと)がいて……
男って奴は
いまも残り火 あたためる
晴れと思えば どしゃ降り雨に
消えぬこころの 水たまり
夢のかけらに すがっても
運命(さだめ)かなしい 遠花火……
男って奴は
酒に明日(あした)を つなぐのさ
28.沓掛道中
鏡五郎・佐野文香
作詞:木下龍太郎
作曲:山崎剛昭
(男)擦れて痛むか 草鞋の紐が
(男)旅はつらかろ 女には
(女)世話をかけます 浮き世の縁で
(女)足手まといの 母子(おやこ)連れ
(二人)夫婦もどきの 旅姿 お絹 沓掛 時次郎
(セリフ)「渡世の義理とは言え お絹さん 私(あっし)は
ご亭主をこの手に掛けてしまいやした。
償い切れねぇ罪ほろぼしの真似事に
お内儀(かみ)さんと太郎吉坊は 沓掛の時次郎
この身に代えて一生面倒見させていただきやす。」
(男)好いちゃいけない 亭主の仇
(男)憎みながらも 恋ごころ
(女)惚れちゃならない 罪ほろぼしが
(女)せめてこの世で 済むまでは
(二人)けむり三筋の 浅間山 影も三っつの 中山道
(セリフ)「私が弱いばっかりに……薬代のために時次郎さんを
やくざ出入りの助っ人に行かせてしまった。
二度と刀は持たないと心に決めて足を洗った方なのに。
私たち母子(おやこ)のために いいえ
このお絹のために戻ってください時次郎さん…」
(男)一度限りさ 一度は捨てた
(男)長脇差(ドス)を抱いての 助っ人は
(女)生きて戻って 私のために
(女)たとえ手傷を 受けるとも
(二人)いつか心は 固結び お絹 沓掛 時次郎
29.会津街道ふたり旅
鏡五郎・磯部さゆり
作詞:水木れいじ
作曲:西條キロク
(男)雪を抱いた 磐梯山が
(女)なぜか立派な あんたに見える
(男)照れて振りむきゃ おまえはまるで
(女)梅の小枝の うぐいすなんて…
(男)浮き世忘れて 鶴ヶ城をあとに
(男女)会津街道恋巡礼
(女)ああ
(男)ああ
(男女)ふたり旅
(男)ひとつ越えても 山また山の
(女)まるでふたりの 人生暦
(男)湯の香懐かし ランプの里で
(女)いのち洗って 呑みましょあなた
(男)鐘がなるなる 観音寺の
(男女)会津街道たそがれて
(女)ああ
(男)ああ
(男女)ふたり宿
(男)紅もほんのり おまえも酔って
(女)ここが故郷 大内宿よ
(男)今度来る日は 三人づれで
(女)猪苗代湖の 桜を見たい…
(男)先は長いが よろしく頼む
(男女)会津街道十五夜の
(女)ああ
(男)ああ
(男女)ふたり酒
30.おしどり道中
鏡五郎&真木柚布子
作詞:下地亜記子
作曲:西條キロク
(男)富士のお山が 雪白粉(ゆきおしろい)で
(男)笑って見送る 東海道
(女)好きなあなたと 手に手を取って
(女)お伊勢参りの 青い空
(男)相惚(あいぼ)れ (女)おか惚れ (男女)ひと目惚れ
(男女)おしどり道中 えェ…ふたりづれ
(男)三保(みほ)の松原(まつばら) 潮風うけて
(男)輪を描くトンビも 夫婦旅
(女)波の華散る 遠州灘の
(女)沖に白帆(しらほ)の 船が行く
(男)相惚れ (女)おか惚れ (男女)ひと目惚れ
(男女)おしどり道中 えェ…ふたりづれ
(男)長脇差(どす)じゃ斬れない 絆の糸を
(男)心に結べば 春の風
(女)虹がまたいだ 天竜川に
(女)唄が流れる 花が咲く
(男)相惚れ (女)おか惚れ (男女)ひと目惚れ
(男女)おしどり道中 えェ…ふたりづれ
31.雪のみちゆき 梅川・忠兵衛
鏡五郎&真木柚布子
作詞:下地亜記子
作曲:久保進一
たとえ死のうと 嘲笑(わらわ)れようと
引くに引けない 恋の意地
つらい浮世の 哀しい運命(さだめ)
あなたいりゃこそ 耐えられた
梅川… 忠さま…
揺れる紅(あか)い灯(ひ) しのび泣く
「察(さっ)しはついていようが あの金は届
けねばならぬ預かり金その封印(ふういん)を切っ
たからには命がないのは知れた事…あ
のように衆人(みな)の前で恥かかされては男
の一分(いちぶ)がたたず…梅川 わいと一緒に
死んでくれるか…」
「かんにんして下さんせ いとしい忠
さまを罪人(とがにん)にしたのも みんなこの私
ゆえ… 命など なんで惜しい事があり
ましょう 金(かね)が仇(かたき)の世の中で 主(ぬし)さんだ
けが わてのもの 一緒に死ねるなら
本望(ほんもう) 嬉しいわいなぁ…」
花は散っても 根元に還(かえ)る
人は還れぬ 死出の旅
恨みますまい この世のことは
みんな儚い 夢の夢
梅川… 忠さま…
急ぐ大和路(やまとじ) 凍る空
「死ぬる身に心残りはないけれど 忠
さまの親父様(おやじさま)に一目逢(お)うて お詫び
がしたかった…さだめしこの梅川を恨
みに思うていられるにちがいない…」
「そなたの母御(ははご)とて同じこと 先立つ不
孝はあの世とやらで詫びもしょう… さ
ぁさ急げ 追っ手に見つかり引き離されて
は一大事 離れまいぞえ なぁ梅川」
吹雪く荒野(あれの)で よろけて倒れ
息を殺して 肌寄せる
どうぞ許して 私の咎(とが)を
これが今生(こんじょう)の お別れか
梅川… 忠さま…
雪のみちゆき 鳥が啼く
32.縁(えにし)
鏡五郎&真木柚布子
作詞:下地亜記子
作曲:徳久広司
この川を この川を
越えれば待ってる 倖せが
苦労かけたな 泣かせたな
いいえ今さら 水くさい
春の風 秋しぐれ 冬の雪
めぐる年月 幾山河
縁結んで ふたり旅
この山を この山を
越えれば向こうに 灯がともる
つなぐこの手の ぬくもりが
あれば笑顔で 生きられる
春の風 秋しぐれ 冬の雪
耐えて寄り添い 信じ合い
縁はなさず ふたり旅
この坂を この坂を
越えれば明日が 見えてくる
涙 痛みを 分け合って
いつか花咲く その日まで
春の風 秋しぐれ 冬の雪
浮世かたすみ 夢抱いて
縁ひとすじ ふたり旅
33.夫婦善哉
鏡五郎&真木柚布子
作詞:下地亜記子
作曲:久保進一
遊び呆(ほう)けて 行き着く先は
やっぱりおまえの 胸の中
金も甲斐性も ない人やけど
あんた優しい あかんたれ
すまんなぁ しゃあないなぁ
夫婦善哉 人生泣き笑い
「お蝶 そんなに怒りなや 浮気なんかしてへんがな…
わいには おまえしか おらへんのや 本当(ほんま)やでえ…」
「柳吉はん 帰るとこ よう忘れへんかったなぁ…
ようやく貯めたお金やのに…
今度という今度は 愛想(あいそ)も尽きたわ もう…知らん…」
こんな男と 出逢うてなけりゃ
倖せみつけて いただろに
下手(へた)な芝居に またほだされて
惚れた弱みの くされ縁(えん)
すまんなぁ しゃあないなぁ
夫婦善哉 人情夢しぐれ
「うちは奥さんになろうなんて思てまへん うちの力であんさんを
一人前の男にしたら本望や…きっと してみせまっさかいなぁ」
「そ そんな意地張らんかてええがな
わいは今の気楽な暮らしが 性(しょう)に合(おう)とんのや…
どや なんぞ旨(うま)いもんでも 食いに行こか…」
意地だ義理だと 並べるよりも
暢気(のんき)におもろう 生きりゃええ
浮かれトンボの あんたと二人
両手合わせる 法善寺
すまんなぁ しゃあないなぁ
夫婦善哉 浪花の恋あかり
34.日本列島おとこ旅
作詞:多華あきら・補作詞:久保進一
作曲:久保進一
握(にぎ)るハンドル トラック野郎
丹波街道(たんばかいどう) 後(あと)にして
日本列島 おとこ旅
道はひとすじ 振り向かず
無理をするなよ アン ア…アン
転(ころ)がす いばら道
辛い時には 演歌(うた)でも聴いて
心癒(いや)せば 気も晴れる
日本列島 おとこ旅
天上天下(てんじょうてんげ)に おもいやり
西へ東へ アン ア…アン
輝く 朝陽(あす)がある
心技一体(しんぎいったい) 力の限り
乗せて人情の 架け橋に
日本列島 おとこ旅
走る人生 まっしぐら
天下御免の アン ア…アン
でっかい 華になれ
35.未練の酒
作詞:伊吹とおる
作曲:浅野カオル
別(わか)れたあとの 冷酒(ひやざけ)、地酒(じざけ)
あれは女(おんな)の 涙(なみだ)の味(あじ)か
それとも俺(おれ)の 未練(みれん)の故(えい)か
苦(にが)さばかりが ゝ しみ渡(わた)る
なんにも言(い)えず 唇(くちびる)噛(か)んで
俺(おれ)をみつめた あの眸(め)の黒(くろ)さ
魔法(まほう)の水(みず)よ おまえが頼(たよ)り
忘れさせては ゝ くれないか
赤提灯(あかぢょうちん)の あかりのかげは
強気(つよき)ぶってた 男(おとこ)の楽屋(がくや)
したたか浴(あ)びて それでも酔(よ)えず
ひとりしみじみ ゝ 泣くところ
|