20.雪の桜田門~あゝ井伊大老
作詞:山北由希夫
作曲:吉田矢健治
黒船前にして 江戸城は
攘夷開国(じょういかいこく) 揺れ動く
たとえ刺客に 出逢うとも
男大老 決意する
あ…… 明日の日本を 救える道は
開国以外に 道はなし
(セリフ)
宵節句というに季節外れの雪ではござらぬか。
水戸の白梅が彦根の赤鬼を斬るには持ってこいの雪だ。
おのおの方、革新の大義をはたすには……「雨でもない」
……「風でもない」……大雪あるのみじゃ
めざすは大老(たいろう) ただ一人
水戸の浪士(ろうし)は 斬るという
時は三(さん)月 登城日と
かたい約束 誓う酒
あ…… 菊は二度咲く 葵は枯れる
西からくつわの 音がする
(セリフ)
諸大名の行列がと絶えたあとである。
めざす彦根の一隊が一本道具を先に立て、
およそ同勢六十人、いずれも赤合羽にかぶり笠、
「下にー下にー」と進み出た。
見物するように 見せかけて
彦根行列 駕籠(かご)を待つ
不意をつかれた 大老は
桜田門の 雪と散る
あ…… 花の生涯 白刃の舞いに
むなしく天誅(てんちゅう) 受けて死す
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