32.夕暮れ
夕暮れの町で僕は見る
自分の場所からはみ出してしまった
多くのひとびとを
夕暮れのビヤホールで
ひとり一杯のジョッキをまえに
斜めにすわる
その目がこの世の誰とも
交わらないところをえらぶ
そうやってたかだか三十分か一時間
雪の降りしきる夕暮れ
ひとりパチンコ屋で
流行歌のなかで遠い昔の中と
その目は厚板ガラスの向こうの
銀の月を追いかける
そうやってたかだか三十分か一時間
黄昏がその日の夕暮れと
折りかさなるほんのひととき
そうやってたかだか三十分か一時間
夕暮れの町で僕は見る
自分の場所からはみ出してしまった
多くのひとびとを
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