22.長崎物語
作詞:梅木三郎
作曲:佐々木俊一
(セリフ)お春
「いいんです。泣かないで…
…異国の血を受けた者が流されるのは、
掟ですもの……。悲しいけど、締めて、
春はジャガタラへ行きますわ。ア、ア…
…ふ、ふ、船が出る……」
赤い花なら 曼珠沙華
オランダ屋敷に 雨が降る
濡れて泣いてる ジャガタラお春
未練な出船の ああ鐘が鳴る
ララ 鐘が鳴る
(セリフ)お春
「お別れね。いいえ御心配
なさらずに。でも………生まれて今日
まで十四年………もう会えないと思う
と辛いけど、春は春は、決して泣きませ
ん………」
映すガラスは 無いけれど
夢の港の 長崎の
ザボン色した 宵の月
南京祭りの 笛の音と
数え切れない 思い出が
父が遺品(かたみ)のこの胸の
金のクルスに生きてます
(セリフ)お春
「神様がきっとお守り下さ
います。父もオランダの空から見守って
くれるでしょう……。それに………死ん
だ母のお精霊(しょろ)様が、いつまでもいつまで
も、一緒にいてくれますわ……。では、
左様なら」
坂の長崎 石だたみ
南京煙火に 日が暮れて
そぞろ恋しい 出島の沖に
母の精霊が ああ流れ行く
ララ 流れ行く
(セリフ)お春
「お別れ申せしより早二月
は夢の間に過ぎ行き候へども、忘れ得ぬ
は懐しき故郷の姿にて候。雨の日も風
の日も、この世に生を享けて十四年、共
に生き」
平戸離れて 幾百里
つづる文さえ つくものを
なぜに帰らぬ ジャガタラお春
サンタクルスの ああ鐘が鳴る
ララ 鐘が鳴る
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