10.海鳴り
海鳴うみなり聞きこえる 旅路たびじの宿やど
今宵こよいも泪なみだで 枕まくらを濡ぬらす
老おいたる父ちちや母はは 今頃いまごろいかに
アーアー
想おもいは遥はるかるか 故郷こきょうの空そらよ
心こころを許ゆるした 友ともも消きえて
愛あいした女おんなも いつしか離はなれ
風かぜ吹ふく波なみの上うえ 一いち羽わの(かもめ)
アーアー
お前まえとだけは 話はなしがしたい
明日あしたは夜汽車よぎしゃで 北きたの街まちへ
はまなす咲さいてる 名なも無ない街まちへ
私わたしが旅先たびさきで 死しんだら誰だれか
アーアー
浜辺はまべに骨ほねを うずめておくれ
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