全曲集/お母さん

金田たつえ 全曲集/お母さん歌詞
1.お母さん

作詞:関口義明
作曲:花笠薫

どなたですかと 他人のように
わたしを見上げて きく母の
笑顔は昔と 変わらぬものを
いいのよ いいのよ お母さん
やせた手をとり うなずきながら
あふれる涙が 止まらない

苦労親坂 女手ひとつ
なりふりかまわず 五十年
働き続けて くれたんだもの
いいのよ いいのよ お母さん
淡い陽射しの 硝子戸越しに
今年も咲いてる 花すすき

母の背中で ねんねの歌を
きかせてもらった あの道を
今度はわたしが おぶってあげる
いいのよ いいのよ お母さん
心やさしい みんなの中で
いのちを灯して また明日も


2.母恋巡礼

作詞:木下龍太郎
作曲:保田幸司郎

あれもこれもと 想っていても
夢で終った 親孝行
離れ離れにめ 暮らしただけに
胸に残るは 悔いばかり
母恋巡礼
札所めぐりの 花供養

やると決めたら 死ぬ気でおやり
やって駄目なら 戻りゃいい
故郷を出る朝 しばれる駅の
別れ言葉の あたたかさ
母恋巡礼
添える想い出 花供養

いまは小言も 聴けないけれど
いつも心の いのち杖
辛い時には 昔に戻り
泣いて甘える 夢枕
母恋巡礼
鈴を鳴らして 花供養


3.湯の町椿

作詞:仁井谷俊也
作曲:南郷孝

かくれ咲きした 椿の花に
どこか似たよな 身のさだめ
いくら好きでも この世では
一緒になれない ひとだもの
炎えて悲しい… 湯の町椿

宿の浴衣に 羞じらいながら
酔ってあなたに 躰をまかす
離れられない ふたりなら
このまま愛しい 胸の中
いっそ散りたい… 湯の町椿

帰り支度の 貴方の背中に
次の逢瀬を またせがむ
悪いおんなと 云われても
誰にも渡せぬ 恋だもの
夢に生きたい… 湯の町椿


4.黒髪ざんげ

作詞:木下龍太郎
作曲:保田幸司朗

罪を背負って この世の中に
女は生まれて 来るのでしょうか
心ならずも 背いた男の
怨み声やら 笹の風
嵯峨野 隠れ家
ああ 黒髪ざんげ

いつか馴染んだ 花街川に
流した浮名は いくつでしょうか
どれも真実を 捧げたものを
野暮な世間が嘘にする
嵯峨野 迷い路
ああ 黒髪ざんげ

生きる限りは 男に罪を
重ねて行くのが
運命でしょうか
髪を束ねて 剃刀当てて
切れぬ迷いの 糸を切る
嵯峨野 白露
ああ 黒髪ざんげ


5.しのび恋

作詞:三浦康照
作曲:石中仁人

一つの傘を 二人で持って
人目をさける 雨の町
今夜はあなたを 帰さない
わがまま云って 甘えたら
きっとあなたは 困るでしょうね
炎えて悲しい あゝしのび恋

あなたの愛を ただひとすじに
たよって生きる 私です
いけないことと 知りながら
別れてくれと 云うまでは
たとえ地獄へ 落ちてもいいの
ついてゆきます あゝどこまでも

あなたの妻に なる日は夢ね
夢でもいいの 信じたい
夜明けの部屋に 残されて
涙を拭いて いたことを
きっとあなたは 知らないでしょう
辛さこらえる あゝしのび恋


6.風の追分みなと町

作詞:仁井谷俊也
作曲:蘭一二三

風の江差に 来てみれば
はぐれ 鴎が 波に舞う
あなたお願い帰ってきてよ
日暮れの海に名を呼べば
老いたヤン衆の 老いたヤン衆の 追分が
おんな泣かせる 港町(みなとまち)

あなた偲べば 鴎の島にヤンサノ-エ-
沈む夕陽も なみだ色

浜に埋もれた 捨て小舟
どこか私に 似た運命
ほろり落とした涙のなかに
やさしい笑顔浮かぶ夜は
海の匂いの 海の匂いのする 酒場で
吐息まじりの こぼれ酒

窓の向こうの 漁火は
女ごころの 命火よ
いつか逢えるわ あなたに逢える
浴衣につつむ 湯あがりの
燃える素肌が 燃える素肌が あの夜を
思いださせる 港宿(みなとやど)


7.道導


8.おまえさん

作詞:吉田旺
作曲:松原謙

紺の暖簾に 染めぬいた
゛夫婦゛二文字が 目に沁みる
やっとだせたね ふたりのお店
好きなお酒も 好きなお酒も 我慢した
甲斐があったね おまえさん
ネエ おまえさん

両親の許しも ないままに
乗った夜汽車が 振り出しで
貧乏 貧乏の 駆落ち生活
それもいまでは それもいまでは なつかしい
夢のようだね おまえさん
ネエ おまえさん

派手な花輪は ないけれど
むかし仲間の 顔と顔
今日の開店を 飾ってくれる
唄もうれしい 唄もうれしい 祝い節
泣けてきちゃった おまえさん
ネエ おまえさん


9.花街の母

作詞:もず唱平
作曲:三山敏

他人にきかれりゃ お前のことを
年のはなれた妹と 作り笑顔で 答える私
こんな苦労に ケリつけて たとえひと間の部屋でよい
母と娘の 暮しが欲しい

いくらなじんだ水でも 年頃の娘のいる
左褄(ひだりづま)
住みにくうございます
浮名を流した昔もありましたが…
ああ あのひと
私を残して死んだ あの人を恨みます

厚い化粧に 憂いをかくし
酒で涙をごまかして 三味にせかれて つとめる座敷
あれが子持ちの芸者だと バカにされても夢がある
それはお前の 花嫁姿

女の盛りはアッという間です 若い妓の時代
もう私はうば桜 出る幕ないわ
でも もう少し この花街に 私を置いて下さい
せめてあの娘に いい花聟が 見つかりますまで

何度死のうと 思ったことか
だけど背で泣く 乳呑児の 声に責められ十年過ぎた
宵に褄とる女にも きっといつかは幸福が来ると
今日まで 信じて生きた


10.くちなし情話

作詞:吉田旺
作曲:鈴木淳

好きで我が子を 死なせる母が
どこにいましょう いるならば
それは鬼です 母親じゃない
白いくちなし 匂う夜は
なぜかあの子が この乳房
探し求めて いる気がします

それであなたの 気が済むならと
ひどい仕打ちも 裏切りも
耐えてきました やつれた胸で
そんな私を 置き去りに
逝ったあなたを 恨みます
ましてくちなし 零れる宵は

可愛我が子を 亡くした母に
乱れ縁の 置き土産
抱けば泣けます 幼いこの子
白いくちなし 目で追って
こぼす笑顔に 罪はない
生きて行きます この子とともに


11.金沢情話


12.あかね雲

作詞:一ツ橋雪
作曲:保田幸司郎

出稼ぎばかりの 明け暮れに
泣いてたお前はヨー もうはや二十才
明日は文金花嫁御寮
見せてやりたや 見せてやりたや恋女房
うすい縁のヨー あかね雲

手塩にかけた 娘なら
幸せになれヨー 涙がほろり
女房ゆずりの 器量よし
空を仰いだ 空を仰いだ横顔に
幼いままのヨー 泣きぼくろ

たまにはおやじの ひげ面が
恋しくなったらヨー 一緒に帰れ
愛し殿御と ヤヤ連れて
抱いてやろうぞ 抱いてやろうぞふところに
明日は晴れるかヨー あかね雲


13.愛恋ほたる

作詞:高橋直人
作曲:萩仁美

みだれた髪を いとしむように
やさしく流れる 指の櫛
幸せに酔いしれて 心重ねても
夢を引き裂く 夜明けが憎い
明日はいらない 愛恋ほたる

あなたに逢える その日をいつも
この胸焦がして 待ちわびる
ひとり寝の淋しさに 泣いた数だけは
抱いて下さい 情けが欲しい
炎えて死にたい 愛恋ほたる

人目を忍ぶ 仲でもいいの
それより哀しい 朝が来る
離れても一時も 忘れないように
肌をすり寄せ 移り香つける
灯す命火 愛恋ほたる


14.夜の蝉

作詞:萩原たかし
作曲:花笠薫

あられなく胸をふるわせ 夜鳴く蝉は
誰に焦がれて 泣くのでしょうか
好きで別れた あなたに逢えた
この橋を渡れたら
棄てて悔いない ああ迷い川

好きだよと 拒むすべなく さしだす傘に
耳を染めても 不埒でしょうか
まわり舞台の 道行きならば
赦される 恋路でも
他人は指さす ああ罪の川

狂おしく 命しぼって 夜鳴く蝉は
何処で未練を 消すのでしょうか
息を殺して くるめく闇に
うたかたの 肌を焦がす
生きる縁の ああ幻想の川


15.女の演歌

作詞:高橋直人
作曲:萩仁美

誰が好んで 買うものですか
重たい苦労の 詰合せ
涙がまじった 苦水飲んで
親の情けを 知りました
ひとり歩きの 女道
冷たすぎます(冷たすぎます) 世間の風は

裏と表じゃ 天地の違い
不幸と幸せ 紙一重
女の過去には 男が絡む
心覗けば 傷がある
呪文みたいに 怨み言
口にでるのよ(口にでるのよ) 寂しい夜は

昨日踏まれた 路傍の雑草(くさ)も
朝陽に向かって 背伸びする
挫けちゃだめよと 夢でも叱る
遠い故郷の 母の声
明日へ一筋 続く道
生きてゆきます(生きてゆきます)
希望(のぞみ)を抱いて


16.無法松の一生~度胸千両入り~