全曲集

西方裕之 全曲集歌詞
1.みちのく哀愁

作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

一生いちどの 夢をみて
あなたと流れた 情け川
宿の紅葉が 水面に揺れて
あかあかキラキラ 燃えたのよ
好きで別れた 人だから
女みちのく 雨が降る

かわらぬ想いを 胸に秘め
渡ればせつない なみだ橋
肌をかさねた ふたりの夜が
あかあかキラキラ 燃えるのよ
せめて逢いたい もう一度
音もたてずに 降るしぐれ

面影つれそう 湯の町は
ひとりで差しても ふたり傘
川の流れに あなたがいまも
あかあかキラキラ 燃えている
夢のはかなさ 恋しさに
女みちのく 雨が降る


2.玄海そだち

作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

俺は唐津の 荒磯(あらいそ)育ち
海が俺らの おふくろさ
男玄海(げんかい) 命をかけて
今日も漁場で 網(あみ)を曳(ひ)く
それ行けドッコイドッコイドッコイショ
(オッサー)暴れ船

あれは宵曳山(よいやま) 太鼓の音よ
家じゃ女房が 酒支度
祭り玄海 男の華(はな)だ
三ヶ月(みつき)だおれの 見栄をはる
それ行けドッコイドッコイドッコイショ
(オッサー)男伊達(おとこだて)

風が身を切る 骨切る海は
柔(やわ)じゃもたない 地獄だぜ
男玄海 度胸と意地で
夢を咲かせる がまん船
それ行けドッコイドッコイドッコイショ
(オッサー)日が昇る


3.湯けむりの宿

作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

送る背中が つらいから
わたし始発で 帰ります
湯けむりの
湯けむりの なさけ宿
昨夜あなたに 愛されて
今朝はわかれる いで湯駅

明日が見えない ふたりでも
契(ちぎ)る情けに うそはない
湯けむりの
湯けむりの しのび宿
光る線路の その先は
狭霧(さぎり)流れる いで湯駅

倫(みち)にはずれた 恋だけど
罪はわたしが せおいます
湯けむりの
湯けむりの かくれ宿
胸にあなたの ぬくもりを
抱いて汽車待つ いで湯駅


4.おんな川

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也

情どれほど 通わせたって
つらい別れを つれてくる
逢えば短かい
あなた あなた あなたかよい舟
繋ぎとめたい もう一晩(いちや)
あ…流す涙の おんな川

命こがして 抱かれてみても
今朝のあなたは もう他人
すがりつきたい
あなた あなた あなたかえり舟
こんど来るのは いつの日か
あ…夢もつかのま おんな川

いくら好きでも 世間の海を
漕いでゆけない ふたりです
人目忍んで
あなた あなた あなた一夜舟
きれぬ運命に 身をまかせ
あ…恋に流れる おんな川


5.北しぐれ

作詞:吉田旺
作曲:徳久広司

八時丁度に 函館駅で…
小指からめた 片えくぼ
御免…ごめんな 怨んでおくれ
惚れていりゃこそ 身をひく莫迦を
責めて篠つく あゝ北しぐれ

逢っちゃいけない 女だった
見せちゃいけない 夢だった
御免…ごめんよ 忘れておくれ
きみの帰りを 待ってるやつの
男ごころに あゝまけたのさ

といき紅 おんな傘
さぞや重かろ 旅支度
御免…ごめんな 許しておくれ
咲けず仕舞いの 儚ない恋よ
雪になれなれ あゝ北しぐれ


6.愛始発

作詞:木下龍太郎
作曲:岡千秋

お前ひとりを 泣かせはしない
今日からふたりは 一緒だよ
少し痩せたね うなじのあたり
とても綺麗さ 昔より
ああ ここからが この駅が
ふたりの旅立ち 愛始発

泣いた分だけ 幸せあげる
きっと直すさ 涙ぐせ
肩にぬくもり 伝わるような
隣り合わせの 指定席
ああ ここからが この駅が
ふたりの旅立ち 愛始発

何があっても 離しはしない
夢が明日の 道しるべ
窓の向こうに 並んで光る
あれはふたりの さだめ星
ああ ここからが この駅が
ふたりの旅立ち 愛始発


7.赤とんぼ

作詞:たきのえいじ
作曲:弦哲也

夕焼けが やけに目に沁みる
ビルの谷間の 赤とんぼ
なつかしい ふるさとが
まぶた閉じれば 浮かんでくるよ
帰りたいよ あの町へ
流れゆくあの雲に 乗って行きたいよ

夢だけは 今もこの胸に
抱いているのさ 人知れず
気にかかる 今もなお
幼馴染(おさななじみ)のあの娘(こ)の事が
しあわせなら それでいい
流れゆくあの雲を 何処で見てるやら

かんべんな 便り出しもせず
いつになるやら 帰る日は
達者かな おふくろは
親父カラオケ唄ってるかな
変わりないか 風邪ひくな
流れゆくあの雲に 祈るこの俺さ


8.冬・七夕

作詞:木下龍太郎
作曲:聖川湧

貴方(あなた)を迎える 蛇の目の傘を
雪が白地に 染め変える
一年は 長過ぎますわ
一人待つ身の 女には……
冬・七夕と 名を付けた
年に一度の しのび逢い

女の口から お酒をねだる
早く酔いたい 置炬燵(おきごたつ)
この指を 憶えています
憎い恋しい 指だから……
乱され燃えた あの夜が
肌を通して 蘇(よみがえ)る

一日 日付(ひづけ)が 変わっただけで
駅へ貴方(あなた)を また送る
わがままを 言っては駄目(だめ)ね
夢があるだけ まだいいの……
冬・七夕の 恋ならば
次の逢瀬も 雪見月


9.薄羽かげろう

作詞:吉岡治
作曲:徳久広司

宿の浴衣(ゆかた)の 藍染(あいぞめ)に
触れればたちまち 罪になる
脱いでも脱いでも あゝ わたし女です
枕灯(まくらあか)りに 焦(こ)がれて痩(や)せた
薄羽(うすば)かげろう おんな宿

紙のこよりの 指輪でも
あなたに貰(もら)えば 嬉しくて
一夜の一夜の あゝ 赤い契り糸
夢でふたりが 飛べたらいいわ
薄羽(うすば)かげろう 恋地獄

忍ぶ恋でも 恋は恋
口惜(くや)しい縁(えにし)の 闇路(やみじ)です
抱いても 抱いても あゝ 別れつれてくる
命まるごと 預けてみても
薄羽(うすば)かげろう おんな宿


10.夢追い川

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

川の瀬音か 降る雨か
山の湯宿(ゆやど)は こころがしぐれる
夢をみさせて もう一度
浴衣の肩を抱きよせた
あの日のあなたが盃(さかずき)に
こぼれてすがる 夢追い川よ

誰を呼ぶのか 水鳥よ
声がわびしく 夜雨(よさめ)にあとひく
夢をみさせて ねぇ あなた
拭いても残るくち紅の
色さえさみしく身をせめる
あなたが欲しい 夢追い川よ

酔いにうたたね 手枕の
耳に流れる せせらぎ悲しい
夢をみさせて もう一度
湯の香に匂う黒髪が
今夜もあなたに濡れながら
乱れてからむ 夢追い川よ


11.恋文流し

作詞:星野哲郎
作曲:徳久広司

みどりの川の 紅い橋
渡れば揺れる 藤の花
忘れるはずが 忘られなくて
私はいまも 独(ひと)りです
ひらひらひらと 散る花は
あなたに送る 恋文流し

見つめる人の 悩みまで
洗ってくれる 人でした
あなたの化身(けしん) 紫花(むらさきばな)の
花びら拾い くちづけて
ひらひらひらと 天国へ
届けと送る 恋文流し

あなたを偲ぶ 山の端(は)の
花残月(はなざんげつ)の 懐かしさ
女の春を 粗末にするな
叱ってくれた あの声を
ひらひらひらと いまいちど
返して欲しい 恋文流し


12.恋路川

作詞:早川詩朗・鳥居実
作曲:板谷隆

バカな女と云われてもいい
すがりつきたいもう一度
いやよいやです次の世なんて
死んでいいのね この恋抱いて
どこまで迷う 恋路川

逢えぬつらさに涙もかれて
ひとり女の頼りなさ
あなた以外に愛するなんて
とてもできない 出来ない女
どこまで迷う 恋路川

一生一度のこの恋だから
思いきれない忘れない
あるき疲れた心の中に
いつかぼんやり夕陽も落ちて
どこまで迷う 恋路川


13.紀ノ川

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

春まだ浅い 吉野路(よしのじ)を
追われてゆくのも 恋のため
降る雨のつめたさ 肩をぬらして
人目(ひとめ)しのんで 舟を漕(こ)ぐ
あなただけ おまえだけ 情けの紀ノ川

行方(ゆくえ)もしれぬ さざ波の
うわさがつらい 木(こ)の葉舟(かぶね)
身をよせて手と手を かさねあわせて
にじむ灯りに 目をぬらす
あなただけ おまえだけ 涙の紀ノ川

漂うだけの 水草(みずくさ)も
春には芽を吹く いのち草
この川の果てには きっとふたりの
愛を結べる 岸がある
あなただけ おまえだけ 情けの紀ノ川


14.遠花火

作詞:竜はじめ
作曲:徳久広司

下駄がからころ 後追うように
浴衣の裾に 絡みつく
夜空にひとつ またひとつ
肩を寄せ合う 橋の上
瞬間(とき)を彩る 遠花火

燃えて広がる 菊一輪も
音と光の すれ違い
川面(かわも)にひとつ またひとつ
添えぬ二人に 似た運命(さだめ)
消えて儚(はかな)い 遠花火

縋(すが)りつきたい 思いの丈(たけ)を
秘めて髪梳(す)く いで湯宿
鏡にひとつ またひとつ
今宵かぎりの 花化粧
咲いて散りゆく 遠花火


15.流れる

作詞:星野哲郎
作曲:徳久広司

雲は流れる 流れる雲が
山に当たれば 雪になる
どこかにあるさ かならずあるさ
俺がくだけて 雪になる
男の山を さがして歩く

川は流れる 流れる川が
崖(がけ)をとびおり 竜(りゅう)になる
いつかはくるさ かならずくるさ
いのち散らして 虹を画(か)く
男の崖を 背負って生きる

時は流れる 流れる時が
石を炎(ほのお)に してくれる
その日はくるさ かならずくるさ
時をつかんで 燃えさかる
炎の明日を 信じて耐える


16.北海酔虎伝

作詞:星野哲郎
作曲:徳久広司

親にもらったヨ 名前もあるに
虎と呼ばれる 無法者
人のいやがる 船に乗り
人にゃ呑めない 酒をのむ
夢も北海 酔虎伝

酒で寒さはヨ しのげるけれど
浴びる吹雪に 血も凍る
男 いっぴき さいはての
海を墓場と 決めて咲く
花は北海 酔虎伝

酒と女をヨ はかりにかけて
酒を選んだ 男だぜ
呼ぶな ウトロの恋灯り
どうせ一生 この海で
唄う北海 酔虎伝