1.美濃の眉月
作詞:もず唱平
作曲:浜圭介
桜 舞い散る春の夜(よ)の
弥生三日(やよいみっか)の月をみた
まるで二人の身の上みたい
ほんに心許(こころもと)無い 月明り
想い出します 京(みやこ)に遠い
ハァー ハァー 美濃の在所の眉月を
武士というには名ばかりの
身分 足軽 藤吉郎
そんなあなたを見初(みそ)めた私
けれど 悔いは無かった来し方に
他人(ひと)が称(たた)える望月(もちづき)よりも
ハァー ハァー なぜか恋(いと)しい眉月が
幼ごころを忘れずに
文を寄越した天下びと
「おね」とあったり「かかさま」などと
いつも 人の気持ちを汲み取りなさる
二世もお側に居りたいものと
ハァー ハァー 願い懸けます 眉月に
2.女優
作詞:西沢爽
作曲:米山正夫
薔薇を 一輪 唇に
恋に 身を灼く カルメン役も
化粧 おとせば 楽屋の鏡
生きていながら 死んでいる
うつろな 女の 顔が浮く
罪に 追われた カチューシャも
愛の両手に 抱かれたものを
花の 日比谷の帝国劇場
恋と 舞台に 生きること
教えた あなたは もういない
疲れましたわ なにもかも
眠りたいのよ あなたのそばで
大正八年 一月五日
女優 須磨子の 幕切れは
すこし 濃目の 死化粧
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