1.大漁茜船
作詞:酒井智雄
作曲:竜鉄也
どんと波打ち しぶきを上げて
命あずけた 船が出る
板子(いたご)一枚 地獄の海に
大漁祈願(きがん)の 夢を追う
男怒涛(どとう)の男怒涛(どとう)の 茜(あかね)船
ほえて逆巻(さかま)く 荒波越えて
血潮(ちしお)たぎらせ 網を打つ
ねらう獲物(えもの)は 手綱(てづな)でかんじ
腕がみせばの 舵(かじ)さばき
男勝負の 男勝負の 茜(あかね)船
やぶれ番屋の 祝いの酒が
凍(ひ)えた身体(からだ)に しみてゆく
酔ってめでたい 大漁節も
掛けた運命(さだめ)の 意地がある
男自慢の男自慢の 茜(あかね)船
2.吉野情話
作詞:梅本昌男
作曲:竜鉄也
桜の花の咲く頃に
帰っておいでと 云う便り
やさしいことばの 人故恋し
鳥はさえずり 呼びかける
胸にせせらぎ ききながら
夢まぼろしか 吉野の里よ
清き流れの 吉野川
思いださせる 遠い日を
母の背できく 子守唄
みどり山並 そのままに
匂う杉の香 しみじみと
やけに恋しい ふるさと心
秋のもみじに 身をよせりゃ
人の情が 泌みる夜
散るは 木の葉に しぐれの雨が
逢えば 別れのさだめでも
なぜかつれない 川上に
降るは白雪 吉野の里よ
3.裏町酒場
作詞:さいとう大三
作曲:竜鉄也
雨にぬれてる 赤い灯が
俺にゃ似合いの 裏町酒場
泣いているのか あの唄も
酔えばおまえの 声になる
よせよいまさら あゝひとり酒
肩を並べて 飲む夜が
俺とおまえの 幸せだった
夢を落とした盃を
そっと笑って 飲んでいた
思い出すのさ あゝひとり酒
いつかおまえと みちづれに
俺はなろうと 思ったものを
箸の袋に 別れ文字
書いて残して どこ行った
馬鹿な奴だよ あゝひとり酒
4.北陸流れ旅
作詞:星野哲郎
作曲:竜鉄也
雪の袈裟着た 白馬岳の
膝にすすきの 花添えて
旅に出たのは 三十路はじめ
三味が折れるか 男が立つか
意地と道づれ
ひとり渡った 黒部川
今朝の他人が 昨日は命
変わる宿命を 嘆くまい
それが人生 倶利伽羅峠
つらい思いは おわらの唄に
秘めて流せば
湯の香 ほほえむ 加賀の街
あの娘どうした 気になりながら
旅は二人を 遠くする
粟津 逢えない このもどかしさ
船にのせれば 空似の女の
細い衿あし
濡らす若狭の 小夜しぐれ
5.土佐恋慕情
作詞:石本美由起
作曲:竜鉄也
逢ってみたいな ひと眼でいいと
悩み つづけて もう五年
土佐は 南国 思い出の
糸を たぐって 訪ねて来たが
胸に 冷めたい 黒潮しぶき
ひとの妻よと 呼ばれる君の
影を 見かけて 背を向けた
土佐は中村 みれん橋
恋のさだめは どう変わろうと
流れ変わらぬ 四万十川(しまんとがわ)よ
俺は いつでも 昔のままの
夢に 出てくる 君が好き
土佐は南国 旅の宿
ひとの別れの さみしさだいて
風と鳴こうか 足摺岬(あしずりみさき)
6.屋台酒
作詞:喜多條忠
作曲:竜鉄也
にぎわう街の 片隅で
俺と良く似た 奴がいる
のれんに風が 吹くたびに
ちいさな咳(せき)して 酒を呑む
泥にまみれた くやしさは
ひとりで ひとりで耐えるもの
コップの底に 映(うつ)るのは
お前と別れた 街だろか
若さといえば それまでの
冷たい別れの それっきり
どこで どうしているのやら
今さら 今さら遅すぎる
生きてくことの はずかしさ
想い出すたび 酒を呑む
ひと文字欠けた ネオン見て
心にぽっかり 穴があく
酔えば 酔うほど淋しさが
男の肩抱く 屋台酒
7.奥飛騨慕情
作詞:竜鉄也
作曲:竜鉄也
風の噂さに 一人来て
湯の香恋しい 奥飛騨路
水の流れも そのままに
君はいでゆの ネオン花
あゝ 奥飛騨に 雨がふる
情けの淵に 咲いたとて
運命悲しい 流れ花
未練残した 盃に
面影揺れて また浮ぶ
あゝ 奥飛騨に 雨がふる
抱いたのぞみの はかなさを
知るや谷間の 白百合よ
泣いてまた呼ぶ 雷鳥の
声もかなしく 消えてゆく
あゝ 奥飛騨に 雨がふる
8.山の駅
作詞:さいとう大三
作曲:竜鉄也
緑変わらぬ この町に
君の姿は あるだろか
桜 たんぽぽ 桃の花
幼い君の 顔の色
あゝ 匂いも青い山の駅
母と暮らした あの家は
君と遊んだ 夢のあと
いろり 自転車 庭の井戸
想い出ひとつ 呼んでみる
あゝ 涙でしみる山の駅
汽車が帰りを 告げるまで
しばし偲(しの)ぼう 面影を
おさげ 草笛 国訛(なま)り
あの日の君が 目に浮かぶ
あゝ 夕日に染まる山の駅
9.人生二人三脚
作詞:田村貞雄
作曲:遠藤実
雨が降っても 傘さえさせぬ
つえをたよりの 残りの命
身を寄せ合った 相合い傘が
映える舗道の水たまり
あゝ人生二人三脚
たのむぜ お前
やっとこれから 楽させようと
思う矢先の つまずき癖に
何も言わずに 肩かすけれど
じんと心が伝わるぜ
あゝ人生二人三脚
たのむぜ 今日も
ここで負けては 何にもならぬ
登る途中の人生峠
かわいい子供にゃ苦労はかけぬ
俺とお前はいつまでも
あゝ人生二人三脚
たのむぜ お前
10.ふるさとの灯り
作詞:竜鉄也
作曲:竜鉄也
ふるさとは
思い出胸にせまりきて
つづく坂道 吹く風よ
里の匂いも ぬくもりも
帰って来たと呼びかける
あゝ ふるさとの灯(あか)りがみえる
たずねきて
昔の友の面影は
今も変わらぬ国なまり
こぶしにぎった癖までが
遠い思い出 懐かしい
あゝ ふるさとの灯りがゆれる
いまもなお
心に残るあの女(ひと)は
宿の女将(おかみ)も板につき
縞の着物に 紅(べに)だすき
幸せですと 目で笑う
あゝ ふるさとの灯りが潤(うる)む
11.紬の女
作詞:さいとう大三
作曲:竜鉄也
草木の紬に身をつつみ
踊った姿が忘られぬ
一夜限りの恋ならば
花火のように咲きたいと
あの夜泣いてた 紬の女よ
川の流れを追いながら
二人歩いた飛騨の町
幸せ薄い横顔に
何故か似合った白い花
運命(さだめ)はかない 紬の女よ
山肌染めて秋がゆき
人肌恋しい冬がくる
雪に埋れた山あいで
ひとり暮しはつらかろう
抱いてやりたい 紬の女よ
12.哀愁の高山
作詞:竜鉄也
作曲:竜鉄也
うるむネオンの裏町を
ふたりで歩く 兄弟流し
暖簾くぐれば 暖簾くぐれば
馴染の顔が
ひとつたのむと 声掛ける
あゝ 哀愁の高山よ
消えて淋しいネオン街
よろりよろけた 影法師
肩にくい込む 肩にくい込む
アコーディオンを
意地で支えて男泣き
あゝ 哀愁の高山よ
雪に埋れた白い町
風に揺れてる 縄暖簾
どこか侘しい どこか侘しい
赤提灯の
情け横町流し唄
あゝ 哀愁の高山よ
13.飛騨川みれん
作詞:石本美由起
作曲:竜鉄也
水の流れは この世の運命(さだめ)
出合い橋やら 別れ橋
情け飛騨川 ひと夜の恋に
賭けた女の 過(あやま)ちならば
罪を許すか 夜の雨
結ぶすべない 絆(きずな)の糸に
すがる命の やるせなさ
夜の飛騨川 人形歌舞伎
三味と鼓(つづみ)に 囃(はや)されながら
恋の別れは 辛かろう
爪の先まで 燃えつきようと
夜明け切ない 川の宿
未練飛騨川 思い出湯船
逢うて濡らした 女の肌に
夢の名残りが ただしみる
14.旅の宿
作詞:酒井智雄
作曲:竜鉄也
夜空にけむる 湯の町を
月のしずくに ぬれてゆく
夢もやぶれて 泣ける身に
吐息さびしい しのび酒
酔えば未練の 旅の宿
狭霧(さぎり)をだいた 山あいに
心かよわす 水の音
揺れて咲いてる 野の花も
弱いおんなの 胸を打つ
落とす涙に 風が啼(な)く
想い出つづる 湯の川に
傷をいやせば 山鳩の
声もせつなく ほろほろと
くれる情けの やさしさよ
明日(あす)をさがして 旅の宿
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