1.女のためいき
作詞:吉川静夫
作曲:猪俣公章
死んでもお前を離しはしない
そんな男の約束を
嘘と知らずに信じてた
夜が夜が夜が泣いてる
ああ 女のためいき
どうでもなるよになったらいいと
思いなやんだ時もある
なににすがって生きるのか
暗い暗い暗い灯影の
ああ 女のためいき
男と女の悲しいさだめ
なんで涙がつきまとう
ほれているから憎いのよ
未練未練未練一つが
ああ 女のためいき
2.命かれても
作詞:鳥井実
作曲:彩木雅夫
惚れて振られた 女の心
あんたなんかにゃ わかるまい
押え切れない 淋しさは
死ぬことよりも つらいけど
なぐさめなんかは 欲しくない
みんなあんたが おしえてくれた
酒もタバコも うそまでも
泣かぬつもりで いたけれど
裏町ギターの あの唄に
今夜はしみじみ 泣かされる
こんどこそはと 命をかけて
惚れてみたけど 駄目だった
女の青春を唇を
返してくれとは 言わないが
死ぬまで愛して 欲しかった
3.盛り場ブルース
作詞:藤三郎
作曲:村上千秋
咲いて流れて散って行く
今じゃ 私も涙の花よ
どこにこぼした まことの涙
さがしたいのよ 銀座 赤坂 六本木
お酒飲むのも なれました
むせるタバコに あなたを忍ぶ
小雪はらって 今夜もひとり
酔ってみたいの 洞爺 すすきの 定山渓
酔ってもえてる この腕に
あなたならばと 瞳をふせる
想い出させる 七夕の夜
恋の細道 青葉 国分 一番町
泣けぬ私の 身がわりに
ついだお酒が この手をぬらす
夜のお城の つれない風に
髪も乱れる 栄 今池 広小路
通り雨には すがれない
いっそ 明日が来ないでほしい
すがるこいさん 涙にぬれて
帰るあてなく 南 曾根崎 北新地
路地のひかげの 小石でも
いつか 誰かがひろってくれる
願いをかけた チャペルの鐘が
今日もせつない 薬研 八丁 本通り
グラス片手に 酔いしれて
夢のあの日が お酒に浮かぶ
ぐちも言います 人形だって
誰がなかせる 中洲 天神 柳町
流れたくない 流れたい
愛したくない 愛していたい
何を信じて 生きてく女
春はいつくる 渋谷 新宿 池袋
4.花と蝶
作詞:川内康範
作曲:彩木雅夫
花が女か 男が蝶か
蝶のくちづけ うけながら
花が散るとき 蝶が死ぬ
そんな恋する 女になりたい
花が咲くとき 蝶が飛ぶ
蝶が死ぬとき 花が散る
春を競って あでやかに
どちらも どちらも 命を賭ける
花のいのちは 短いけれど
蝶のいのちも はかなくて
花が散るとき 蝶が死ぬ
そんな恋する 二人になりたい
5.ひとり酒場で
作詞:吉川静夫
作曲:猪俣公章
ひろい東京に ただ一人
泣いているよな 夜が来る
両手でつつむ グラスにも
浮かぶいとしい 面影よ
夜の銀座で飲む酒は
なぜか身にしむ 胸にしむ
嘘で終わった 恋なんか
捨てて忘れて しまいたい
男の意地も おもいでも
流せ無情の ネオン川
夜の銀座で飲む酒は
なぜか身にしむ 胸にしむ
暗い東京の 酒場でも
夢があるから 酔いにくる
今夜はとても 淋しいと
そっとあの娘が 言っていた
夜の銀座で飲む酒は
なぜか身にしむ 胸にしむ
6.年上の女
作詞:中山貴美
作曲:彩木雅夫
だから分って ほしいのと
そっとからんだ 白い指
放したくない つらいのよ
だめよだめだめ つらいのと
泣いてすがった 年上の女
髪の乱れの ひとすじに
甘い香りを 残してた
胸のしんまで もえたのよ
だめよだめだめ いけないと
いのち燃やした 年上の女
もえるせつなさ 苦しさを
そっとおしえた 雨の夜
二度と逢っては いけないわ
だめよだめだめ つらいのと
涙で別れた年上の女
7.港町ブルース
作詞:深津武・なかにし礼
作曲:猪俣公章
背のびして見る海峡を 今日も汽笛が遠ざかる
あなたにあげた 夜をかえして
港、港 函館 通り雨
流す涙で割る酒は だました男の味がする
あなたの影を ひきずりながら
港、宮古 釜石 気仙沼
出船 入船 別れ船 あなた乗せない帰り船
うしろ姿も 他人のそら似
港、三崎 焼津に 御前崎
別れりゃ三月 待ちわびる 女心のやるせなさ
明日はいらない 今夜が欲しい
港、高知 高松 八幡浜
呼んでとどかぬ人の名を こぼれた酒と指で書く
海に涙の ああ愚痴ばかり
港、別府 長崎 枕崎
女心の残り火は 燃えて身をやく桜島
ここは鹿児島 旅路の果てか
港、港町ブルースよ
8.望郷
作詞:橋本淳
作曲:猪俣公章
女心の 故郷は
忘れたはずの 男の胸よ
爪をかむのは 誰のため
しのび泣くのは誰のため
永遠に愛して 離さずに
あなたに会いたい 遠い遠い ひとだけど
夜汽車にゆられ 幾時間(いくじかん)
あなたみたくて帰ってゆくの
甘えたいのよいつの日も
見てて欲しいのいつだって
泣いて別れた 北国の
離ればなれの 遠い遠い ひとのため
幸せ薄い 私にも
いつかくるのね女の春が
じっとこらえて耐えるのも
あなたがいるとすがるのも
私ひとりを 待っている
涙の故郷 夢に夢に うかぶから
9.おふくろさん
作詞:川内康範
作曲:猪俣公章
おふくろさんよ おふくろさん
空を見上げりゃ 空にある
雨の降る日は 傘になり
お前もいつかは 世の中の
傘になれよと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない
おふくろさんよ おふくろさん
花を見つめりゃ 花にある
花のいのちは 短いが
花のこころの 潔ぎよさ
強く生きよと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない
おふくろさんよ おふくろさん
山を見上げりゃ 山にある
雪が降る日は ぬくもりを
お前もいつかは 世の中に
愛をともせと 教えてくれた
あなたの あなたの真実
忘れはしない
10.放浪船
11.冬の旅
作詞:阿久悠
作曲:猪俣公章
ある日何かで これを読んだら
恋人あなたは わかってくれ
泣いて一生 無駄に暮らすな
すぐにも幸せ さがしてくれ
もうあなたのところへは 帰らないだろう
ひとりひとり旅に発つ 雪の降る町へ
もしも誰かに たずねられたら
あいつは駄目だと 話してくれ
女心も 知らぬ奴だと
話を合わせて けなしてくれ
もうあなたのところへは 帰らないだろう
ひとりひとり旅に発つ 雪の降る町へ
だからあなたも 部屋を片づけ
二年のくらしを 忘れてくれ
俺の匂いの 残るものなど
一つも持たずに 歩いてくれ
もうあなたのところへは 帰らないだろう
ひとりひとり旅に発つ 雪の降る町へ
12.襟裳岬
作詞:岡本おさみ
作曲:吉田拓郎
北の街ではもう 悲しみを暖炉で
燃やしはじめてるらしい
理由(わけ)のわからないことで 悩んでいるうち
老いぼれてしまうから
黙りとおした 歳月(としつき)を
ひろい集めて 暖めあおう
襟裳の春は 何もない春です
君は二杯めだよね コーヒーカップに
角砂糖をひとつだったね
捨てて来てしまった わずらわしさだけを
くるくるかきまわして
通りすぎた 夏の匂い
想い出して 懐かしいね
襟裳の春は 何もない春です
日々の暮らしはいやでも やってくるけど
静かに笑ってしまおう
いじけることだけが 生きることだと
飼い馴らしすぎたので
身構えながら 話すなんて
ああ おくびょう なんだよね
襟裳の春は 何もない春です
寒い友だちが 訪ねてきたよ
遠慮はいらないから 暖まってゆきなよ
13.さらば友よ
作詞:阿久悠
作曲:猪俣公章
このつぎの汽車に乗り 遠くへ行くと
あの人の肩を抱き あいつはいった
お前にはこの恋を わかってほしいと
くり返しそういって あいつは泣いた
さらば友よ もう何もいわない
ここで ここで 見送ろう
うしろ姿を
打ち明けてくれたのが せめての救い
裏切りといえるけど 許してもいい
なにかしらいいたげな あの人の瞳に
キラキラと光ってる 涙を見た
さらば友よ もうあうこともない
胸で 胸で 音たてて
何かが消えた
ベルの音ききながら しみじみ思う
ふたりともそれなりに 悩んだだろう
しあわせを祈るよと いいたいけれど
なぜかしら素直には いえなかったよ
さらば友よ もうふり向くじゃない
俺の 俺の この涙
知られたくない
14.さざんか
作詞:中山大三郎
作曲:猪俣公章
春に咲く 花よりも
北風に咲く花が好き
そんな言葉を残して 出ていったね
別れのわけも 言わないで
さざんかの花びらが
小さな肩先に こぼれていたよ
やさしさが ほしいのよ
ほかには何もいらないの
いつか涙をうかべて あまえたね
悲しいほどに いじらしく
さざんかの花よりも
かぼそい肩先が ふるえていたよ
春が逝き 夏が逝き
北風寒い冬が来た
いまはどうしているのか しあわせか
はぐれたときは おかえりよ
さざんかの花びらが
そろそろあの道に こぼれるころさ
15.雨の桟橋
作詞:中山大三郎
作曲:中山大三郎
おまえは新しい夢に生きてくれ
おれなんか忘れてしあわせつかめと
雨の桟橋に消えてゆく人よ
何もわかっちゃいないのよ 夢に生きろというなんて
あなたと別れてしあわせになれましょうか
あなたがはじめての恋じゃないけれど
その胸に終りたい命の恋なの
雨の桟橋にドラが鳴りひびく
女心も知らないで 何が男のいたわりよ
あなたと別れてしあわせになれましょうか
あなたの船が行く 雨は降りしきる
傘を抱き見送れば あふれる涙よ
雨の桟橋に影がくずれたら
それは女のなきがらよ あなた船から見えますか
あなたと別れてしあわせになれましょうか
16.東京物語
作詞:阿久悠
作曲:川口真
今日からは赤い爪 あなたに見せない
すき透る桜貝 あなたの好きな色
一日に二本だけ 煙草を吸わせて
珈琲の昼下がり あなたを待つ夜ふけ
群れからはなれた 男と女が
小羊みたいに 肌寄せあって
どこかで忘れた青春のかざりもの
さがしているような
東京物語
夏が過ぎ秋が来て もうすぐ木枯し
この冬はあたたかい あなたがいてくれる
何もまだ約束は したわけじゃないが
春まではこのままで くらしていましょうね
どこにもいるよな 男と女が
ふとしたはずみで 声かけ合って
たがいに似ている さびしげな目の色を
見つめているような
東京物語 東京物語
17.新宿・みなと町
作詞:麻生香太郎
作曲:西谷翔
新宿はみなと町
はぐれ者たちが 生きる辛さ
忘れて酒をくみかわす町
人を押しのけて生きてゆくより
安い酒に酔いたいね
新宿… 新宿… 新宿みなと町
新宿はみなと町
心焼き尽(つく)し 背中まるめ
見果てぬ夢を語りつぐ町
誰もさみしさが苦いのだろう
俺に似てるやつばかり
新宿… 新宿… 新宿みなと町
新宿はみなと町
旅に出たやつも 流れ者も
いつかはふらり舞いもどる町
生きて行くことは上手(うま)くなくても
どこか優しい仲間たち
新宿… 新宿… 新宿みなと町
18.恋月夜
作詞:麻生香太郎
作曲:西谷翔
あんたの匂いが 恋しいよ
飾りもなんにもいらないよ
ひとりじゃ寒かろ つらかろうと
やさしい声が聞きたいよ
どこでどうしていたなんて いいよ
そうさ 戻ってくれりゃいいよ
あんたにはじめて 抱かれたあの夜に
ぼっち ぼっち 帰りたい
おんな恋月夜
終電あとの 踏切りは
女が越えるにゃ 寒すぎる
誰かにそっと 上着など
かけてほしい 夜空だよ
どこでどうしていたなんて いいよ
そうさ 顔だけ見れりゃいいよ
まつげをふるわせ 抱かれたあの夜に
ぼっち ぼっち 帰りたい
おんな恋月夜
心じゃとうに 別れても
身体があんたを呼んでるよ
女は悲しい 生きものさ
うそでも 夢に酔いたいよ
どこでどうしていたなんて いいよ
そうさ 包んでくれりゃいいよ
あんたにはじめて 抱かれたあの夜に
ぼっち ぼっち 帰りたい
おんな恋月夜
19.命あたえて
作詞:川内康範
作曲:猪俣公章
はなれていました 長いこと
おんなひとり寝 眠られず
息ずく 乳房抱きしめながら
なおさら 寂しい わたしの愛に
誰か 誰か 誰かお願い 命あたえて
忘れてしまったわけじゃない
愛のぬくもり 欲しいけど
体が燃える 心が冷える
傷つきすぎた わたしの愛に
誰か 誰か 誰かお願い 命あたえて
はなれていました 長いこと
声をこらえる よろこびに
とろけるほどの よろこびに
身悶えしたい わたしの愛に
誰か 誰か 誰かお願い 命あたえて
20.それは恋
作詞:秋元松代
作曲:猪俣公章
朝露の 深い道から
訪れて 私をとらえ
夕もやの 遠い果てから
呼びかけて 私をとらえ
ひたすらの 愛の願い
あふれさせたもの
それは恋 私の恋
逢う時は 姿も見せず
うつつなく けれど確かに
言葉なく 名前も告げず
ひそやかに けれど確かに
よみがえる 愛の誠を
あふれさせたもの
それは恋 私の恋
ある時は 心もとなく
疑いに 思い乱れて
ある時は おそれにゆらぎ
悲しみに 我を忘れて
その故に 愛の祈りを
あふれさせたもの
それは恋 私の恋
21.冬のリヴィエラ
作詞:松本隆
作曲:大瀧詠一
彼女(あいつ)によろしく伝えてくれよ
今ならホテルで寝ているはずさ
泣いたら窓辺のラジオをつけて
陽気な唄でも聞かせてやれよ
アメリカの貨物船が
桟橋で待ってるよ
冬のリヴィエラ 男って奴は
港を出てゆく船のようだね
哀しければ 哀しいほど
黙りこむもんだね
彼女(あいつ)は俺には過ぎた女さ
別れの気配をちゃんと読んでて
上手にかくした旅行鞄に
外した指輪と酒の小壜さ
やさしさが霧のように
シュロの樹を濡らしてる
冬のリヴィエラ 人生って奴は
思い通りにならないものさ
愛しければ 愛しいほど
背中合わせになる
皮のコートのボタンひとつ
とれかけて サマにならない
冬のリヴィエラ 男って奴は
港を出てゆく船のようだね
哀しければ 哀しいほど
黙りこむもんだね
22.人を恋うる唄
作詞:たかたかし
作曲:岡千秋
露地にこぼれた 酒場の灯り
しみてせつない 放浪れ唄
おまえがそこにいるならば
リラの花咲く町もいい
汽笛きこえる 港もいい
夜にはぐれて ふりむきゃ俺も
酒のにがさが わかる歳
おまえがそこにいるならば
肌をあたため眠ろうか
明日の夢でも 語ろうか
北へ行こうか それとも西へ
風が背中を 吹きぬける
おまえがそこにいるならば
二度とこの愛 はなさない
俺の旅路に 目もさそう
23.北の螢
作詞:阿久悠
作曲:三木たかし
山が泣く 風が泣く
少し遅れて 雪が泣く
女 いつ泣く 灯影(ほかげ)が揺れて
白い躰(からだ)がとける頃
もしも 私が死んだなら
胸の乳房をつき破り
赤い螢が翔(と)ぶでしょう
ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨(うら)みを忘れて 燃えて行け
雪が舞う 鳥が舞う
一つはぐれて 夢が舞う
女 いつ舞う 思いをとげて
赤いいのちがつきる時
たとえ 遠くにはなれても
肌の匂いを追いながら
恋の螢が翔ぶでしょう
ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨みを忘れて 燃えて行け
ホーホー 螢 翔んで行け
恋しい男の胸へ行け
ホーホー 螢 翔んで行け
怨みを忘れて 燃えて行け
24.昭和流れうた
作詞:いではく
作曲:遠藤実
昭和流れうた 心にしみる
酒に酔う時 あなたがうかぶ
どうして どうして 忘れさせない
苦しむだけね わたしの愛は
今度は男に生れてきたい
昭和流れうた 女の涙
恋の苦しみ 死ぬよりつらい
なんども なんども あなたの胸に
抱かれた夢で 枕がぬれる
今度は男に 生れてきたい
昭和流れうた どなたが唄う
あなた恋しい 流しのギター
どんなに どんなに うらんでみても
いとしさすぐに こみあげ泣ける
今度は男に 生れてきたい
25.ゆうすげの恋
作詞:中山大三郎
作曲:中山大三郎
ゆうすげは 淡い黄色よ
夜に咲き 朝に散る花
あなたは夜更けに来て 朝帰る
その度別れの匂いをおいてゆく
さよならは 言わないで
初めての 恋じゃないけど
あなたには 命がけなの
やさしさだけ欲しいと 言わないわ
あなたと一緒に歩いてゆきたいの
この思い わかってよ
山陰に 咲いて散りゆく
ゆうすげも 命ある花
あなたがただひとつの夢なのよ
すべてを投げ出しつくしてみたいのよ
いつまでも どこまでも
26.十六夜舟
作詞:白鳥園枝
作曲:中村清一
乗せて下さい 十六夜舟に
月の岸辺に 葦(あし)の葉がゆれる
愛をためらう 心と心
いいの私は かまわない
あなただけです この命
漕いで下さい 十六夜舟を
寄せるさざ波 情けの夜風
はなさないでね このままずっと
罪な女と いわれても
あなたなしでは 生きられぬ
明日(あす)のあてない 十六夜舟に
霧にかすんだ はるかな灯り
遠くはなれて 泣くことよりも
これでいいのよ なにもかも
あなたひとすじ ついてゆく
27.京都去りがたし
作詞:売野雅勇
作曲:森進一
比叡(ひえい)おろしの吹く夕暮れは
仕方ないほど あゝ淋しくて
ヒュルル ヒュルルと背中で泣いて
哀しい人のささやきになる
貧(まず)しい女やから
あなた待つしかよう知らん
京都 京都 あゝゝ去りがたし
祇園祭の宵山(よいやま)の夜
切ない鉦(かね)を素肌で聞いた
涙集めた時の川面(かわも)を
浴衣(ゆかた)の帯が流されてゆく
淋しい女やから
憎むことなどようできん
京都 京都 あゝゝ去りがたし
心変りがないでもないと
さんねん坂の部屋で待ちます
ヒュルル ヒュルルと凍(こご)えた風が
春の遠さを告げて哀しい
貧しい女やから
思い出だけで温かい
京都 京都 あゝゝ去りがたし
28.指輪
作詞:麻生香太郎
作曲:森進一
指にくいこむ 想い出よりも
今夜はやさしい あなたが欲しい
指輪 グラスに 投げ入れりゃ
抱いて抱いてと 浮き沈み
きりもみしながら 身を焦(こ)がす
あの日私に めかくしさせて
指に通した おもいで指輪
涙ぐんだら 抱き寄せて
とても似合うと うなずいた
あなたを信じて 燃えた夜
思い切ろうと はずしたはずの
指輪にあなたが キラリと光る
いっそ憎めりゃ 楽なのに
酔えば酔うほど 恋しくて
この手に指輪を 戻すのよ
29.うさぎ
作詞:保富康午
作曲:猪俣公章
あの日はほんとに暑かった
村へと続く白い道
かげろうだけが揺れていた
夢中でぼくは 走ってた
母さん 待っててすぐ帰る
大事な仕事忘れてた
女手ひとつで ぼくたちを
育ててくれた母さんは
落した肩で うなずいて
遠くの村をみつめてた
貧しくひなびたあの村は
悲しく捨てた ふるさとさ
親子で荷物を持ちあって
真夏の道を港まで
おさない末の弟は
疲れて泣いて しゃがみこむ
おぶってやろうと思っても
許しておくれ 無理だった
(セリフ)ようやく港に着いた時 突然ぼくは 思いだす
小学校の夏休みに うさぎの係をしてたこと
このまま出かけてしまったら うさぎは餓えて死ぬだろう
あわてて駆け出すぼくだった
今来た道を学校へ
おなかを空かす つらさなら
誰よりぼくが知っている
待ちかねていた うさぎたち
さし出すエサに飛んでくる
埃にまみれてたどり着く
港に船はもういない
今度の船が出るまでに
どれだけ長く待つことか
それでも母さん ひとことも
叱らずぼくに ほほえんだ
母さんなにより嬉しいよ
こんなにつらい時でさえ
やさしい心忘れない
おまえは強い男の子
めったに泣かない母さんの
まぶたが濡れて光ってた
あれから何年たったかな
苦しい時が来るたびに
白いうさぎを思い出す
母さんの目を思い出す
いっしょうけんめい生きてます
母さんほめてくれますか
いっしょうけんめい生きてます
母さん泣いてくれますか
母さん 母さん
母さん 母さん
30.泣かせ雨
作詞:石本美由起
作曲:市川昭介
あなたに夢で 逢えたらいいと
今夜も想う 雨の宿
いつか添えると 信じて待って
愛の季節の花も散り
独り淋しさ抱きしめる 抱きしめる
男の恋は ひと夜の情け
女の恋は 死ぬ日まで
冬でなくても 心は寒い
見捨てないでと すがっても
揺れておもかげ 遠ざかる 遠ざかる
運命のままに ただ生きるのは
馬鹿よと泣いて 叱る雨
いまも好きです あなたの許へ
漕いで行きたい 夢小舟
熱い命火 届けたい 届けたい
31.愛しい人よ
作詞:魚住勉
作曲:馬飼野康二
なぜ君は 哀しくなるのか
なぜいつも 自分をせめるの
さびしさと せつなさで
時間のなかを 旅する人よ
でも僕がこのままいるから
もし永遠の 変わらぬ気持ちで
優しさと 温もりを
綺麗な君に 約束しよう
※愛しい人よ 可愛い人よ
もうだれにも もう何処へも
もうはなしはしない
愛しい人よ 可愛い人よ
君は僕の恋人※
なぜ君は大人になるのか
なぜとても綺麗になるのか
髪形と着る服で
突然僕をハッとさせるね
でも気分 少女のようだよ
ほら嘘を ときどきつくけど
幼なさと いじわるが
変わらないのが 君らしいよね
寄り添う時も 甘える時も
愛すること 信じること
あの夜空を駈けて
時間が流れ すべてを超えて
二人 星になるだろう
(※くり返し)
32.悲しい歌が流行ります
作詞:阿久悠
作曲:三木たかし
どうしたことでしょう この頃さびしい
悲しい歌が流行りそうです
また 泣くのでしょうか
ほろほろと 夜啼き鳥の
身悶える 夜ふけに
ああ 私は女です
どなたの手紙を読むのでしょうか
泣きぼくろ かくして
何でもないのよ 気持ちのせいでしょう
悲しい歌が流行りそうです
ただ思うだけです
カタカタと 窓を揺する
夜嵐に 怯えて
ああ 私は女です
どなたのノックを待つのでしょうか
膝小僧 かかえて
ヒタヒタと 通り過ぎる
しあわせを 追いかけ
ああ 私は女です
どなたと夜明けを見るのでしょうか
微笑みを うかべて
33.劇場の前
作詞:野口雨情
作曲:浜圭介
うちだしの 太鼓が響く
初秋の 街の甍に 赤い月
「あの月を御覧なさい」と
二人はただうつむいて涙ぐむ
帯の模様も
苅萱の はかなき草の浅黄染
軒の灯も初秋の
恋ゆえ かなし 薄あかり
「若くいましょう」と
二人は またうつむいて涙ぐむ
恋は「廓の明烏」
「泣かされました」と
云って泣く
帯の模様も
苅萱の はかなき草の浅黄染
軒の灯も初秋の
恋ゆえ かなし 薄あかり
うちだしの 太鼓が響く
初秋の 街の甍に 赤い月
うちだしの 太鼓が響く
初秋の 街の甍に 赤い月
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