1.夕焼けは嫌い
作詞:新井満
作曲:きくち寛
夕焼けは嫌いだったは
部屋中が 真赤になってさ
窓のカーテンも 布団も 灰皿も
あなたも……
雨の日は楽しかったは
部屋中が 洗濯物だらけ
隠れん坊したら 怒られたはね
階下(した)の人に……
覚えてますか ほら
傷ついた小鳥が 飛び込んで来た時
二人 喧嘩やめて ほら
看病したはね 夜明けまで
ほんとうは 欲しかったの
名前まで 考えていたけど
あなたの邪魔に なるだけだと
あきらめた……
涙なんか 零さないは
あの夕陽が 眩しいだけなの
昨日(きのう)までの暮しを 今 捨てて 一人
部屋を出て行く 私……
もう 忘れ物はないかと
そっと 後(うしろ)を 振り返ってみれば
ひび割れた 白い壁に
陽に焼けた 想い出のカレンダー
2.朝食
作詞:新井満
作曲:菅原進
朝刊を 開けたときに
眼にとまりました
ムスタキのコンサートの広告
あなた とても 好きだった
いつか 二人で 聴きに行く約束
果たせぬうちに 別れました
どんな方と 行ったのかしら
ふと 又 窓の外 見てる
ひとりぼっちの 朝食
ひとりぼっちの 朝食
街を 歩いていたら
二人で行った あの お店
飾り窓の ブルーのセーター
あなた とても 気に入ってた
誕生日に プレゼントする約束
果たせぬうちに 別れました
寒くないかしら こんな朝は
カフェオレが もう 冷めてる
ひとりぼっちの 朝食
ひとりぼっちの 朝食
静かに雨が降る 朝には
心が 傷みます
玄関の 黒いレインコート
あの日 あなた 忘れてった
最後の煙草の火 消して
階段を おりてった
遠ざかる あなたの足音
今でも 耳で 鳴ってる
ひとりぼっちの 朝食
ひとりぼっちの 朝食
3.遺言
作詞:新井満
作曲:きくち寛
あいつが死んだ 前の晩
酒を 汲みかわしながら
あいつは 俺の眼を じっと見つめ
しみじみ 話をした
ああ 何の為に俺達は 今
生きているんだろうネ
明日が 今日と変わりがないなら
生きる意味があるんだろうか
俺は答えず 少し笑って
かたわらのギターを 取って
どうにかなるさ なんて歌を 歌って
又 酒を飲んだ
それから あいつは黙り込んで
酒も飲まなくなっちまって
俺は俺で 歌ばかり歌って
へべれけに 酔っぱらっちまったョ
あいつの肩車で 外に出た
とこら辺までは 覚えているけど
気が付いてみると 下宿の二階
二日酔いの朝だった
その頃 あいつは 一人ぼっちで
カラッポの薬ビンの そばで
もう二度と帰れない旅に
出たところだった
4.別れの夜明け
作詞:新井満
作曲:新井満
東の空が赤い もうすぐ 陽が昇る
誰も居ないプラットホーム 一番列車に乗る
君は まだ夢の中 突然で ごめん
話は あいつに聞いてくれ 逢わずに行くョ
町はずれの 丘に登った
あの日を 覚えていますか
夕焼け雲の 向こうに
僕らは 何を 見たのか
あいつは この町に残る と
僕は 出て行くと 叫んだ
君は 少し困った顔で
黙って 遠くを見てたネ
あいつとはよく喧嘩をした だけどイイ奴さ
君となら うまくやれるだろう
あいつは 優しいもんナ
やがて君は 母さんのように
きれいに 歳をとり
よく似た子供の手をひいて
静かに 街を歩くだろう
愛してたよ あの頃は
二人で 暮すつもりだった
君を 幸せに出来ないまま
僕は 一人 町を出て行く
ああ もう 汽車が出る 故郷の
山よ 河よ 空よ
さよなら 君と僕の 青春
今 さすらいの 夜が明ける
5.風物語
作詞:新井満
作曲:新井満
もしも 僕があの日 道に迷わなかったら
栗色の髪の少女とは 出逢わなかっただろう
高原の秋は深く 行きかう人もない
陽だまりの 枯葉の中に 君を見つけた
風が吹いていた 雲が流れた
振り向いた君の 髪が揺れた
透き通るような細い指で 教えてくれた
森の向こうの遙かな空に 浅間が煙ってた
おびえた顔がいつか 微笑に変わって
風とお話していたのと 悪戯そうに言う
初めて出逢ったのに どうして懐かしい
風が吹きよせたのか 小さな愛を
静かな湖の 白いサナトリューム
時の流れに取り残された 魔法のような
雪が消えて 花の春も 通りすぎて
眩しい夏の終わる頃 手紙がとだえた
灯が風に 吹き消されるように
君の居ないベッドに 一輪 かすみ草
残された詩集 そっと開けてみると
生きる きっと生きてみせる……
消えかかる文字で
想い出の小径へ あれから もう一年
あの日のままの景色の中に 君だけが居ない
風が吹いてゆく 君が遠ざかる
風が吹いてゆく 君が遠ざかる
6.オクトーバー14・外は雨
作詞:新井満
作曲:菅原進
青い風船 ひとつ 糸切れて
風に吹かれて 飛んでった
窓のレースのカーテン ふるえてる
私の心のように
赤いバラの花束 買って来た
こんな寒い朝だから
けれど 飾らぬうちに しおれたの
私の心のように
ここは オクトーバー14
ここは オクトーバー14
白いテーブルに コーヒー ひとつ
でも あの頃は いつも ふたつ
壁の古時計 こわれて動かない
私の心のように
サヨナラも言えず 別れた
あの日も 外は雨でした
遠い船の汽笛が 泣いていた
私の心のように
ここは オクトーバー14
ここは オクトーバー14
7.ローストシティラヴ
8.Monica
作詞:新井満
作曲:新井満
心がブルーな時に 港で出逢った
ソバカスだらけの女の子 ポッケにハーモニカ
その名は Monica Monica Monica
淋しい心に 歌をくれたよ
港が見える丘の上 ハーモニカ吹けば
カモメが歌に合わせて 空を踊るよ
その名は Monica Monica Monica
どんな時でも 歌を忘れない
僕にお嫁さんが来た日 教会の屋根で
愛の歌を吹いてくれた 不思議な女の子
その名は Monica Monica Monica
二人の心に 虹をかけたよ
ある朝 港へ行ったら あの子が見えない
見知らぬ国の船に乗り 行ってしまったという
その名は Monica Monica Monica
どんな時でも 歌を忘れない
その名は Monica Monica Monica
今でも 聴こえる Monicaの歌が…
9.日曜日の平和
作詞:新井満
作曲:新井満
日曜日の朝早く 窓ガラス蹴破って
血だらけのライオンが 飛び込んで来ました
「病院ならスグ隣りだョ」と
ベッドの中で つぶやくと
「どうもありがとう ご親切に!」と言って
飛び出して行きました
日曜日の朝は ネムイ お客は御免だ
昼まで寝よう
日曜日の朝早く レンガの煙突かいくぐって
酔っぱらいのサンタクロースが
飛び込んで来ました
「あれ?クリスマスは まだ
二ヵ月も 先なんだけどなァ…!?」と
ベッドの中で つぶやくと
「大変失礼しました 出直します」と言って
飛び出して行きました
日曜日の朝は ネムイ お客は御免だ
昼まで寝よう
日曜日の朝早く 天井の羽目板ぶち破って
円盤に乗った宇宙人が 飛び込んで来ました
「もういい加減にしろ
ノックもせずに 入ってくるなんて!」と
ベッドの中で つぶやくと
「コリャ オジャマデシタカ
デハ ゴキゲンヨー」と言って
飛び出して行きました
日曜日の朝は ネムイ お客は御免だ
昼まで寝よう
日曜日の朝早く 窓からも煙突からも
天井からも誰一人 飛び込んで来ません
「シメタ! 今日はお客が一人も来ない
ゆっくり 昼まで寝るか…」と
ベッドの中で つぶやくと
ライオンとサンタクロースと宇宙人が
どッ と表玄関から飛び込んで来たのであります
日曜日の朝早く 「助ケテクレェー」と
叫んで飛び出して行った
あれは 僕です
日曜日の朝早く……
日曜日の朝早く……
10.カサブランカの少年
作詞:新井満
作曲:泉つとむ
カサブランカの
碧い 碧い 碧い 空に
流れ星の
白い 白い 白い 花が
咲いた
それを それを 見てたのは
盲の
カサブランカの少年 ひとり
たった ひとり
カサブランカの
碧い 碧い 碧い 空に
流れ星の
赤い 赤い 赤い 花が
咲いた
誰も 誰も 見てはいなかった
盲の
カサブランカの少年 死んだ
死んだ 夜
11.何処へ
作詞:新井満
作曲:新井満
どこへ行くあてもないのだけれど
帰るには あまりに遅すぎる
海に出たまま 港が
見つからない 小舟のように
どこへ どこへ
どこへ どこへ
あの キラキラ輝いていた
少年の日々は どこへ
行ったー
立ち止まってみても 知る人は亡い
振り返ってみても 影も見えない
二人で眺めた 陽が昇るのを
今 一人見る 陽が沈むのを
どこへ どこへ
どこへ どこへ
いつのまにか滅びてしまった
あの日の愛は どこへ
行ったー
思い出そうとして 思い出せない
僕の夢とは 何だったのか
ああ 人生が 耳のそばを
サラサラと 流れ過ぎて行く
どこへ どこへ
どこへ どこへ
うしろ向きに飛ぶ鳥のように
闇の空を どこへ
行くのかー
行くのかー
12.いちどだけのファンレター
13.時が過ぎて
作詞:加賀富美子
作曲:ベトナム曲
夕日がおまえを 恋にそめていた
海の風より やさしい微笑み
いまでは時が過ぎて ながい黒髪も
想い出せない 逢いに行きたい
ふたりがはなれて 生きて行くなんて
きっと終るさ 待っててほしい
小舟がおまえの 心ゆらしてた
星の砂浜 やさしい月影
いまでは時が過ぎて 赤いくちびるも
想い出せない 逢いに行きたい
ふたりが結ばれ 生きて行ける日が
きっと来るのさ 信じてほしい
いまでは時が過ぎて 赤いくちびるも
想い出せない 逢いに行きたい
|