川中美幸2009年全曲集

川中美幸 川中美幸2009年全曲集歌詞
1.木曽川しぐれ

作詞:水木れいじ
作曲:弦哲也

旅に身をひく 女の肩に
俄か雨ふる 馬籠の峠
さだめという名の この橋渡り
強く生きると 決めたのに……
憎い恋しい 面影ゆれて
今日も 今日も泣かせる
木曽川しぐれ

鳥居峠も ふたりで来れば
つげの櫛など 買ったでしょうね
別れのまぎわに 笑って見せた
あれは女の 意地でした……
すがりたい手を なぜ離したと
責めて 責めているよな
木曽川しぐれ

ひとり泊りの 妻籠の宿に
咲いて哀しい ゆうすげの花
酔うほどせつない あなたが欲しい
夢で逢うのも 罪ですね……
みれん灯りか 千本格子
濡れて 濡れて誰待つ
木曽川しぐれ


2.夫婦ちゃんりん

作詞:かず翼
作曲:弦哲也

惚れあって…
愛が道づれ 笑顔のふたり
ほろり酔わせる なさけ酒
亭主の好きな 何とやら…
バカになります 可愛いバカに
夫婦ちゃんりん 軒端(のきば)にふたつ
揺れて寄り添う 夢風鈴

しあわせは…
肩にまわした 手のぬくもりね
浮くも沈むも 一緒です
こころで磨く 宝もの
他人(ひと)にゃ分らぬ あなたの値打ち
夫婦ちゃんりん 水面にふたつ
落ちて流れる 恋紅葉

人生は…
なみだ七坂 いばらの道も
ついて行きます どこまでも
あなたに尽くす 嬉しさは
苦労重ね着 昭和のおんな
夫婦ちゃんりん 小枝にふたつ
春へ飛び立つ 寒すずめ


3.金沢の雨

作詞:吉岡治
作曲:弦哲也

東京ことばと 加賀なまり
愛するこころに 違いはないわ
合縁奇縁のこの恋を
咲かせてみせます
あなたと出会った 片町あたり
相々傘です 金沢の雨

影笛きこえる 茶屋街の
灯りがぼんやり 滲(にじ)んで揺れた
男の甲斐性と意地張らず
わたしにください
石段坂道 苦労を背負って
ふたりで濡れましょ 金沢の雨

川なら犀川 浅野川
春夏秋冬(はるなつあきふゆ) 水面に写す
友禅流しの緋の色は
絆の色です
雨の日晴れの日 寄り添いあって
相々傘です 金沢の雨


4.二輪草

作詞:水木かおる
作曲:弦哲也

あなた おまえ
呼んで呼ばれて 寄り添って
やさしくわたしを いたわって……
好きで一緒に なった仲
喧嘩したって
背中あわせの ぬくもりが
かようふたりは ふたりは二輪草

ほうら ごらん
少しおくれて 咲く花を
いとしく思って くれますか……
咲いて清らな 白い花
生きてゆくのに
下手なふたりが さゝやかな
夢をかさねる ふたりは二輪草

おまえ あなた
春がそこまで 来たようだ
よかった一緒に ついて来て……
雨よ降れ降れ 風も吹け
つらいときにも
生きる力を くれるひと
どこに咲いても ふたりは二輪草


5.女 泣き砂 日本海

作詞:阿久悠
作曲:三木たかし

宿の枕が固過ぎて
眠りも浅く 夢も見ず
遠いあなたを 恋しがるだけ
つらい 夜でした
女ひとりの旅の朝
ふらり歩けば 日本海
砂が泣くことを知っていますか
キュッキュ キュッキュと泣くのです
あなた恋しと呼ぶのです

海に嵐が吹き荒れて
季節が冬に 色を変え
砂のおもても どこか蒼ざめ
寒い朝でした
女ひとりの もの想い
こころ揺るがす 日本海
砂が泣くことを知っていますか
キュッキュ キュッキュと泣くのです
あなた恋しと 呼ぶのです

砂が泣くことを知っていますか
キュッキュ キュッキュと泣くのです
あなた恋しと 呼ぶのです


6.貴船の宿

作詞:吉岡治
作曲:弦哲也

はじめから
身丈に合わない 恋ですが
結べる縁(えにし)は ありますか
雨をあつめて 流れる川と
たぎる心は 拒(こば)めない
京都 北山 ――
時雨かなしい 貴船の宿

逢うたびに
抱かれてしまえば 負けてゆく
つもった恨みも 望みさえ
月の光に さらした肌を
責めているよな 小夜あらし
京都 草風呂 ――
髪も冷たい 貴船の宿

何処までも
九十九(つづら)に折れてく 木の根みち
ふたりの明日に 似てますね
風に打たれて 添えない恋が
落ちて点々 紅椿
京都 朝霧 ――
夢もおぼろな 貴船の宿


7.遣らずの雨

作詞:山上路夫
作曲:三木たかし

元気で暮らせよなんて 優しい言葉
言って欲しくなかったわ
あなたへの想いを それじゃ
たち切る力も 弱まるわ
差し出した傘も 傘も受けとらずに
雨の中へと消えた人
見送れば もう小さな影ばかり
私も濡れる 遣らずの雨

幸せ掴めぬように 生まれて来たと
飲んであなたは笑ってた
二人して探してみれば
見つけることも 出来たはず
その胸に泣いて 泣いてくずれ落ち
あれが最後の夜でした
追ったって もう今では無駄なこと
私の涙 遣らずの雨

追いかける夢に 夢に疲れたら
どうか帰って この町に
見送れば もう遥かに消えてゆく
私も濡れる 遣らずの雨


8.豊後水道

作詞:阿久悠
作曲:三木たかし

背のびした 恋破れ
なぐさめる人もなく
信じていたのに
あなたはもう来ない
やせた女の旅路には
やさし過ぎるわ 春の海
こぼれ散る 紅椿
流れにひきこんで
何を急ぐか 豊後水道

この海が 銀河なら
逢(あ)う瀬もあるけれど
近くて遥かね
あなたと私には
岬巡ればまた入江
人の情(なさけ)に出会えそう
辛口(からくち)の地(じ)の酒を
海辺の宿で飲み
何を歌うか 豊後水道

爪の色 変えたのも
心が晴れたから
一人の旅でも
泣かないひとになる
春は何日早かった
風もうららで甘かった
海猫の棲(す)む島を
ぐるりと一まわり
何を想うか 豊後水道


9.おんなの一生~汗の花~

作詞:岩岡治
作曲:弦哲也

負けちゃ駄目だと 手紙の中に
皺(しわ)くちゃお札が 入ってた
晴れ着一枚 自分じゃ買わず
頑張る姿が 目に浮かぶ
お母ちゃん……苦労を苦労と思わない
あなたの笑顔が 支えです

俄か雨なら なおさらのこと
自分が濡れても 傘を貸す
人のやさしさ 教えてくれた
背すじを伸ばした 生き方も
お母ちゃん……煮豆も根性で花咲かす
あなたの言葉を 忘れない

歳をとっても 働きどおし
おんなの一生 すり減った
楽になってと 頼んでみても
いつでも笑って 首を振る
お母ちゃん……一生懸命生きている
あなたの背中が 道しるべ


10.北山しぐれ

作詞:水木かおる
作曲:岸本健介

何もかも 捨ててくれとは
死ぬほど好きでも 云えません
くちびる寒い 古都(こと)の秋
杉の木立ちに あなたは消えて
音もなく降る 北山しぐれ

さりげなく 後すがたで
泣き泣きさよなら 云いました
別れに貸した 女傘
捨ててください また陽がさせば
邪魔になるでしょ 北山しぐれ

夢なのね みんな夢だと
こころに淋しく 云いきかす
恋紅(こいべに)ふいた 白い指
そっとお酒に 持ちかえながら
ひとり聞く夜の 北山しぐれ


11.忍路海岸わかれ雪

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也

鉛色した 冬の海
風がヒュルヒュル 空になる
ひとり身を引く 女の胸に
ひとひらふたひら 雪が舞う
あなたさよなら
忍路海岸 わかれ旅

逢えば抱かれて しまうから
手紙ひとつで 伝えます
筆が走れば 乱れる文字に
思い出ばかりが にじみます
あなたさよなら
忍路海岸 ひとり宿

恋をするのも 女ゆえ
恋に泣くのも 女ゆえ
抱けばいとしい 乳房の重み
明日はどの人 好きになる
あなたさよなら
忍路海岸 わかれ雪


12.ちょうちんの花

作詞:阿久悠
作曲:円広志

ちょうちん一つ 椅子五つ
他人の肩も 気にならぬ
どちらの誰と 知らぬのに
人生ばなし して帰る

うなづき上手 のせ上手
お酒の酌の あいの手に
だけどどこかで貰い泣き
ポロリと涙こぼす夜も

咲いた 咲いた ちょうちんの花
咲いた 咲いた あたたかく

咲いた 咲いた ちょうちんの花
咲いた 咲いた ほのぼのと

なまえを描いた ちょうちんが
そろそろ少し くたびれて
浮き名を流す あてもなく
夢見る場所にも なりにくい

はやりの歌や 故郷(くに)の歌
何でもヒョイと こなしつつ
だけどわたしが誰よりも
酔いたい時も あるという

咲いた 咲いた ちょうちんの花
咲いた 咲いた あたたかく

咲いた 咲いた ちょうちんの花
咲いた 咲いた ほのぼのと

咲いた 咲いた ちょうちんの花
咲いた 咲いた あたたかく

咲いた 咲いた ちょうちんの花
咲いた 咲いた ほのぼのと


13.君影草 -すずらん-

作詞:水木かおる
作曲:弦哲也

白い小鈴(こすゞ)を ふるように
君影草の 花が咲く
どうして人は 別れてゆくの
しあわせくれた あの人が
私を泣かす 北の国

細くかなしい 指先に
君影草の 花を摘む
待つことだけが 生きがいでした
あの日の虹の 七いろは
はかない恋の まぼろしか

夢のつゞきは どうなるの
君影草の 花よ花
このまゝ旅を さまようながら
湖畔の宿の 明け暮れに
こころをきめて 帰りたい


14.母日和

作詞:亜久悠
作曲:弦哲也

むかし… 母は…
遠い故郷の 話をしてた
この胸に しまっておいた
宝物だと

あんたもさあ そういう景色
抱いて抱いて 生きなさい
いいひとに いいひとに なれるから

若い… 母は…
どこを旅して いたのでしょうか
いっぱいの きれいなものを
話し上手に

あんたもさあ こどものうちに
花に風に ふれなさい
そんなこと そんなこと いっていた

そんな… 母を…
なぜか近頃 よく夢にみる
貧しくも 豊かな顔で
生きていたなと

わたしももう あの母の年齢(とし)
鳥に 鳥に なりたいわ
いい景色 いい景色 見えるよう


15.歌ひとすじ

作詞:吉岡治
作曲:弦哲也

冬の寒さを 日照りの夏を
歩きつづけた 歌の道
人の心と 流れる水の
行方嘆いて なんになる
私は唄うわ 明日のために
歌ひとすじの ひとすじの道

恋を捨てれば 涙がさわぐ
歌に生きれば また迷う
死ぬも生きるも 二つに一つ
芸の深さは 計れない
闘う相手は いつでも自分
歌ひとすじの ひとすじの道

真一文字に 唄いつづけて
終ることない この旅は
夢を託して 命のかぎり
人の情けを 世の憂さを
私は唄うわ 心をこめて
歌ひとすじの ひとすじの道


16.ふたり酒

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也

生きてゆくのが つらい日は
おまえと酒があればいい
飲もうよ 俺と ふたりきり
誰に遠慮がいるものか
惚れたどうしさ おまえとふたり酒

苦労ばっかり かけるけど
黙ってついて来てくれる
心に笑顔 たやさない
今もおまえはきれいだよ
俺の自慢さ おまえとふたり酒

雪がとければ 花も咲く
おまえにゃきっとしあわせを
おいでよ もっと俺のそば
つらい涙にくじけずに
春の来る日を おまえとふたり酒