春告鳥

山口百恵 春告鳥歌詞
1.春爛漫(はるらんまん)

作詞:松本隆
作曲:鈴木茂

手に構えた一眼レフの
レンズの中あなたは振り向いて
春の海はひねもすのたり
寄せる時の流れもゆるやかに

未来の花嫁の腕に
花を投げる風と木の詩(うた)

※大地は浅き夢見し春
淋しき色は匂えど
春……春……らんまん
一人のただの女として
あなただけのために生きているから※

二歩遅れてあなたの背中
ヘッドホンを下げてる影を踏む
やさしささえはなせないけど
今 無言の約束信じても

未婚の旅人の先に
花の枝が作るトンネル

過去から未来への長旅
あなたの腕に触れれば
春……春……らんまん
一人のただの女として
心決めた言葉口に出さずに

(※くり返し)


2.イノセント(純粋)

作詞:松本隆
作曲:堀内孝雄

嵐の前の静けさ真似て
私は独りうずくまり
こんな仕打ちを投げた貴方を
憎みきれずに口を噛む

ありったけの想いをこめて
つめたい頬を打ちたいけれど
それで心の痛みが
消える訳でもあるまいし

※イノセント 愛しすぎて
イノセント 息がつまり
先ずあなたが次に私が哀しみに溺れる※

はなやぐ頃の手紙の束に
夜更けの庭で火を点けて
こんな綺麗に燃えるのよって
ちょっと虚ろに呟いた

吸えもしない煙草をふかし
むせても肩を撫でてくれない
叱る気持も失いほど
心が冷えてしまったの?

(※くり返し×2)


3.娘たち

作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童

どこから漂ってくるのだろう
月下美人 不思議な花の香り

甘い香りに誘われて
河のせせらぎの中を
娘達が渡ってゆく 今日も一人一人一人

水は身体に まといつき
豊かな胸は ビーナス

愛を大事に籠に入れ
頭にのせた ビーナス

鏡の中を通ったら
二度と無邪気な日々には
戻れないと知っているのに 今日も一人一人一人

ラララ

濡れたドレスは重くなり
月の雫のビーナス

愛を大事に籠に入れ
頭にのせた ビーナス

住みなれた家をあとに
時間に追われるように
娘達が渡ってゆく 今日も一人一人一人


4.抱きしめられて

作詞:松本隆
作曲:鈴木茂

暮れない街の壁にもたれて
音を消したTV黙って見てる
無口を通り過ぎて
せつなさだけ今はあなたに

男と女を足しても引いても
0(ゼロ)になる答えが哀しい

※抱きしめて……ひび割れるほど
硝子の若さ その破片で傷つけたいの
あなたを※

泣かされたあと薔薇を手折って
月の床に赤い花びら散らす
若さは意味もなしに
軽い罪を犯すものなの

歓び哀しみ足しても引いても
0(ゼロ)になる二人が淋しい

抱きしめて……息が切れるほど
私の胸の吹雪で今凍らせたいの
あなたを

(※くり返し)


5.愛染橋

作詞:松本隆
作曲:堀内孝雄

春一番が吹き荒れた後
花を敷いた路地へ
今日こそ返事聞かせてくれと
問いつめられそうで

あなた以上にやさしい人は
いそうにもないけど
結婚なんて旧(ふる)い言葉に
縛られたくなくて

橋の名は愛染橋
ほほえんで渡れば恋がかなう
うつむけばそれきりとまどい橋

うちは淋しい女やからね
愛なんてよう知らん
時の流れも春のうららに
渡りたい 渡れない

髪の芯まで飽きられる日が
来ないとも限らず
そしたらすぐに別れる勇気
ありそうでなさそで

橋の名は愛染橋
ただ一度渡ればもう戻れぬ
振り向けばそこから想い出橋

うちは愚かな女やからね
人生もよう知らん
けれどあなたに手招きされて
渡りたい 渡れない


6.愛の嵐

作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童

その人は幻(まぼろし) うす紅(くれない)のドレス着て
にっこり微笑んで
あなたに向って手招きしてた

心配そうなあなたの声で
私はようやく夢から醒める
さっきの首にまわした指が
ほんのちょっぴり強すぎたみたい

炎と書いてジェラシー
二人でこうして一緒にいるのに
ルビをふったらジェラシー
あなたがどこかへ行ってしまいそう
Jealousy storm, jealousy storm, storm storm……
心の貧しい女だわ……私

紫の煙 一息吐いて
好きだと容易(たやす)く口にするけど
屈託のない笑顔を見るとき
軽くあなたを憎んでしまう

狂うと書いてジェラシー
あなたのすべてを縛れない限り
ルビをふったらジェラシー
愛する極みで巻きこまれてゆく

Jealousy storm, jealousy storm
Jealousy storm, jealousy storm, storm, storm storm……
心の貧しい女だわ……私


7.ほゝえみのむこう側

作詞:門谷憲二
作曲:川口真

嫁ぐ日が間近になるほど
あなたはきれいになる
妹よ こっちをむいて
そう あの人に決めたのね

いつの日も私のうしろを
あなたは歩いてきた
ふりむけば木もれ陽の中
ひとりの女がいる

笑っているのよ どんな時にも
哀しい時のほゝえみもいいものよ
朝はさわやかに夜はあでやかに

抱きあってころがって
男と女はらしく生きるの
砂糖菓子は水をふくんで
しずかにとけてゆくから

道ならぬ誰かに恋して
その心乱れても
あどけなく嘘をつくのよ
いつかは忘れるから

いやだと言うのよ できないことは
黙っていると不幸になりやすい
愛がゆれたら話し合うのよ

抱きあって ころがって
はじめて二人は歩きはじめる
涙ぐんでほほえむだけで
すべてがわかる時まで

間違って傷ついて
どんなに時間がかかってもいい
砂糖菓子は水をふくんで
しずかにとけてゆくから


8.NAVY HILL

作詞:山川啓介
作曲:芳野藤丸

なつかしい風に 髪を洗わせて
ひとり登る 港の丘
あの人の腕に たどりつく前に
サヨナラを 置いて行くの
Hi! NAVY HILL
幼なじみの景色
Hi! NAVY HILL
ブルー・グレイの NAVY BAY
よく似た色をしていた 私の目も
ほのかに燃えてるはず

Bye! NAVY HILL
ひとりぼっちの少女は
Bye! NAVY HILL
死んでカモメになったわ
もう二度と
ここに立たずむこともない
あの子に どうぞよろしく

生まれて来たから
しかたなく生きる
罪なゲームは おしまいなの
おしまいなの


9.夕暮からあなたへ

作詞:門屋憲二
作曲:川口真

どこにいてもいい
何をしてもいい
そのすきに
悪い女になれる

恋はいかが
夕暮れが街へ誘(さそ)う
誰かさんの
やさしさの代り求め
店の 片すみで
髪を かきあげて
そっと 笑うのよ

哀しみは時がたつほどに
胸をしめつける
キャンドルにあなたの影が
淡く燃えて
ゆれるゆれる
今日も私だけトワイライト
ひとりぼっち

どんな愛も
よく見れば裏があるわ
薔薇の花が
隠してる棘のように
何が 苦しいの
いつも 傷つけて
人を ためすのね
むだよ
好きなだけどこにいてもいい
何をしてもいい
いつの日か私の胸に
帰る日まで
みえるみえる
だから泣かないでトワイライト
ひとりぼっち

店の 片すみで
髪を かきあげて
そっと 笑うのよ

哀しみは時がたつほどに
愛を強くする
街あかりあなたの影が
淡く燃えて
ゆれるゆれる
今日も私だけトワイライト
ひとりぼっち


10.しなやかに歌って-80年代に向かって-

作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童

しなやかに歌って 淋しい時は
しなやかに歌って この歌を

坂の上から見た街は陽炎(かげろう)
足につけたローラー 地面をけって滑ってく
夜は33の回転扉(とびら)
開ければそこには愛が溢れているのに
レコードが廻るだけ あなたはもういない
しなやかに歌って 淋しい時も
しなやかに歌って この歌を
素顔のままで 私はひとり
あなたの帰り待っているのです

澄んだ青い空の彼方をめざし
栗毛色のポニー手綱(たずな)を引けば走ってく
夜は33のページを開き
昨日の続きの本を読んでいるのに
お話は終りなの あなたはもういない
しなやかに歌って 淋しい時も
しなやかに歌って この歌を
飾りをすてた心のなかで
あなたの名前呼んでいるのです

しなやかに歌って 淋しい時は
しなやかに歌って この歌を
静かに時は流れてゆくの
夜はいつでも朝に続くはず
しなやかに歌って 淋しい時は
しなやかに歌って この歌を
しなやかに歌って 淋しい時に
しなやかに歌って この愛を