青春の詩

吉田拓郎 青春の詩歌詞
1.青春の詩

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

喫茶店に彼女とふたりで入って
コーヒーを注文すること
ああ それが青春

映画館に彼女とふたりで入って
彼女の手をにぎること
ああ それが青春

繁華街で前を行く
いかした女の娘をひっかけること
ああ それが青春

すてきな女(ひと)に口もきけないで
ラブレターを書いたりすること
ああ それが青春

Go Go クラブで汗だくになって
踊り疲れること
ああ それが青春

グループサウンズに熱中して
大声あげ 叫ぶこと
ああ それが青春

フォークソングにしびれてしまって
反戦歌をうたうこと
ああ それが青春

SEXを知りはじめて大人になったと
大よろこびすること
ああ それが青春

親にかくれて酒・タバコ・睡眠薬
はては接着剤シンナー遊び
ああ それも青春

アルバイトばっかりで学校へは行かず
てきとうにやること
ああ それが青春

飛行機のっとり革命叫び
血と汗にまみれること
ああ それが青春

勉強一筋他には目もくれず
わが道を行くこと
ああ それが青春

スポーツこそ男の根性づくりだ
やれサッカーやれ野球一年中まっ黒
それが青春

かっこいいスーツ かっこいい車
プレイボーイ プレイガールと呼ばれること
ああ それが青春

パチンコ・マージャン・競輪・競馬
かけごと専門のギャンブラー
ああ それが青春

一日中を規則通りに生きて
他に何んにもしないこと
ああ それが青春

ジュリー! ショーケン! キンチャン!
ああ それが青春

孤独になって ひとりで悩み
ひとりで考えること
ああ それが青春

自由気ままに思った通り
何んでもやってみること
ああ それが青春

さて青春とはいったい何んだろう
その答えは人それぞれでちがうだろう
ただひとつこれだけは言えるだろう
僕たちは大人より時間が多い
大人よりたくさんの時間を持っている
大人があと30年生きるなら
僕たちはあと50年生きるだろう
この貴重なひとときを僕たちは
何かをしないではいられない
この貴重なひとときを僕たちは
青春と呼んでもいいだろう
青春は二度とは帰ってこない
皆さん青春を……

今このひとときも 僕の青春


2.とっぽい男のバラード

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

何をやってもダメな
うすのろだけの男
好きな女がいても
他の男にとられて
とっぽくて とりえのない男

雨が降ろうと風吹こうと
一年中変らない
年がら年中すわってる
ひまさえあればすわってる
とっぽくて とりえのない男

生れる時代が違った
騒々しい世の中さ
お前ひとりがとまると
まわりがみんなおこりだす
とっぽくて 街も歩けない

昔のお江戸に住めたなら
もっと長生きできただろうに
長屋でゆっくり昼寝をしてから
夜になったらいっぱいやって

今の都会にゃお前が
ゆっくりすわれる場所もない
キャバレークラブへ行けば
すわれるかわりに金がいる
とっぽくて 遊べる金もない

男はとうとう自分の
ゆっくりできるところを
みつけるために旅に出た
ところが汽車にもすわれない
うすのろで すわる場所もない

最後に男は笑った
これでゆっくりできるだろう
この世じゃとっても住めない
あの世へ行けばすわれる
とっぽくて とりえのない男

あの世も今ではせまくなり
なかなかゆっくりできない
男はあの世で今日も
すわれるところをさがす
とっぽくて とりえのない男


3.やせっぽちのブルース

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

風が吹いてきたよ
心の中を 吹きぬけていく
お前さん どこからとんできたの
知らない街で恋をして
ふられて
この街へ 来たって言うのかい

風が吹いているよ
かわいい娘が笑った
お前さんの住んでたその街にゃ
ひとりでしんみり酒をのむ
やすくていい店は
なかったって言うのかい

風が消えていくよ
だれかに恋したら またおいで
お前さんの名前を聞いとこか
やせっぽちだね おいらと同じ
なんて名前だい
きのうの風って言うのかい

風を思いだすよ
おいらにゃわかった あいつのこと
どこへいったって乾いた心は
そんなに一度にゃ いやせやしねぇ
せめてこの街で
あいそつくまで つきあいたかった


4.野良犬のブルース

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

暗い街角に
いつもの時間に
のら犬が集まる
ちんぴらたちが
悪い奴らと
人は言う
だれもがきらってる

のら犬だって
涙はあるさ
一度愛されれば
飼い主をわすれない
わかる奴らがいないのさ
わかってほしいのに

白いデニムが
夜霧にきえてゆく
後姿が
さびしそうだぜ
夜のしじまにひびく
のら犬のうた

悪い奴らと
きめつけられて
行き場をなくした
あいつらだけど
赤いネオンの海へ
明日も集まる


5.男の子☆女の娘(灰色の世界II)

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

女の娘 女の娘
愛も信じない あなた

男の子 男の子
遊びだけのあなた

あきもしないで
いつまでつづける
このひとときだけが
ほしいの

女の娘 女の娘
そんな君に 恋した

男の子 男の子
暗い道は やめて

女の娘 女の娘
夜と木かげが呼んでる

太陽のない世界で 強がる
ふたりきりこそ 僕らの世界

男の子 男の子
そんなあなたが好き

孤独をいつしか
売りものにして
さびしがりやと
感違いして
白い白い未来を
灰色に変える

嵐の中では
太陽が燃え
風の中では
夕日がしずむ
赤くゆがんだ月が
灰色に変る

女の娘 女の娘
愛も信じない あなた

男の子 男の子
遊びだけのあなた


6.兄ちゃんが赤くなった

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

兄ちゃんと 二人で 歩いていたな
とっても きれいな 夕焼けだ
兄ちゃんは 毎日 働きに
顔も 強いウデも まっ黒だ
だけど夕焼けの中で 黒い兄ちゃんが
赤くなったな あー

兄ちゃんは いつも 恥ずかしそうだな
とっても きれいな 女(ひと)なんだ
兄ちゃんが ときどき 連れてくる
きっとあの人が 好きなんだ
だけど二人きりだと 黒い兄ちゃんが
赤くなったな あー

兄ちゃんは お酒を のんでいたな
とっても 臭くて いやなんだ
兄ちゃんが一人で 泣いている
強い兄ちゃんが 弱くなる
だから お酒はきらいだ 強い兄ちゃんが
弱くなるな あー


7.雪

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

雪でした あなたのあとを
なんとなく ついて行きたかった

ふりむいた あなたの瞳は
はやくおかえり ぼうやっていってた

あー あの人は
みしらぬ街の みしらぬ人

雪国の 小さな街に
そんなわたしの 思い出がある

夢でしょうか あの日のことは
雪をみるたびに 思い出す

雪国を たずねてみたい
そこはわたしの 小さな あこがれ

あー 今日もまた
窓にもたれ 想う
冬の旅を

雪でした あなたのあとを
なんとなく ついて行きたかった


8.灰色の世界I

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

あしたをわすれた 若い男
愛を信じぬ 若い女
あきもしないで遊びだけの
恋をする

木かげはふたりに ムードをあたえ
夜はふたりに 勇気をあたえ
そして青い星のひかりが
灰色にかわる

苦痛におわれた 若者たちは
自由をおわない 若者たちは
自信をもてずに 自分におわれ
去ってゆく

孤独をいつしか売りものにして
さびしがりやと感違いして
そして自分の白い未来を
灰色にかえる

ねむりをおぼえた 若者たちは
四次の世界を求める者は
理性をすてて快楽だけに
ひたってる

嵐の中では 太陽が燃え
風の中では 夕日がのぼる
そして赤くゆがんだ月が
灰色になる


9.俺

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

さびしがりやなのかな 俺
ひとりでいると
なんだか知らず
さびしくなるのさ
そんなことってあるだろう
君たちだって
俺ってみんなとおなじ
さびしがりやなのかな

おこりんぼうなのかな 俺
小さなことに
なんだか知らず
おこってしまうのさ
そんなことってあるだろう
君たちだって
俺ってみんなとおなじ
おこりんぼうなのかな

何かがほしいんだな 俺
はかない夢を
なんだか知らず
信じてしまうのさ
そんなことってあるだろう
君たちだって
俺ってみんなとおなじ
なにかがほしいんだな


10.こうき心

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

街を出てみよう
今住んでるこの街が
美しくみどりにおおわれた
心のふるさとだったとしても
街を出てみよう
汽車にのってみよう

話をしてみよう
今話してるその人たちが
やさしく心をうちあけた
あいすべき人たちだったとしても
話をしてみよう
知らない人の中で

恋をしてみよう
今恋してるあの人が
これこそ私の心の人と
信じれるすばらしい人だったとしても
恋をしてみよう
もう一度すべてをかけて

なみだを流してみよう
今悲しみの中にあっても
なみだをこらえて生きてゆく
強い人間だったとしても
なみだを流してみよう
ひとみを濡らしてみよう

雨にうたれてみよう
今しあわせにひたりたくても
またくる人生の街角で
本当のしあわせをみつけるまで
雨にうたれてみよう
外は雨がふっている


11.今日までそして明日から

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかの力を借りて
時にはだれかにしがみついて
わたしは今日まで 生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと

わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかをあざ笑って
時にはだれかにおびやかされて
わたしは今日まで生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと

わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかにうらぎられて
時にはだれかと手をとり合って
わたしは今日まで生きてみました
そして今 わたしは思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと

わたしにはわたしの生き方がある
それはおそらく自分というものを
知るところから始まるものでしょう
けれど それにしたって
どこで どう変わってしまうか
そうです わからないまま生きて行く
明日からの そんなわたしです

わたしは今日まで生きてみました
わたしは今日まで生きてみました
わたしは今日まで生きてみました

そして今 わたしは思っています
明日からも
こうして生きて行くだろうと


12.イメージの詩

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

これこそはと 信じれるものが
この世にあるだろうか
信じるものがあったとしても
信じないそぶり
悲しい涙を流している人は
きれいなものでしょうね
涙をこらえて 笑っている人は
きれいなものでしょうね

男はどうして 女を求めて
さまよっているんだろう
女はどうして 男を求めて
着飾っているんだろう
いいかげんな奴らと 口をあわして
俺は歩いていたい
いいかげんな奴らも 口をあわして
俺と歩くだろう

たたかい続ける人の心を
誰もがわかってるなら
たたかい続ける人の心は
あんなには 燃えないだろう
傷つけあうのが こわかった昔は
遠い過去のこと
人には人を傷つける力があったんだろう

吹きぬける風のような
俺の住む世界へ
一度はおいでよ
荒れはてた大地にチッポケな花を一つ
咲かせておこう
俺もきっと君のいる太陽のあるところへ
行ってみるよ
そして きっと言うだろう
来てみて良かった 君がいるから

長い長い坂を登って
後を見てごらん
誰もいないだろう
長い長い坂をおりて
後を見てごらん
皆が上で手を振るさ

きどったしぐさが したかったあんた
鏡を見てごらん
きどったあんたが映ってるじゃないか
あんたは立派な人さ

激しい激しい恋をしている俺は
いったい誰のもの
自分じゃ 言いたいのさ
君だけの俺だと 君だけのものだと
裏切りの恋の中で
俺は一人もがいている
はじめから だますつもりでいたのかい
僕の恋人よ

古い船には新しい水夫が
乗り込んで行くだろう
古い船を 今 動かせるのは
古い水夫じゃないだろう
なぜなら古い船も 新しい船のように
新しい海へ出る
古い水夫は知っているのさ
新しい海のこわさを

いったい
俺たちの魂のふるさとってのは
どこにあるんだろうか
自然に帰れって言うことは
どう言うことなんだろうか
誰かが言ってたぜ
俺は人間として自然に生きてるんだと
自然に生きてるって
わかるなんて
何んて不自然なんだろう

孤独をいつの間にか
さびしがりやと感違いして
キザなセリフをならべたてる
そんな自分をみた

悲しい男と悲しい女の
いつもひとりごと
それでもいつかは
いつものように 慰めあっている