全曲集「百万本のバラ」

加藤登紀子 全曲集「百万本のバラ」歌詞
1.陽ざしの中で

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

陽ざしの中で感じたいの あなたのぬくもりを
愛は見えない海の広さ この手につかめない
どんな言葉も似合わない
さりげない しぐさの中で
二人の心は とけあう
空と雲のように
離れていても 感じたいの
あなたの ぬくもりを

ひざを枕に眠るあなたの 胸にほほを寄せて
息をとめても瞳とじても あなたが聞こえない
どんな言葉で言えばいいの
あなたを 愛していると
もっと深く抱きしめて
あなたの心に なりたい
陽ざしの中で 感じたいの
消えない ぬくもりを

どんな言葉で言えばいいの
あなたを 愛していると
もっと深く抱きしめて
あなたの心に なりたい
陽ざしの中で 感じたいの
消えない ぬくもりを


2.愛のくらし

作詞:Tommy Children・日本語詞:加藤登紀子
作曲:Alfred Hause

この両手に 花をかかえて
あの日 あなたの部屋をたずねた
窓をあけた陽射しの中で
あなたは笑って迎えた
手をつなぎ 頬よせて くり返す愛のくらし
花は枯れて 冬が来ても
すてきな日々はつづいていた
愛を語る言葉よりも 吹きすぎる風の中で
求めあうぬくもりが 愛の変らぬしるし

人はいく度も 愛に出会い
終わりのない愛を信じた
ある日気がつく 愛の終わりに
人はいく度も泣いた
手をつなぎ 頬よせて くり返す愛のくらし
花は咲いて 春が来ても
すてき日々は戻って来ない
愛を語る言葉よりも 風にこごえたこの両手に
あなたの身体のぬくもりが 今も消えずに残る


3.時代おくれの酒場

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

この街には不似合な
時代おくれのこの酒場に
今夜もやって来るのは
ちょっと疲れた男たち
風の寒さをしのばせた
背広姿の男たち

酔いがまわればそれぞれに
唄の一つも飛び出して
唄を唄えば血がさわぐ
せつなさに酔いどれて
気がつけば窓のすきまに
朝の気配がしのびこむ

あーあどこかに何かありそうなそんな気がして
俺はこんな所についつまでもいるんじゃないと

この街には住みあきて
俺の女もどこかへ行った
あいつ今頃どこでどうして
どんな男といるんだろう
夢のにがさを知りもせず
夢をさがしているんだろう

あーあどこかに何かありそうなそんな気がして
俺はこんな所にいつまでもいるんじゃないと

この街には不似合な
時代おくれのこの酒場に
今夜もやって来るのは
違う明日を待つ男
今夜もやって来るのは
昨日を捨てた男たち


4.時には昔の話を

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

時には昔の話をしようか
通いなれた なじみのあの店
マロニエの並木が窓辺に見えてた
コーヒーを一杯で一日
見えない明日を むやみにさがして
誰もが希望をたくした

ゆれていた時代の熱い風にふかれて
体中で瞬間(とき)を感じた そうだね

道端で眠ったこともあったね
どこにも行けない みんなで
お金はなくても なんとか生きてた
貧しさが明日を運んだ
小さな下宿屋にいく人もおしかけ
朝まで騒いで眠った

嵐のように毎日が燃えていた
息がきれるまで走った そうだね

一枚残った写真をごらんよ
ひげづらの男は君だね
どこにいるのか今ではわからない
友達もいく人かいるけど
あの日のすべてが空しいものだと
それは誰にも言えない

今でも同じように見果てぬ夢を描いて
走りつづけているよね どこかで


5.難破船

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

たかが恋なんて 忘れればいい
泣きたいだけ 泣いたら
目の前に違う愛が見えてくるかもしれないと
そんな強がりを言ってみせるのは
あなたを忘れるため
さびしすぎて こわれそうなの
私は愛の難破船
折れた翼 広げたまま
あなたの上に 落ちて行きたい
海の底へ 沈んだなら
泣きたいだけ 抱いてほしい

ほかの誰かを 愛したのなら
追いかけては 行けない
みじめな恋つづけるより
別れの苦しさ えらぶわ
そんなひとことで ふりむきもせず
別れたあの朝には
この淋しさ 知りもしない
私は愛の難破船
おろかだよと 笑われても
あなたを追いかけ 抱きしめたい
つむじ風に身をまかせて あなたを海に沈めたい

あなたに逢えない この街を
今夜ひとり歩いた 誰もかれも知らんぷりで
無口なまま 通りすぎる

たかが恋人を なくしただけで
何もかもが消えたわ
ひとりぼっち 誰もいない
私は愛の難破船


6.この空を飛べたら

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

空を飛ぼうなんて 悲しい話を
いつまで考えているのさ
あの人が突然 戻ったらなんて
いつまで考えているのさ

暗い土の上に 叩きつけられても
こりもせずに 空を見ている
凍るような声で 別れを言われても
こりもせずに信じてる 信じてる

ああ 人は昔々
鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも
空が恋しい

飛べる筈のない空 みんなわかっていて
今日も走ってゆく 走ってく
戻らないあの人 私わかっていて
今日も待っている 待っている

この空を飛べたら 冷たいあの人も
優しくなるような 気がして
この空を飛べたら 消えた何もかもが
帰ってくるようで 走るよ

ああ 人は昔々
鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも
空が恋しい

ああ 人は昔々
鳥だったのかもしれないね
こんなにも こんなにも
空が恋しい


7.知床旅情

作詞:森繁久彌
作曲:森繁久彌

知床の岬に はまなすの咲くころ
思い出しておくれ 俺たちの事を
飲んで騒いで 丘にのぼれば
はるかクナシリに 白夜は明ける

旅の情けか 飲むほどにさまよい
浜に出てみれば 月は照る波の上
今宵こそ君を 抱きしめんと
岩かげに寄れば ピリカが笑う

別れの日は来た ラウスの村にも
君は出てゆく 峠をこえて
忘れちゃいやだよ 気まぐれカラスさん
私を泣かすな 白いかもめよ
白いかもめよ


8.灰色の季節

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

真赤なドレスに身をつつんでも
心の中は悲しみばかり
燃えない女と あなたは言うけど
はじける花火に あなたは気づかい

灰色の季節なんて もう二度といらない
あふれるままに愛したい
悲しみを燃やして

暗い目をして気取っているけど
ほんの少しだけ 憶病なだけね
淋しい女と あなたは言うけど
言えない言葉が 胸をかけめぐる

灰色の季節なんて もう二度といらない
あふれるままに愛したい
悲しみを燃やして

踊っているのに 心が燃えない
愛しているのに なんで淋しいの
陽気な女とみんなは言うけど
一人のさびしさ 誰も気づかない

灰色の季節なんて もう二度といらない
あふれるままに愛したい
悲しみを燃やして
灰色の季節なんて もう二度といらない
あふれるままに愛したい
悲しみを燃やして


9.ANAK(息子)

作詞:Freddie Aguilar・訳詞:加藤登紀子
作曲:Freddie Aguilar

母の胸に抱かれて おまえは生まれた
喜びの朝をはこんで
寝顔を見つめるだけで うれしさがあふれる
父はおまえの明日を祈った
夜には母さんがねむりもせずミルクをあたためた
朝には父さんがおまえを抱きあげてあやしてた

おまえは大きくなり気ままな自由を求めた
母はとまどうばかり
日に日に気むずかしく変わってゆくおまえは
話を聞いてもくれない
嵐の吹き荒れる夜におまえは突然出て行く
おまえを呼びとめる父や母の声をふりすてて

時は流れておまえは今
すさんだ暮らししてると聞いた
息子よおまえに何があったのだろうか
ひとり暮らしの月日に
おまえの胸には母の声が今聞こえてる
遠く離れた母の声におまえは泣いたよ


10.ひとり寝の子守唄

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

ひとりで寝る時にはよォー
ひざっ小僧が寒かろう
おなごを抱くように
あたためておやりよ

ひとりで寝る時にはよォー
天井のねずみが
歌ってくれるだろう
いっしよに歌えるよ

ひとりで寝る時にはよォー
もみがら枕を
想い出がぬらすだろう
人恋しさに

ひとりで寝る時にはよォー
浮気な夜風が
トントン戸をたたき
お前を呼ぶだろう

ひとりで寝る時にはよォー
夜明けの青さが
教えてくれるだろう
一人者(ひとりもん)もいいもんだと

ひとりで寝る時にはよォー
ラララ………


11.哀しみのダンス


12.百万本のバラ

作詞:A.Voznesenskij・日本語詞:加藤登紀子
作曲:R.Pauls

小さな家とキャンバス 他には何もない
貧しい絵かきが 女優に恋をした
大好きなあの人に バラの花をあげたい
ある日街中の バラを買いました

百万本のバラの花を
あなたにあなたにあなたにあげる
窓から窓から見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして

ある朝 彼女は 真っ赤なバラの海を見て
どこかの お金持ちが ふざけたのだとおもった
小さな家とキャンバス 全てを売ってバラの花
買った貧しい絵かきは 窓のしたで彼女を見てた

百万本のバラの花を
あなたはあなたはあなたは見てる
窓から窓から見える広場は
真っ赤な真っ赤なバラの海

出会いはそれで終わり 女優は別の街へ
真っ赤なバラの海は はなやかな彼女の人生
貧しい絵かきは 孤独な日々を送った
けれどバラの思い出は 心にきえなかった

百万本のバラの花を
あなたにあなたにあなたにあげる
窓から窓から見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして

百万本のバラの花を
あなたにあなたにあなたにあげる
窓から窓から見える広場を
真っ赤なバラでうめつくして


13.駅


14.歌いつづけて

作詞:J.Barnel・訳詞:加藤登紀子
作曲:M.Jouveaux

Vien でも一人の時や 幕がおりる時は
そばには来ないで
Vien 人生の中で すべてを選んだわ
終わりも決めるわ

雨の日に死にたいとか 太陽の下がいい
ベッドの中で静かにとか 人は言うけれど

歌いつづけていつか 舞台の上で
まばゆいライトをあびて 踊りながら死ぬわ
いろどられた自由を 抱きしめながら
歌に燃やした 私だから

ある日 幕がおりて来て 終わりの時が来たら
一人にさせてね
ずっと 昔からいつでも そばにいてくれたあなた
忘れはしないわ

まぶしい光のうずの中 舞台の孤独
それが私のすべてなの 生きてる限り

歌いつづけていつか 舞台の上で
まばゆいライトをあびて 踊りながら死ぬわ
いろどられた自由を 抱きしめながら
歌に燃やした私だから

歌いつづけていつか 舞台の上で
まばゆいライトをあびて 踊りながら死ぬわ
いろどられた自由を 抱きしめながら
歌に燃やした 私だから

歌いつづけていつか 舞台の上で
まばゆいライトをあびて 踊りながら死ぬわ
いろどられた自由を 抱きしめながら
歌に燃やした 私だから


15.冬の螢


16.あなたの行く朝

作詞:加藤登紀子
作曲:加藤登紀子

いつの間にか夜が明ける 遠くの空に
窓をあけて朝の息吹を この胸に抱きしめる
あなたの行く朝の この風の冷たさ
私は忘れない いつまでも

もしもあなたが見知らぬ国で 生きていくなら
その街の風のにおいを 私に伝えておくれ
あなたのまなざしの はりつめた想いを
私は忘れない いつまでも

海の色がかわり 肌の色がかわっても
生きていく人の姿にかわりはないと
あなたはいったけれど
あの晩好きなうたを 次から次へとうたいながら
あなたが泣いていたのを 私は知っている
生まれた街を愛し 育った家を愛し
ちっぽけな酒場や ほこりにまみれた部屋を愛し
兄弟たちを愛したあなたを 私は知っている

いつかあなたが見知らぬ国を 愛しはじめて
この街の風のにおいを 忘れていく日が来ても
あなたの行く朝の 別れのあたたかさ
私は忘れない いつまでも