メガロポリスの錯覚

伊勢正三 メガロポリスの錯覚歌詞
1.時が沈む湖

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

「この街の川の流れには
まるで自由がないのね」
君がふとつぶやけば それが恋の答

川を止めたコンクリートに
戸惑う魚の群れを
君は今その胸に泳がせているの?

激しい雨の後 海へと向かう
恋の流れ止める 河口堰

欲望という名の街が
森を変えて行くように
知らぬ間に目の前の 幸せに溺れて

あるがまま流れる川
踏みにじるブルドーザー
こみあげる想い出を 濁らせてしまう

恋に落ちた頃のあのせせらぎは
深い森のどこに眠るの

やがて何台ものダンプの後に
恋も底に沈む湖

二度と帰らぬ日のあのせせらぎは
深い森のどこに眠るの

やがて何台ものダンプの後に
恋が底に沈む湖


2.ネヴァー


3.永遠のチャンネル

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三・TOMOKO

「今夜家に来ないか」
初めて君を誘った
あの日のように

空は鉛色して
風はざわめき
今年も近づく台風12号

すでに打ち寄せる高波
この胸の画面に あの日は
君と見たニュース

窓に近づく雨を
君は気にして
「帰れなくなるよ」と
僕にからかわれた

ただ言葉途切れた
沈黙が苦しいだけの
恋とは呼べないそのひとときを
今瞳を閉じて
永遠の時と感じた
あの頃にはもう
戻れないこと知りながら

すでに僕の気持ちは
君の心の海岸に
上陸してた

外はどしゃぶりのカーテン
心惑わすけど…
「送って行くよ」と
僕に言わせたのは

ただ言葉途切れた
沈黙が苦しいくらい
陰りない時を感じてたから
TVの音だけを
消したその明りの中で
君の唇に届く間の「永遠」を

なぜそのときめきを
大切に出来なかったの
あれから幾つも時は流れて
TVの音だけを
消したその明りの中で
君の唇に届く間の「永遠」を


4.B級映画のように

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

時代の子供のように
店の片隅
飲み明かしたね
おまえとはあの頃

戦う大人でいたいと
口をとがらせ
悲しいくらい
うぶな時代だった

すべて心のままに
傷つき破れて恋したように
時を駈け登るだけ たとえ
それが下りて来る
エスカレーターでも

おまえと約束したこと
悪ガキのように
常識の窓
飛び降りきれなくて

誰かを見上げるような
見下すような
白いカードの
肩書きも ちぎれず

今は都会の中に
いつしか紛れて
暮らしてるけど
ずっと風を待つ船 今も
胸の片隅に
そっと繋いでるよ

今は忘れかけてる
B級の映画の生きざまのように
風を心にうけて おまえと
肩をいからせて歩いた帰り道

それは忘れかけてる
心にぐっとくる たまらないもの
誰も知ってるはずさ
たとえ それが演歌でも
ロックンロールでも


5.キッチン

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

「何も出来ないわよ」 と
ステンレスの湖に
君はレタスを浮かべた
僕はグラスを揃えた

冷蔵庫の明かり
こぼれた時なぜか
暖かそうに見えた

何気ない言葉が
心の中でふと
広がる時のように

恋はどこにも
台所にもあった

書きなぐりの 手紙を
残したまま行くけど
傷ついた鳥のように
行く先もあてもなくて

あの頃に育てて
そのままの小さな
ポットの中のベンジャミン

分かり合うふりして
心のワンルームで
暮らして行く日々なら

恋はいつしか
窮屈になるから

ドアに鍵をかけて
ポストに落としたら
もう君は戻る頃

僕はまだ街角
この鍵の温もり
追いかけてくれるなら

恋をも一度
暖めてみるから

思い出の合鍵に
手のひらの温もりを…


6.涙を連れて旅に出ようか

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

涙を連れて 旅に出ようか
若すぎて痛む胸 捜しに
夜明けの星に ざわめく渚に
忘れてた悲しみに会うために
君は僕だけの海に抱かれて
僕は君だけの季節の中にいた
きっと もっと ずっと
こんなに 遠くに離れても
もっと ずっと ずっと
今でも 愛せるはずなのに Um…

涙を連れて 旅に出ようか
若すぎたあの頃を 捜しに
心にずっと 閉じこめたままの
色あせたポラロイド取り出して
君のわがままと決めつけた時
君はその長いまつげを濡らしたね
きっと もっと ずっと
夜空に 涙があるように
もっと ずっと ずっと
今なら 許せたはずなのに Um…

涙を連れて 旅に出ようか
若すぎて痛む胸 捜しに
君の横顔 こぼれる涙の
一粒が想い出に変わるまで
いつの日か想い出に変わるまで


7.ロング・タイム


8.水槽の街

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

白いmen'sのシャツにせつなく包まれ
崩れそうに壊れそうに 眠りに就くひとときも

古いアイボリーのように 思い出のように
いつになれば ずっと前の出来事だと想えるの

風が吹き荒れた夕暮れの街は水槽のようにどこまでも見えて
あの頃暮らした街並まで…

時はジャスミンのようにほのかに漂う
今でもまだ ほんの前の出来事だと思えるの

寝癖を押さえて バスが来る前に出てゆくあなたも 何気ない日々も
素顔のまま愛せたつもりだった

どうしてあの時 映画の明りに浮かんだあなたの疲れた横顔
気にしながら見過ごしてたの

いつまで流れる
何処から流れる 何処まで流れる

ここから流れる そこから流れる
何処まで流れる ここまで流れる ここまで流れる


9.メガロポリスの錯覚

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

あの頃は
カミカゼを
打ち落とした
アメリカに
次の拳を
見せられても

我が国の
政治家も
渋谷駅の
若者も
忙しくて
構えない

ah-
今夜は
何処へ行こうか
風になろうか
このまま
夢見て眠れない

ある日から
父親は
髪を染めた
娘らに
流した汗の
答を知る

いつの日か
子供らは
「親育て」の
本を読み
育親書が
流行るだろう

ah-
今夜は
何処へ行こうか
誰と行こうか
昨日の
夢見て眠れない

インテリの
ホームレスが
指をさして
笑うのは
時の流れを
恐れる人

武器を持つ
教徒達
袈裟をかけた
ブルジョワに
祈られては
たまらない

ah-
今夜は
何処へ行こうか
星を見ようか
あまりに
夢見て眠れない

幾つもの
夜が明けて
軍隊など
無い街を
誰が守って
くれるのだろう

穏やかな
日曜の
朝寝坊の
幸福を
誰が守って
くれるのだろう

もう
少しで
時が行くから
そこへ行くから
あなたに
逢いたくて眠れない


10.新しい静けさ

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

何も聞こえなくてもただ 何も答えなくてもただ
あなたの息吹をこの胸に

やがてせせらぎの音が 降り注ぐ光の波が
絶え間なく限りなく この星に満ちる時まで

ただ惜し気もなくなぜ 愛する人のためになぜ
あなたは命さえ預けるの

いつか悲しみの鍵が 喜びの扉を開き
さりげなくつつがなく すべて報われる日が来る

やるせない雨の後に 微笑む虹のように
あなたは日々の中の 心に輝く

時には時間の裏側で
時には愛の真ん中で
WO-

何気なく流れる時が 幾つもの時代を壊し
新しい静けさ解き明かす

有り余る幸せよりも たどり着かない幸せを
慎ましく途切れなく あなたのそばで感じたい

何にもない空から こぼれる雪のように
何気ない日々の中の どこかで生まれる

時には時間の裏側で
時には愛の真ん中で
WO-
心に光がある限り
やさしい涙がある限り
WOー


11.二つの朝

作詞:伊勢正三
作曲:伊勢正三

ドアのポストに溢れた
新聞の日付で
君の部屋の冷たさを数えた

あまり良くない噂の
奴らと遊んでる
そんな思いこの胸をかすめた

Ah-別れた日から
Ah-それぞれの朝

君に一つ預けてる朝を
も一度だけ
僕に返して欲しくて

重い三脚下ろした
音がして振り向く
「早起きなのね」向こうから微笑む

君が写した星座に
囲まれた部屋で
今までの僕の間違いに気付いた

Ah-君の部屋には
Ah-こんなに星が

君の心にある宇宙を
知らず知らず
僕は狭めてたと知った

Ah-僕の好きだった
Ah-あの日の香り

初めて開けたその紅茶は
今日の為にずっとここにあると知った