1.浪花川
作詞:仁井谷俊也
作曲:宮下健治
男のこころは 一夜(いちや)で変わる
女は一途に 愛を追う
水の都を さまよい往(ゆ)けば
夢のかけらか 七色ネオン
涙ながした 浪花川
一度はいのちと 思ったひとを
おんなは一生 憎めない
夜の向こうに 面影追えば
浮いて沈んだ この世の運命(さだめ)
今日も見ている 浪花川
別れたあなたに ふたたび逢える
信じて待つのよ 戎橋(はし)の上
にごり水でも 生きてる限り
きっと掴める 倖せひとつ
明日(あす)へ流れる 浪花川
2.男の燈台
作詞:仁井谷俊也
作曲:山口ひろし
酒場は男の 燈台と
いつか誰かが 云っていた
こころ時化(しけ)てる 路地裏で
みつけた提灯(あかり)の 暖かさ
生きぬく生命(いのち)の 灯(ひ)がともる
徳利を並べて ゆらゆらと
酔えば一夜(いちや)の 酒の舟
遠い彼方で 呼ぶものは
可愛いあの娘の あの胸か
それとも忘れた あの夢か
嵐の夜更けが 過ぎたなら
凪(なぎ)の夜明けが 来るという
溺れかけてた 俺だけど
無情(つめたい)ばかりの 都会(まち)じゃない
情けの涙も 明日もある
3.大阪夜雨
作詞:坂口照幸
作曲:宮下健治
こんなご縁は はなから無理と
先にあきらめ 立つものを
そっと願掛け 法善寺
好きなお方を 慕う身は
にごり水でも りんと咲く
雨も知ってる 大阪夜雨
ネオン浮かべる 淀んだ川も
同じ流れは そこにない
過去を忘れて もう一度
生きてゆこうと 決めた日の
夢の架け橋 繋ぎ橋
思い出します 大阪夜雨
分からないわね この世のことは
どこで転がる 冬と春
不幸つづきの 女でも
添えるこの日が 来ようとは
雨も祝って 道に咲く
水の花火よ 大阪夜雨
4.~浪花侠客伝~木津の勘助
作詞:もず唱平
作曲:三山敏
晦日(みそか)に茶ガユの ひと掬い
せめて年寄り 子供にすゝらせて
迎えさせたい 来る年を
こんな願いが きけぬとあらば
馬鹿を承知の ひと暴れ
命捨てなきゃ 納まらぬ
勘助 出番の 蔵破り
この飢饉に公儀(おかみ)のお救米(たすけまい)、
どれほど当てにしたことか。何日待ったことか。
お蔵破りは磔(はりつけ)、獄門に決まってる。
けど黙って見過(みすご)すわけには行かんがな。
なァお里。行かしてんか…。
生まれは相模の 在ながら
水が合(お)うたか 馴染んだ木津の浜
この地浪花に 借りがある
女房お里よ 水盃を
首を振らずに 受けとくれ
二世もお前と 暮らすから
勘助 急げと 風が立つ
法被(はっぴ)に重ねた 浴衣には
肩に梅鉢 裾には金太郎
これがお供だ うれしいね
心知ってか 見上げる空に
曇り翳(かげ)りの ない月が
名残惜しやと 顔を出す
勘助 誉(ほま)れだ 鑑(かがみ)だよ
5.俺の花
作詞:坂口照幸
作曲:宮下健治
なんとかなるわと いつものお前
本当になんとか なって来た
苦労少しも いとわぬ女
つらい涙は 露もどき
つれあい ふれあい 俺の花
お前いたから 越えられた
何年ぶりだろ 祭りの夜に
そろいの浴衣で 歩くのは
ひとの多さに お願いごとも
遠くからでは 叶うやら
つれあい ふれあい 俺の花
両手どんなに 合わせても
いつでも一緒に 居られることさ
何よりしあわせ それひとつ
尽くすお前も 一途な女
楽な道では ないけれど
つれあい ふれあい 俺の花
ついて来てくれ これからも
6.大阪ちぎり
作詞:坂口照幸
作曲:宮下健治
どうぞ添わせて おくれやす
水掛お不動 水びたし
過去を打ち明け 一緒に泣いた
そんなあなたも 訳あるお方
この縁下さい 大阪ちぎり
広い川ほど なぜか静か
流れる淀川 男川
深いふところ あなたの器
抱いて下さい その手で確(しか)と
みちづれ このひと 大阪ちぎり
先の見えない 土砂降りも
相合傘なら 花・すだれ
夫婦善哉 あなたと生きる
苦労なんぼの 曽根崎ごころ
明日に春呼ぶ 大阪ちぎり
7.東京無情
作詞:仁井谷俊也
作曲:宮下健治
ひとりに戻る だけなのと
淋しく微笑(わら)って 眸(め)を伏せた
倖せひとつも やれないで
バカな男(やつ)だよ 身をひいた
ああ 木枯(かぜ)がこころを吹きぬける
東京無情
甘えるように 背伸びして
ネクタイなおして くれた奴
あなたは忘れて いいけれど
きっとわたしは 忘れない
ああ そんな言葉が胸を刺す
東京無情
煙草のけむり 瞳(め)で追えば
恋しいあいつの 笑顔(かお)になる
この世で添えない ふたりなら
愛しあいたい 次の世で
ああ 夜が泣かせるこの俺を
東京無情
8.博多川
作詞:仁井谷俊也
作曲:宮下健治
中洲(なかす)のねおんに 咲く花は
朝を待たずに 散る宿命(さだめ)
うすい倖せ 博多川
それでも誰かに また縋(すが)り
恋をするのも 女ゆえ
人形小路(しょうじ)の あのひとは
妻も子もある ひとだった
涙ながした 博多川
世間の噂に 指さされ
耐えてゆくのも 愛のため
明日(あした)は逢わせて いい男(ひと)に
寿橋(はし)のたもとで 手を合わす
夜風身にしむ 博多川
傷つき転んで また起きて
夢をみるのも 女ゆえ
9.雨の大阪
作詞:もず唱平
作曲:市川昭介
どうせ人生 お芝居よ
あんたのことも そのうちの
一幕(ひとまく)やったと 思えばすむわ
北の新地の 女の蛇の目
今夜限りの 相合傘を
雨よどうして 涙に染める
本音いうたら 負けやから
黙って背中 向けたけど
辛抱出来(でき)へん 死ぬほど好きや
いまじゃ帰らぬ 想い出なのか
浜の芝居に 天神祭り
雨よどうして 涙に染める
昔人間 かたぶって
一緒になれる 仲じゃない
ケジメをつけると 悩んだお方
たった二タ月 隠れるように
夫婦(めおと)きどりで 暮らした日々を
雨よどうして 涙に染める
10.男の地図
作詞:仁井谷俊也
作曲:山口ひろし
男の胸の 古い地図
ひとり覗けば また浮かぶ
遠い故郷(ふるさと) あの笑顔
いつも何かに 挫折(つまず)くたびに
いのち支えて 生きてきた…
こころに消えぬ あの女
過去に帰れる 汽車はない
今は誰かに 嫁いだか
惚れていりゃこそ 口にはだせぬ
恋もあるのさ 男には…
曲がった川も いつの日か
青い海原(うみ)へと 流れこむ
俺の人生 道なかば
急かずあせらず 甘えず媚びず
きっと咲かすさ 夢ひとつ…
11.流転川
作詞:坂口照幸
作曲:宮下健治
石が浮かんで 木の葉が沈む
それが浮世と 云うものか
生きてゆくのは 耐えること
いつも男で あった日の
姿恋しい あゝ流転川
悪い方へと なぜ廻り出す
一度外れたら 歯車は
酒でなみだを 飛ばそうよ
袋小路の 薄灯り
負けちゃいけない あゝ流転川
ひとの一生 舞台で変わる
淀み水さえ 流れ水
お前いたから 俺がある
曲がりなりにも 五十路坂
明日の花咲け あゝ流転川
12.河内の次郎長
作詞:司太可志
作曲:西脇功
親の居る奴 幸福(しあわせ)もんさ
俺の親父は 生駒山
生命は売りもの 粗末にゃならぬ
生きて世の為 人の為
俺は河内の 俺は河内の 次郎長や
ほれた女が 教えてくれた
涙いい奴 甘い奴
鬼と仏が 心の中に
二つ仲良く 住みついた
俺は河内の 俺は河内の 次郎長や
河内音頭の 太鼓のひびき
どんと叩けば 気が晴れる
やると決めたら 唯やるだけさ
闘鶏(しゃも)は死んでも 音をあげぬ
俺は河内の 俺は河内の 次郎長や
13.筑波おろし
作詞:仁井谷俊也
作曲:山口ひろし
筑波おろしが 身にしむ頃は
故里(くに)が恋しい あの娘が愛し
義理のしがらみ 浮世のなさけ
肩に振り分け エェェー
雲と旅ゆく 水海道(みつかいどう)
水の流れに 逆らういのち
馬鹿を承知の 街道がらす
泣いてくれるな 板東太郎
これも若気(わかげ)と エェェー
意地で見得きる 竜ヶ崎
夜風(かぜ)が運んだ 故郷の唄か
佐原(さわら)ばやしを 確かに聞いた
かけた不孝を おふくろさんに
せめてひと言 エェェー
会って詫びたい 鹿島灘(かしまなだ)
14.大阪かたぎ
作詞:吉田旺
作曲:岡千秋
髪の芯まで 惚れさせといて
あんたなぜなぜ かくれんぼ
時代おくれと 嗤(わら)われようと
一途願かけ 水かけ不動
どうぞ逢わせて あゝおくれやす
つめの先まで 演歌なおんな
それがあんたの 捨て台詞
見かけだおしの 東京の女(ひと)にゃ
負けん負けんわ つくしてみせる
そうやおんなは あゝ真心(こころ)やもん
骨の髄まで どあほな男(やつ)と
他人(ひと)に言われりゃ 腹たつわ
惚れたおひとの ほんとの味は
わかりゃしまへん 世間の人にゃ
あんた待ってる あゝいつまでも
15.百年坂
作詞:坂口照幸
作曲:宮下健治
早いものだよ 一緒になって
ことし節目の 二十と五年
式も挙げずに 負い目な俺に
いつも笑顔で ついて来た
行く坂 この道 百年坂へ
俺とおまえの 夢が咲く
こんな出不精 無口なやつと
どこが良くって 相方さんに
みんなおまえに 任(まか)せていれば
ことが運んだ いい方に
行く坂 この道 百年坂へ
酒もひとしお 胸に沁む
花の見方も 年ごと変わる
咲けよ匂えよ 精一杯に
楽に生きれぬ 似たもの同志
今日のしあわせ 噛みしめて
行く先 この道 百年坂へ
おまえ一生 みちづれに
16.男の時計
作詞:仁井谷俊也
作曲:宮下健治
人が生きると 云うことは
重荷を背負い 歩く旅
時代おくれの 不器用ものが
我慢に耐えた 幾月日
いのちの時間(とき)を 刻んでた
過去を振り向く… 男の時計
たとえ一秒 一分も
一緒にいたい 女(ひと)だった
いつか運命(さだめ)に 裂かれたけれど
今でも胸の 歯車が
おまえに廻る 針をさす
恋に未練な… 男の時計
永い一生 雨風に
こころが錆(さ)びる こともある
夢の振り子は 死ぬまで止(と)めぬ
も一度ネジを 巻き直し
あしたに挑(いど)む 立ち向かう
それも人生… 男の時計
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