全曲集

三船和子 全曲集歌詞
1.だんな様

作詞:鳥井実
作曲:岡千秋

つらい時ほど 心のなかで
苦労みせずに かくしていたい
私の大事な だんな様
あなたはいつでも 陽の当る
表通りを あるいて欲しい

がまんしている 背中をみれば
男らしさに 涙が出ます
私の大事な だんな様
あなたの心が 痛む時
同じ痛みが 私も欲しい

明日を信じて お前と二人
お酒のもうと 差し出すグラス
私の大事な だんな様
あなたに寄り添い いつまでも
心やさしい 女房でいたい


2.いで湯炎歌

作詞:石本美由起
作曲:岡千秋

小雪の駅で 待ちあって
人眼を逃れ 旅をする
これでいいの 後で別れて
泣いてもいいの
女房きどりで いで湯の里の
夢に濡れたい 私です

あなたに着せる 湯上りの
羽織(はおり)につつむ 想いやり
これでいいの 後で別れて
泣いてもいいの
明日(あす)はいらない 今夜がほしい
生きて添えない 二人です

崩れるように 身をまかせ
重ねるいのち 恋まくら
これでいいの 後で別れて
泣いてもいいの
ままにならない この世に生まれ
燃えて傷つく さだめです


3.春告げ鳥

作詞:やしろよう
作曲:花笠薫

喜び哀しみ 握りしめ
人は生まれて来たという
いろいろ いろいろ ねえ…あったけど
夫婦湯呑みの古伊万里の
枝に寄り添う 鶯が
二人に春を連れてくる

大地に根を張る 足元は
泥に汚れていてもいい
いろいろ いろいろ ねえ…あったけど
どんな花よりいとおしい
冬を一緒に乗り越えた
二人に咲いた絆です

我が身を削って 幸せを
守り続けてくれる人
いろいろ いろいろ ねえ…あったけど
問わず語らず 水入らず
そっと見つめる茶柱に
二人の春が揺れてます


4.他人船

作詞:遠藤実
作曲:遠藤実

別れてくれと 云う前に
死ねよと云って ほしかった
ああ この黒髪の 先までが
あなたを愛しているものを
引離す 引離す 他人船

背中を向けた 桟橋で
さよなら云えず 濡らす頬
ああ この指切の 指までが
あなたを愛しているものを
引離す 引離す 他人船

いつか逢えると それだけを
のぞみにかけて 生きてゆく
ああ この目の下の ほくろさえ
あなたを愛しているものを
引離す 引離す 他人船


5.人生渡し舟

作詞:石本美由起
作曲:岡千秋

惚(ほ)れて一生 あずけたいのち
これが夫婦(めおと)と 言うものね
あなたしっかり 私を抱いて
どんな苦労の 流れでも
離さない……離れない……
生きる 此の世の 渡し舟

水の鏡に さくらを映し
憂(う)さを忘れて 花見酒
あなたしっかり 私を抱いて
明日(あす)が見えなく なろうとも
泣かないわ……泣きません……
かばい合う身の 渡し舟

どこへ行こうと 二人で暮らす
夢の岸辺(きしべ)が あればいい
あなたしっかり 私を抱いて
愛が夫婦の 積荷なら
離れない……離さない……
運命(さだめ)まかせた 渡し舟


6.契り川

作詞:石本美由起
作曲:岡千秋

この舟に 運命を 乗せた 二人なら
どこへ 流れて 行ってもいいの
悔はない悔はないのよ 今日からは
死ぬも 生きるも 耐えるのも
みんな一緒の 契り川

身を寄せて あなたにたくす 命なら
夢を探して 苦労をしたい
かまわない かまわないのよ 雨、風に
明日が見えなく なろうとも
愛を信じる 契り川

かばい合い あなたと越える 月日なら
暑さ 寒さに 負けたりしない
これでいい これでいいのよ 幸せの
岸で求める ふたり舟
漕いで生きたい 契り川


7.女のさだめ

作詞:遠藤実
作曲:遠藤実

別れてしまえば 他人より
冷たくなるのね 男って
いいのよ いいのよ
こんど生まれて 来るときは
私が男で あなたを泣かす

心ははなれて 顔だけが
やさしいあなたで 苦しめる
いいのよ いいのよ
二度と男は 愛さずに
おもかげだけの あなたと暮らす

愛した心を かえしてと
あなたにすがった 指が泣く
いいのよ いいのよ
こんど生まれて 来るときは
あなたが女で 泣いても泣かす


8.愛暦

作詞:三正和実
作曲:岡千秋

この世で一番 大事な男(ひと)と
かたい契りの 愛暦
遥かなるいばら道 はぐれぬように
離さないでね しっかり抱いて
私はあなたの あなたの女房です

帰りが遅いと 喧嘩もしたわ
憎い恋しい 裏表
あの頃はお互いに わがままばかり
今は微笑む 目尻のしわが
何故だか愛しい 愛しいだんなです

真心(こころ)を重ねた 女の愛は
どんな運命(さだめ)も 怖くない
慈しみ支え合う ふたりの縁(えにし)
ぽつり一言 死ぬまで一緒
私はあなたの あなたの女房です


9.矢切の渡し

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

「つれて逃げてよ……」
「ついておいでよ……」
夕ぐれの雨が降る 矢切りの渡し
親のこころに そむいてまでも
恋に生きたい 二人です

「見すてないでね……」
「捨てはしないよ……」
北風が泣いて吹く 矢切りの渡し
噂かなしい 柴又すてて
舟にまかせる さだめです

「どこへ行くのよ……」
「知らぬ土地だよ……」
揺れながら艪が咽ぶ 矢切りの渡し
息を殺して 身を寄せながら
明日へ漕ぎだす 別れです


10.さざんかの宿

作詞:吉岡治
作曲:市川昭介

くもりガラスを 手で拭いて
あなた明日が 見えますか
愛しても 愛しても あゝ他人の妻
赤く咲いても 冬の花
咲いてさびしい さざんかの宿

ぬいた指輪の 罪のあと
かんでください 思いきり
燃えたって 燃えたって あゝ他人の妻
運命かなしい 冬の花
明日はいらない さざんかの宿

せめて朝まで 腕の中
夢を見させて くれますか
つくしても つくしても あゝ他人の妻
ふたり咲いても 冬の花
春はいつくる さざんかの宿


11.長良川艶歌

作詞:石本美由起
作曲:岡千秋

水にきらめく かがり火は
誰に想いを 燃やすやら
あなた あなたやさしい 旅の人
逢(お)うたひと夜の 情けを乗せて
こころまかせの 鵜飼い舟

好きと言われた 嬉しさに
酔うて私は 燃えたのよ
あなた あなたすがって みたい人
肌を寄せても 明日(あした)は別れ
窓に夜明けの 風が泣く

添えぬさだめと 知りながら
いまは他人じゃ ない二人
あなた あなた私を 泣かす人
枕淋しや 鵜飼いの宿は
朝が白々 長良川


12.命くれない

作詞:吉岡治
作曲:北原じゅん

生まれる前から 結ばれていた
そんな気がする 紅の糸
だから死ぬまで ふたりは一緒
「あなた」「おまえ」 夫婦みち
命くれない 命くれない ふたりづれ

人目をしのんで 隠れて泣いた
そんな日もある 傷もある
苦労積荷の 木の葉の舟で
「あなた」「おまえ」 あぶな川
命くれない 命くれない ふたりづれ

なんにもいらない あなたがいれば
笑顔ひとつで 生きられる
泣く日笑う日 花咲く日まで
「あなた」「おまえ」 手をかさね
命くれない 命くれない ふたりづれ


13.雪椿

作詞:星野哲郎
作曲:遠藤実

やさしさと かいしょのなさが
裏と表に ついている
そんな男に 惚れたのだから
私がその分 がんばりますと
背をかがめて 微笑み返す
花は越後の 花は越後の 雪椿

夢にみた 乙女の頃の
玉の輿には 遠いけど
まるで苦労を 楽しむように
寝顔を誰にも 見せないあなた
雪の谷間に 紅さす母の
愛は越後の 愛は越後の 雪椿

つらくても がまんをすれば
きっと来ますよ 春の日が
命なげすて 育ててくれた
あなたの口癖 あなたの涙
子供ごころに 香りを残す
花は越後の 花は越後の 雪椿


14.おんなの海峡

作詞:石本美由起
作曲:猪俣公章

別れることは 死ぬよりも
もっと淋しい ものなのね
東京をすてた 女がひとり
汽車から船に 乗りかえて
北へながれる…
夜の海峡 雪が舞う

砕けた恋に 泣けるのか
雪がふるから 泣けるのか
ふたたび生きて 逢う日はないと
こころに決めた 旅なのに
みれん 深まる…
夜の海峡 わかれ波

いのちと想う 愛も無く
海の暗さが 眼にしみる
汽笛よ波よ おしえておくれ
私の明日は どこにある
こころ冷たい…
夜の海峡 ひとり旅


15.カスマプゲ

作詞:鄭斗守・日本語詞:申東運
作曲:朴椿石

海がふたりを 引き離す
とても愛しい 人なのに
波止場を出て行く 無情の船は
カスマプゲ カスマプゲ
パラボジ アナッスリ
会いたさに会いたさに 泣けてくる

タンシングヮ ナサイエ チョバダガ オブソッタミョン
スラリン イビョルマヌン オプソスルコッスル
ヘジョムン プドゥエソ トナカヌン ヨンラクソヌル
カスマプゲ カスマプゲ パラボジ アナッスリ
カルメギド ネマウムカッチ モンメオ ウンダ

ドラが鳴る鳴る 別れの船が
愛しい人を 乗せて行く
一緒に行きたい 私の心
カスマプゲ カスマプゲ
パラボジ アナッスリ
恋のつれなさに 泣けてくる


16.川の流れのように

作詞:秋元康
作曲:見岳章

知らず知らず 歩いて来た
細く長い この道
振り返れば 遥か遠く 故郷が見える
でこぼこ道や 曲がりくねった道
地図さえない それもまた人生
ああ 川の流れのように
ゆるやかに いくつも時代は過ぎて
ああ 川の流れのように
とめどなく 空が黄昏に染まるだけ

生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて 夢探しながら
雨に降られて ぬかるんだ道でも
いつかは また 晴れる日が来るから
ああ 川の流れのように
おだやかに この身をまかせていたい
ああ 川の流れのように
移りゆく季節 雪どけを待ちながら

ああ 川の流れのように
おだやかに この身をまかせていたい
ああ 川の流れのように
いつまでも 青いせせらぎを聞きながら