暫存

三笠優子 暫存歌詞
1.女町エレジー

作詞:石坂まさを
作曲:石坂まさを

女に生まれて よかったわ
本当はいいこと ないけれど
せめて心で 思わなきゃ
生きてはゆけない この私
生駒は 哀しい女町

家では奥さんが 待つんでしょ
さとした言葉に また涙
倖せなんか いらないと
嘘で飲みます コップ酒
生駒は 哀しい女町

山と山に 囲まれた
ここは 大阪 奥座敷
別れてしまえば 他人でも
想い出します 雨の夜は
生駒は 哀しい女町

母さん本当に ごめんなさい
逢いに帰れぬ 今の身を
忘れはしません 母さんの
背中で遊んだ あの頃を
生駒は 哀しい女町


2.どっこい演歌は生きている

作詞:高塚和美・志賀大介
作曲:四方章人

雪のふとんで 命を温くめ
花は出番を 待っている
出れば踏まれる 出なけりゃ咲かぬ
それが浮世と 言うものさ
石の上にも 三年だ
どっこい演歌は生きている

義理の二文字に 流されながら
泣いて別れた 人もいる
惚れたはれたは げんきの元さ
恋は異なもの 味なもの
梅にうぐいす ほうほけきょ
どっこい演歌は生きている

どんな時代が こようとままよ
夜の明けない 朝はない
今日は負けても あしたがあるさ
ここが我慢の しどころだ
待てば海路の 日和あり
どっこい演歌は生きている


3.母の声

作詞:松井由利夫
作曲:花笠薫

風の音にも わが子を想(おも)う
母の涙は 情(なさ)けのしずく
なにはなくても 体が資本(もとで)
風邪をひくなが 口ぐせだった
ありがとう… 北の空見りゃ
聞こえてきます 母の声

日の出日の入り 両手を合わせ
親のまごころ そそいでくれた
腰をかがめた 小さな背中(せな)に
苦労くにせず 重ねた月日
ありがとう… 遠く離れて
ただ懐(なつ)かしい 母の声

他人(ひと)に優しく 自分に強く
花のすがたは 女のいのち
皺(しわ)をきざんだ あの顔あの手
いつも後に あなたがいます
ありがとう… 生きる支えを
忘れはしない 母の声


4.男の涙はあとで拭け

作詞:鳥井実
作曲:花笠薫

義理も人情も 薄れたと
嘆きなさるな そこの人
人生は…
待った待ったと 叫んでみても
待ったなしだと 過ぎて行く
苦労の嵐に 耐え忍び
男の涙は あとで拭け

一度惚れたら 諦めず
押して行くんだ そこの人
人生は…
どこでどうなる 合縁奇縁
誰も知らない ことばかり
幸せも一度 たしかめて
男の涙は あとで拭け

渡る世間に 鬼はない
それが浮世さ そこの人
人生は…
夢をみるのは いいことだけど
思い通りに なりゃしない
あわてず急がず 出直して
男の涙は あとで拭け


5.高瀬舟

作詞:深沢新治
作曲:岡千秋

ほどいた帯を たぐりよせ
抱かれりゃ切ない 忍び宿
遠く聞こえる 鐘の音が
添えない二人の 胸こがす
行きたい行けない 戻れない
どこへ流れる 高瀬舟

あなたの好きな 口紅をさし
逢瀬を重ねる 戻り川
淡いせせらぎ 聞きながら
眠ればこの身が また燃える
恋しいつらいと 涙ぐむ
海に出れない 高瀬舟

はかない夢と あきらめりゃ
心のすきまに 風が鳴く
たった三年の 恋なのに
月日の重さに 櫓がきしむ
ぬくもり残り香 ゆれる影
明日に竿さす 高瀬舟


6.酒しぐれ

作詞:仁井谷俊也
作曲:三浦丈明

いのち削って 尽くしてみても
別れてしまえば もう他人
飲んで酔えない こころの傷に
おんな未練の 酒しぐれ

夜が来るたび 人恋しくて
グラスに面影 また揺れる
待てばせつない 来なけりゃ辛い
酒よあのひと 連れてきて

痩せた肩先 いたわるように
やさしく私を 抱いたひと
惚れた分だけ 憎んでみても
忘れられない 酒しぐれ


7.藤十郎

作詞:裕里ひかる
作曲:野々卓也

かりそめの
稽古芝居(けいこしばい)に 謎かけて
詫びるこの手で 仇情(あだなさ)け
妻という名の 堅結(かたむす)び
濡れてほどけて 加茂川の
水に急かれる 水に急かれる もやい舟

(台詞)
「芸一筋の藤十郎のそばには、
いつも影のように寄り添うお梶の姿がありました。」

いつわりの
心かくして 口説き節
消して行灯(あんどん) 色模様
たとえ肌身は 他人でも
見せた真実(まこと)を 何としよう
花はうすずみ 花はうすずみ 春嵐

ひたすらに
役者気質(かたぎ)の 意地を賭け
男舞台の 幕が開く
芸の火花と 恋の罪
まぶたとじても 消え残る
お梶哀しや お梶哀しや 泣きぼくろ


8.下津井情話

作詞:松井由利夫
作曲:岡千秋

縁(えん)もゆかりも ない船(ふね)だって
港出(みなとで)るときゃ つらいのに
ましてあんたを 乗(の)せて行(い)く
瀬戸(せと)の小島(こじま)の 通(かよ)い船(ぶね)
涙見(なみだみ)せない 約束(やくそく)だから
かくれて桟橋(さんばし) 袖(そで)しぼる

(下津井節)
下津井港(しもついみなと)にヨー 錨(いかり)を入れりゃよー
街の行灯の 灯が招くヨー

波(なみ)のまくらで まどろみながら
しばし女(おんな)の 夢(ゆめ)をみた
三日三晩(みっかみばん)は 早(はや)すぎて
別(わか)れうず潮(しお) 霧(きり)の花(はな)
抱(だ)いておきたい 思(おも)い出(で)なのに
捨(す)てなきゃ飛(と)べない 磯千鳥(いそちどり)

酒の合間(あいま)に 下津井節を
なさけ名残(なごり)に 口(くち)うつし
扱(しご)き結(むす)んだ 格子窓(こうしまど)
見(み)える筈(はず)など ないけれど
もしも見(み)えたら わたしの胸に
汽笛(きてき)を鳴(な)らして もういちど


9.風の十三湊(とさみなと)

作詞:仁井谷俊也
作曲:榊薫人

津軽恋しや――
捨てた故郷(ふるさと) 帰ってみれば
砂に埋もれた 磯舟ひとつ
風もヒュルヒュル 十三湊(とさみなと)
お父(どう)の十八番(おはこ) 砂山節が
今も聞こえてヨー 懐かしい

七里長浜――
波のうねりか 海鳴り哭(な)いて
胸で詫(わ)びてる 不孝の数を
風もヒュルヒュル 十三湊
昔のままの 茅葺(かやぶ)き屋根を
見れば目頭ヨー 熱くなる

西の空みりゃ――
遠く雪雲(ゆきぐも) 流れて飛んで
誰を待つやら 冬鳥一羽
風もヒュルヒュル 十三湊
やさしい母の 微笑む顔が
けむる焚(た)き火にヨー また浮かぶ


10.ふるさと便り

作詞:水木れいじ
作曲:花笠薫

便りもないけど 達者か無事か
届いた荷物は 親ごころ
ありがとう お母さん
いくつになっても 心配なんだよね
つぎの連休(やすみ)は 孫の手ひいて
月の潮路を 帰ってゆくからね

かぜなどひくなと ひらがな手紙(もじ)は
昭和のあの日の ままですね
今だって お母さん
あなたにとっては おさげの娘(むすめ)よね
白いみかんの 花咲く岬
泣いて別れて 幾年過ぎたやら

日暮れの瀬戸内 だんだん畑
ちいさな背中が 目に浮かぶ
がんばるよ お母さん
笑顔で生きたら 幸せ来るんだね
そんなくちぐせ 真似(まね)して見たら
遠い夜空に 呼びあう親子星


11.潮来情話

三笠優子&岡千秋
作詞:たかたかし
作曲:岡千秋

年令(とし)の離れた この人に
ついて行きます おんな舟
噂かなしい さざ波川よ
涙こらえて 漕ぎだす男女(ふたり)
握る水棹(みざお)が 重くなる

咲いてみたって 実のならぬ
恋を承知で 流れてく
霧が湧くよな 水面のくらさ
心細さに 手をとりあって
仰ぐ夜空に 天の河

背負いきれない 宿命(さだめ)なら
いっそ命も 捨てましょか
月よ、照らすな 男女(ふたり)の影を…
真菰がくれに よしきり鳴けば
生まれ故郷が 遠くなる