1.おんな船頭唄
作詞:藤間哲郎
作曲:山口俊郎
嬉しがらせて 泣かせて消えた
憎いあの夜の 旅の風
思い出すさえ ざんざら真菰(まこも)
鳴るなうつろな この胸に
所詮かなわぬ 縁(えにし)の恋が
なぜにこうまで 身を責める
呼んでみたとて はるかなあかり
濡れた水棹(みさお)が 手に重い
利根で生まれて 十三、七つ
月よあたしも 同じ年
かわいそうなは みなし子同士
きょうもおまえと つなぐ舟
2.あゝ新撰組
作詞:横井弘
作曲:中野忠晴
加茂の河原(かわら)に 千鳥が騒ぐ
またも血の雨 涙雨
武士という名に 生命(いのち)をかけて
新撰組は きょうも行く
恋も情けも 矢弾(やだま)に捨てて
軍(いくさ)重ねる 烏羽伏見
ともに白刃(しらは)を 淋しくかざし
新撰組は 月に泣く
菊のかおりに 葵(あおい)が枯れる
枯れて散る散る 風の中
変わる時勢に 背中を向けて
新撰組よ どこへ行く
3.あの娘が泣いてる波止場
作詞:高野公男
作曲:船村徹
思い 出したんだとさ
逢(あ)いたくなったんだとさ
いくらすれても 女はおんな
男心にゃ わかるもんかと
沖のけむりを 見ながら
あゝ あの娘(こ)が泣いてる 波止場(はとば)
呼んで みたんだとさ
淋しくなったんだとさ
どうせカーゴの マドロスさんは
一夜(いちや)泊りの 旅の鴎(かもめ)と
遠い汽笛を しょんぼり
あゝ あの娘は聞いてる 波止場
涙 捨てたんだとさ
待つ気になったんだとさ
海の鳥でも 月夜にゃきっと
飛んでくるだろ 夢ではろばろ
それをたよりに いつまで
あゝ あの娘がたたずむ 波止場
4.リンゴ村から
作詞:矢野亮
作曲:林伊佐緒
おぼえているかい 故郷の村を
たよりもとだえて 幾年(いくとせ)過ぎた
都へ積み出す まっかなリンゴ
見るたびつらいよ
俺(おい)らのナ 俺らの胸が
おぼえているかい 別れたあの夜
泣き泣き走った 小雨のホーム
上りの夜汽車の にじんだ汽笛
せつなく揺するよ
俺らのナ 俺らの胸を
おぼえているかい 子供の頃に
二人で遊んだ あの山・小川
昔とちっとも 変っちゃいない
帰っておくれよ
俺らのナ 俺らの胸に
5.あゝ田原坂
作詞:高橋掬太郎
作曲:山口俊郎
雨は降る降る 人馬は進む
かわい稚児どんが 濡(ぬ)れてゆく
あゝ 散るが花かよ
田原(たばる)坂
下(さ)げた血刀 笑うて振れば
風に飛ぶ飛ぶ 乱れ雲
あゝ かばねさらすか
田原坂
我が胸の
燃ゆる思ひに くらぶれば
けむりはうすし 桜島山
どこで散ろうと 男の生命(いのち)
鳴くな雲間の ほととぎす
あゝ つきぬ恨みの
田原坂
6.哀愁列車
作詞:横井弘
作曲:鎌多俊与
惚れて 惚れて
惚れていながら 行くおれに
旅をせかせる ベルの音
つらいホームに 来は来たが
未練心に つまづいて
落す涙の 哀愁列車
燃えて 燃えて
燃えて過ごした 湯の宿に
うしろ髪ひく 灯(ひ)がひとつ
こよい逢瀬を 待ちわびる
君のしあわせ 祈りつつ
旅にのがれる 哀愁列車
泣いて 泣いて
泣いているのを 知らぬげに
窓はふたりを 遠くする
こらえきれずに 見返れば
すがるせつない 瞳(め)のような
星が飛ぶ飛ぶ 哀愁列車
7.おさげと花と地蔵さんと
作詞:東條寿三郎
作曲:細川潤一
指をまるめて のぞいたら
黙ってみんな 泣いていた
日昏れの空の その向こう
さようなら
呼べば遠くで さようなら
おさげと 花と 地蔵さんと
あれから三年 もう三月
変らず今も あのままで
空見て立って いるのやら
さようなら
耳をすませば さようなら
おさげと 花と 地蔵さんと
なんにもいわずに 手を上げて
爪立ちながら 見てたっけ
思いはめぐる 茜空
さようなら
呼べばどこかで さようなら
おさげと 花と 地蔵さんと
8.赤い夕陽の故郷
作詞:横井弘
作曲:中野忠晴
(おーい)
呼んでいる 呼んでいる
赤い夕陽の 故郷(ふるさと)が
うらぶれの 旅をゆく
渡り鳥を 呼んでいる
馬鹿な俺だが あの山川の
呼ぶ声だけは おーい 聞こえるぜ
呼んでいる 呼んでいる
赤い夕陽の 故郷が
懐かしい 面影の
ひとつ星も またたくよ
小麦畠は 二人の夢を
ひそめているか おーい 今もなお
呼んでいる 呼んでいる
赤い夕陽の 故郷が
涙ぐみ 背伸びする
渡り鳥を 呼んでいる
雲よ行くなら おふくろさんに
思いをせめて おーい 乗せて行け
(おーい)
9.古城
作詞:高橋掬太郎
作曲:細川潤一
松風騒ぐ 丘の上
古城よ独(ひと)り 何偲(しの)ぶ
栄華の夢を 胸に追い
ああ 仰げば佗(わ)びし 天守閣
崩れしままの 石垣に
哀れを誘う 病葉(わくらば)や
矢弾(やだま)のあとの ここかしこ
ああ 往古(むかし)を語る 大手門
甍(いらか)は青く 苔(こけ)むして
古城よ独り 何偲ぶ
たたずみおれば 身にしみて
ああ 空行く雁(かり)の 声悲し
10.達者でナ
作詞:横井弘
作曲:中野忠晴
わらにまみれてヨー 育てた栗毛
今日は買われてヨー 町へ行く
オーラ オーラ 達者でな
オーラ オーラ 風邪ひくな
ああ 風邪ひくな
離す手綱が ふるえ ふるえるぜ
俺が泣くときゃヨー お前も泣いて
ともに走ったヨー 丘の道
オーラ オーラ 達者でな
オーラ オーラ 忘れるな
ああ 忘れるな
月の河原を 思い 思い出を
町のお人はヨー よい人だろが
変る暮しがヨー 気にかかる
オーラ オーラ 達者でな
オーラ オーラ また逢おな
ああ また逢おな
かわいたてがみ なでて なでてやろ
11.武田節
作詞:米山愛紫
作曲:明本京静
甲斐の山々 陽に映えて
われ出陣に うれいなし
おのおの馬は 飼いたるや
妻子につつが あらざるや あらざるや
祖霊まします この山河
敵にふませて なるものか
人は石垣 人は城
情けは味方 仇は敵 仇は敵
(詩吟)疾きこと風の如く
徐かなること林の如し
侵掠すること火の如く
動かざること山の如し」
躑躅ヶ崎の 月さやか
うたげを尽せ 明日よりは
おのおの京を めざしつつ
雲と興れや 武田武士 武田武士
12.石狩川悲歌
作詞:高橋掬太郎
作曲:江口浩司
君と歩いた 石狩の
流れの岸の 幾曲り
思い出ばかり 心につづく
あゝ 初恋の 遠い日よ
ひとり仰げば ただわびし
木立の丘の 日昏(ひぐ)れ雲
くろかみ清く 瞼(まぶた)に消えぬ
あゝ 初恋の 面影よ
君を思えば 身にしみる
石狩川の 夕風よ
二度とは逢(あ)えぬ この道なれば
あゝ 初恋の 日が恋し
13.星屑の町
作詞:東条寿三郎
作曲:安部芳明
両手を回して 帰ろ 揺れながら
涙の中を たったひとりで
やさしかった 夢にはぐれず
瞼(まぶた)を閉じて 帰ろ
まだ遠い 赤いともしび
指笛吹いて 帰ろ 揺れながら
星屑(ほしくず)わけて 町を離れて
忘れない 花のかずかず
瞼(まぶた)を閉じて 帰ろ
思い出の 道をひとすじ
両手を回して 帰ろ 揺れながら
涙の中を たったひとりで
14.波浮の港
作詞:野口雨情
作曲:中山晋平
磯の鵜の鳥ゃ 日暮れにゃかえる
波浮の港にゃ 夕やけ小やけ
あすの日和は
ヤレホンニサなぎるやら
船もせかれりゃ 出船の仕度
島の娘たちゃ 御神火ぐらし
なじょな心で
ヤレホンニサいるのやら
風は汐風 御神火おろし
島の娘たちゃ 出船のときにゃ
船のとも綱
ヤレホンニサ泣いてとく
15.五木の子守唄
作詞:民謡
作曲:民謡
おどま盆ぎり盆ぎり
盆から先ァおらんど
盆が早よ来りゃ 早よもどる
おどまが非人 非人
あん人たちァよか人
よか人ァよか帯 よか着物
ねんね一ぺんいうて
眠らぬやつは
頭たたいて 臀ねずみ
おどんが打っ死んだば
道ばちゃいけろ
通る人ごち 花あぎゆ
花は何の花
つんつん椿
水は天から もらい水
16.城ヶ島の雨
作詞:北原白秋
作曲:梁田貞
雨はふるふる 城ケ島の磯に
利久鼠の 雨が降る
雨は真珠か 夜明けの霧か
それともわたしの 忍び泣き
舟はゆくゆく 通り矢のはなを
濡れて帆上げた ぬしの舟
ええ 舟は櫓でやる 櫓は唄でやる
唄は船頭さんの 心意気
雨はふるふる 日はうす曇る
舟はゆくゆく 帆がかすむ
17.知床旅情
作詞:森繁久彌
作曲:森繁久彌
知床の岬に はまなすの咲くころ
思い出しておくれ 俺たちの事を
飲んで騒いで 丘にのぼれば
はるかクナシリに 白夜(びゃくや)は明ける
旅の情けか 酔うほどにさまよい
浜に出てみれば 月は照る波の上
今宵(こよい)こそ君を 抱きしめんと
岩かげに寄れば ピリカが笑う
別れの日は来た 知床(ラウス)の村にも
君は出ていく 峠(とおげ)をこえて
忘れちゃいやだよ
気まぐれカラスさん
私を泣かすな 白いかもめよ
白いかもめよ
18.旅愁
作詞:犬童球渓
作曲:オードウェイ
更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ
恋しやふるさと なつかし父母
夢じにたどるは 故郷の家路
更けゆく秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遥けき彼方に こころ迷う
恋しやふるさと なつかし父母
思いに浮ぶは 杜のこずえ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遥けきかなたに 心まよう
19.あざみの歌
作詞:横井弘
作曲:八洲秀章
山には山の 愁いあり
海には海の 悲しみや
ましてこころの 花ぞのに
咲きしあざみの 花ならば
高嶺の百合の それよりも
秘めたる夢を ひとすじに
くれない燃ゆる その姿
あざみに深き わが想い
いとしき花よ 汝(な)はあざみ
こころの花よ 汝はあざみ
さだめの径(みち)は はてなくも
香れよせめて わが胸に
20.白い花の咲く頃
作詞:寺尾智沙
作曲:田村しげる
白い花が 咲いてた
ふるさとの 遠い夢の日
さよならと 云ったら
黙って うつむいてたお下げ髪
悲しかった あの時の
あの 白い花だよ
白い雲が 浮いてた
ふるさとの 高いあの峰
さよならと 云ったら
こだまが さよならと呼んでいた
淋しかった あの時の
あの 白い雲だよ
白い月が ないてた
ふるさとの 丘の木立ちに
さよならと 云ったら
涙の 眸でじっとみつめてた
悲しかった あの時の
あの 白い月だよ
21.船頭小唄
作詞:野口雨情
作曲:中山晋平
おれは河原の 枯れすすき
同じお前も 枯れすすき
どうせ二人は この世では
花の咲かない 枯れすすき
死ぬも生きるも ねえおまえ
水の流れに 何変わろ
おれもお前も 利根川の
船の船頭で 暮らそうよ
枯れた真菰(まこも)に 照してる
潮来出島の お月さん
わたしゃこれから 利根川の
船の船頭で 暮らすのよ
22.出船
作詞:勝田香月
作曲:杉山長谷夫
今宵出船か お名残り惜しや
暗い波間に 雪が散る
船は見えねど 別れの小唄に
沖ぢゃ千鳥も 泣くぞいな
今鳴る汽笛は 出船の合図
無事で着いたら 便りをくりゃれ
暗いさみしい 灯影の下で
涙ながらに 読もうもの
23.花嫁人形
作詞:蕗谷虹児
作曲:杉山長谷夫
金襴緞子の 帯しめながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
文金島田に 髪結いながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
あねさんごっこの 花嫁人形は
赤いかのこの 振袖着てる
泣けば鹿の子の たもとがきれる
涙でかのこの 赤い紅にじむ
泣くに泣かれぬ 花嫁人形は
赤い鹿の子の 千代がみ衣裳
24.村祭
作詞:文部省唱歌
作曲:文部省唱歌
村の鎮守の神様の
今日はめでたい御祭日
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
朝から聞える笛太鼓
年も豊年満作で
村は総出の大祭
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
夜まで賑う宮の森
治まる御代に神様の
めぐみ仰ぐや村祭
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
聞いても心が勇み立つ
25.荒城の月
作詞:土井晩翠
作曲:滝廉太郎
春高楼の花の宴
めぐる盃かげさして
千代の松が枝わけいでし
むかしの光いまいずこ
秋陣営の霜の色
鳴きゆく雁の数見せて
植うる剣に照りそいし
むかしの光いまいずこ
いま荒城のよわの月
替らぬ光たがためぞ
垣に残るはただかずら
松に歌うはただあらし
26.故郷
作詞:文部省唱歌
作曲:文部省唱歌
兎追いしかの山
小ぶなつりしかの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき故郷
如何にいます父母
恙なしや友がき
雨に風につけても
思いいずる故郷
こころざしをはたして
いつの日にか帰らん
山はあおき故郷
水は清き故郷
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