1.ラブソング
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
未来は無いぜ 陽も射さない 時代葬ったカタコンベ
油田から昇る黒煙に 咳き込む妹微笑んで
西のバラックに配給を 取りに行った兄は帰らない
「お買い求めはお急ぎを」 とテレビだけが嫌に賑やかだ
満たされた時代に生まれた と大人は僕らを揶揄した
どこに安寧があるのだと 気付いた時にはもう遅かった
不穏な煙が立ち昇り あれは何だと騒ぎ立てた
奴から順に消えて行った 今じゃ町ごと墓場だ
愛すら知らない人が 居るのは確かだ
それを無視するのは何故だ それを無視するのが愛か?
ATM 電気椅子 ストレルカとベルカ 紙幣と硬貨
愛こそ全て
再来世と来世 社会性 人の指の首飾り 花飾り
愛こそ全て 信じ給え
土砂降りの雨の中を 傘もささないで歩いた
「傘が無い」と口ずさむけど むしろ傘を買う金が無い
狭いアパートに戻っても 惨めでまた死にたくなった
「お買い求めはお急ぎを」 とテレビだけが嫌に賑やかだ
夢すら持てない人が 居るのは確かだ
それを歌にしては駄目か? それを無視するのが歌か?
資本主義 ノンフィクション フィクション 個室ビデオ 虚無 人生回顧
愛こそ全て
シグナルとシグナレス 始発電車 自殺 唄うたいと商業主義
愛こそ全て 信じ給え
未来には期待しないよ 息も出来ないよ 夜の闇の中 不安で眠れない
愛されるだとか 愛するんだとか それ以前に僕ら 愛を買わなくちゃ
消費せよ 消費せよ それ無しではこの先 生きてけない
消費せよ 消費せよ それこそが君を救うのだ
社会性不安 買春 輪廻転生 ラブソング ラブソング
愛と平和 無銭飲食 墓石
愛こそ全て
自動小銃 生命保険 物欲 ビデオゲームと人殺し
愛こそ全て
急いで買いに行かなきゃ 誰よりも多く買わなきゃ
奪ってでも手に入れなきゃ
愛を買わなくちゃ
2.ナガルナガル
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
幾時代かがありまして 悲しいことが起こりました
もう 知らない振りはできないよ 僕らは知ってしまったから
当たり前の事なんですが 日々は 流る 流る 流る
着飾るもんが無くなって 格好つけるもんが無くなって
裸の心で向かい合う そんな時が来たって気がするよ
涙流る 時も流る 僕ら確かなもんをさがしてる
街は変わる 人も変わる 昨日ゴミだった君の心も
捨てないでよ
ビル風の吹き溜まりでは 肩を落とし歩く君の
夢、希望はファンタジーじゃなく 歩幅の延長線上にある
大事なもの大事と言え 君は 進む 進む 進む
強がる理由が無くなって 不幸ぶる理由も無くなって
本音の言葉で向かい合う そんな時が来たって気がするよ
涙流る 時も流る その速度より早く走り抜け
街は変わる 人も変わる 昨日報われなかった願いも
捨てないでよ
過去から未来 繋ぐ実線 ミクロからマクロ帰結して
流転に物思う暇なく 有史以前と同じ風が吹く
時代の愛の価値移ろい 未来永久に過ぎ去る理
時代の愛の価値移ろい 離したくないと抱いたの何?
痛みも全部無くなって 喜怒哀楽も全部無くなって
「平穏だ」なんて閉じこもる そんな毎日なんてくそくらえ
涙流る 時も流る そんな世界じゃ僕ら一瞬だ
急げ 急げ 急げ 急げ 昨日笑われた君の本気も
捨てないでよ
君の番だよ
3.セビロニハナ
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
鈍感さは強さとして
昨日までの様々は 過ぎた景色と振り返らず
敏感さは弱さとして
誰も眼にくれない 人混みの機微に傷ついて
瞬間 突風吹き抜けて
背広の襟に張り付く花に
気付く人など少ないが
気付いた君が都市を行く
痛みを知った 足取りで
恥ずかしそうに都市を行く
君に張り付く花びらが
君の名前を語ってる
4.ナモナキヒト
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
一人の夜の寂しさを 言い訳にしてみても
傷つける為の言葉は 空しくなるだけ それでも
心に穴が空いて そこに流れ込んだ泥水は
全部吐き出さなきゃ 苦しくても吐き出さなきゃ
上手くいかないときは 何をやっても駄目で
駄目だ駄目だって思ってりゃ 上手くいくもんもいかないよな
カーテンの隙間から 朝日が急かしやがるんだ
もう出掛ける時間だよ しょうがない出掛けるか
名も無き僕 名も無き君 何者にもなれない僕達が
ぼろぼろに疲れ 流れ着いた街で たった今すれ違ったのだ
それを 出会いと呼ぶには つかの間過ぎたのだが
名前を付けてくれないか こんな傷だらけの生き方に
誰かが君の事を 悪く言っていたとしても 大丈夫
人の生き方は 良い悪いではないのだ
目の前の分かれ道の 選択に悩みこそすれど
それを不正解と言ってしまう選択こそ 最も不正解なのだ
上手く行かない時は 人のせいにしそうなもんで
それを自分のせいにしてる 君は優しすぎるから
駅のホームでも ため息さえ飲み込んで
息を詰まらせているのは 全く君らしいよ
名も無き僕 名も無き君 何者にもなれない僕達が
ぼろぼろに疲れ 流れ着いた街で たった今すれ 違ったのだ
それを 運命と呼ぶには ありふれていたのだが
名前を付けてあげるのだ その傷だらけの生き方に
人知れず流した涙 隠していた悔しさ
名付けられる事無い 詠み人知らずの悲しみ
ビルの風に舞い上がり 路地の隅に吹き溜まる
始めから無かったみたいに忘れるか
僕達の名も無き悲しみは 今こそ讃えて然るべきだ
僕達の名も無き悲しみは 君に見つけられるのを待っている
名も無き僕 名も無き君 何者にもなれない僕達が
ぼろぼろに疲れ 流れ着いた街で たった今すれ違ったのだ
それを 必然と呼ぶには 瑣末過ぎたのだが
今こそ 名前を呼び合うのだ この傷だらけの生き方の
名も無き人
5.ハレルヤ
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
希望と挫折 交互に足踏みしてここに来たよ
けど別にこれといって何かを成し遂げたわけじゃない
夜空が僕らの憂鬱な溜息に撃ちぬかれて
ぽっかり開いた穴みたいな満月が ちょっと悲しい
時々このまま消えてしまいたいって思うのは
僕らは何故だか儚いものに憧れるから
中央線を惰走するセンチメンタルを称えよ
主よ 僕らの未来は等しく 凍えるレールの上
これからどこへ向かおう 僕らも どうせちっぽけな宇宙の塵
ハレルヤ 君の明日が 素晴らしい日であるように
願いをかけなくちゃ 流れ星
走り出す刹那 放つ火花が「今」なんだ
欲しいのは 今だけ
僕の好きなバンドのCDが「退屈だ」と歌う
君は真面目な顔で助手席の窓を見つめてる
秋の空が鉄橋を走る電車に切り裂かれ
そこから吹き出した血液みたいな夕日がなんだか怖い
一人じゃないんだよと歌って 彼女の胸が張り裂けてしまえばいい
ハレルヤ 君の明日が 素晴らしい日であるように
願いをかけなくちゃ 流れ星
駆け抜ける刹那 放つ火花が「今」なんだ
欲しいのは 今だけ
まるで生きてるなんて感じねぇ まるで誰かの夢を見てるみてぇ
まして喜びなんて信じねぇ こんな僕でも今を生きてみてぇ
生きてみてぇ
ハレルヤ 僕の明日が 退屈に溺れるなら
いっそ燃え尽きたいよ 流れ星
砕け散る刹那 放つ火花が「今」なんだ
欲しいのは 今だけ
6.アイスクリーム
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
駅のエレベーターがあまりにも唯物的で
この六月のとある一日ですら とても唯物的に思えて
だから僕は 僕の情緒と秘密を交わし合う
改札を抜けると 少し夏の匂いがして
色んな人が最大公約数的に笑って
その重量が 個人的な空白と釣り合わず
僕は 僕の情緒と秘密を交わし合う
虚しい 寂しい と言ったら終わり
虚しい 寂しい と言ったら終わり
虚しい 寂しい と言ったら終わり
虚しい 寂しい
石畳の歩道が 日照りでとても熱そうだから
今年の六月は ここに捨てていこうと
アイスクリーム屋の看板を見て
思った
7.アポロジー
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
暗いところに隠れたら 誰にも見つからないと思ってた
だけど自分の姿さえ見失ってしまうとは 困ったな
ほんとの事は分からない ずっと考えてるけど分からない
優しい人にはなれない 打算と狡さの怠け者
星空が水面に映ったみたいな 街の灯を眺めてた
あんまり綺麗だから そこまで歩いたら生ゴミ臭かった
酔っぱらって抱き合う男女 混濁した頭で見るなら
この世はきっと美しい ゴミ溜めだって美しい
嘘は泥棒の始まりです 自分に正直に生きなさい
幼い頃の約束は 大人になった今も有効ですか
出来て当たり前の事が 出来ない出来損ないの僕ら
開き直れるならまだましか 反省ばっかじゃ世話無いな
約束なんて何一つ守れなかった僕らのアポロジー
世界に文句ばっか言ってたら 誰も愛しちゃくれねぇよ
ごめんなさい ちゃんといえるかな?
ごめんなさい ちゃんといえるかな?
世界から爪弾きにされて 息を殺して身を潜めて
一世一代の復讐で 腹から笑えると思ってた
世界に笑われた分だけ 世界を嘲笑ってみたら
なんだかとっても虚しくて 尚更惨めになりました
小さな川の連なりが やがて海にたどり着くような
僕らの無粋な罪悪が 涙となって流れたんだ
汚れた海は許せないな 汚れた涙も同じだ
悔しくてしょうがないよ 嫌われたい訳じゃないよ
期待通りに生きる事なんて出来ない僕らのアポロジー
傷つけ合ってばっかりいたら信頼なんて 出来ねぇよ
ごめんなさい ちゃんといえるかな?
ごめんなさい ちゃんといえるかな?
陰口たたいて 舌出して 嘘ばっか付いて痛い目みて
大人になっても同じだ ふて腐れてんのも同じだ
どこまで行っても逃げられない 僕は僕からは逃げられない
明日から生まれ変わるから そう言って今日に至りました
誰かの為に生きるなんて出来なかった僕らのアポロジー
自分勝手に生きる僕を 全て許してくれたあの娘に
いつまで経っても変われない平凡な 僕らのアポロジー
どんなに嫌っても ただ僕を受け入れてくれた世界に
ごめんなさい ちゃんといえるかな?
ごめんなさい ちゃんといえるかな?
御免なさい ちゃんと言わなくちゃ
8.カラス
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
上空に群れをなして飛ぶカラス
陽が落ちても 今朝からの雪は止まず
僕はと言えば 交互に足踏み 未だ繰り返す
それだけの日々には唄を すべからく
むつ市の風は 人の気も知らず
馬鹿げた苦悩や 恥を 吹き曝す
それを寒いと 嘆くに非ず
偉大で不遜な 慈悲をはらむ
北風にただ姿勢を正す
上空に群れをなして飛ぶカラス
北風に僕は答えを探す
9.ハルルソラ
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
正午の陽射しが乾かしてしまった 昨日までの雨 昨日までの苦悩
週末は彼女が遊びに来るから ものぐさな僕も部屋を掃除する
この町の嘘が 車の追い風に吹かれて転がる 歩道に落ち葉の千切り絵
何もない事が幸せだと思うよ 僕らを悩ませる面倒くさい事が
ほら 子供達が笑って 走る道に季節のハレーション
面影 思い出 綯い交ぜの写し絵
変わらないものが 変わらなければいい
晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば
描き直すには大きすぎる 青空が今日も綺麗です
休日の工事現場 でかい建物にカラスも留まれば 夕日も留まる
生活の為には背に腹変えられず 安らぎを売るには それは安すぎる
ほら 風が森を駆け抜け ざわめく声が嘆きかは知らぬが
後ろめたい気がして聴けないよ
変わらないものを 変えるのは難しい
晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば
描き直すには大きすぎる 青空が今日も綺麗です
風の吹く先に何もないよ 陽が沈む先に何もないよ
僕らが望む答えは きっと無いよ
ただ世界がそこにあるだけ 初めからそこにあるだけ
晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば
描き直すには大きすぎる 空が綺麗です
晴るる空 ルララ 僕らが歌歌えば
描き直すには大きすぎる 青空が今日も綺麗です
10.祈り
作詞:秋田ひろむ
作曲:秋田ひろむ
ロウソクの灯を眺めてたら
笑った日の事を 思い出したよ
風の音が少し 怖いけれど
僕は大丈夫 そっちはどうだろう
届けたい声が 届かない距離に
横たわる無数の想いが 橋となるまで
祈りは祈りのまんま あなたの枕元に
願いは願いのまんま 明日の太陽と共に
「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが
本当に無力とは信じないぜ
ロウソクの灯を眺めてたら
これからの事が 不安になったよ
今は少しだけ 落ち込んでいいよ
いつか必ず笑うと 約束するなら
解きたい不安が 解けない夜に
散らばる無数の悲しみが 星となるまで
祈りは祈りのまんま 凍えた手と手の間
願いは願いのまんま 明日の曇天の隙間
「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが
本当に無力とは信じないぜ
二度と帰らぬものに 雪が降り積もる
もう会えない日々に 雪が降り積もる
震えるあなたの肩に 雪が降り積もる
昨日と同じ雪が降る 昨日と同じ雪が降る
祈りは祈りのまんま 汚れたその頬を称え
願いは願いのまんま 明日の暗闇を照らせ
「僕らは無力だ」と暗闇に祈るのが
本当に無力とは信じないぜ
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