1.女将一代
作詞:松井由利夫
作曲:岡千秋
おんな細腕 夢八文字に
意地と真実を
結んだ 結んだ襷
女将一代 苦労の水で
涙とかして 引く紅に
こめた念願は ただひとつ
男勝りが 男に負けて
愚痴をこぼせば 世間が 世間が笑う
女将一代 表と裏の
使い分けには 馴れてるが
消すに消せない 屈折もある
女手染めの 命の花は
咲くも散らすも 明日に 明日に賭ける
女将一代 塩瀬の帯を
締めて弱気を 虫封じ
嵐踏み越え 生きて行く
2.越前おんな舞い
作詞:松井由利夫
作曲:岡千秋
春の名残りか 二ひら三ひら
襟に舞いこむ 雪の花
夢の灯りを 覗いただけで
涙 幕切れ 紅殼格子(べにがらごうし)
いいえ 昔は昔 今は今
越前花舞い おんな舞い
「竹の人形 ゆうぜん着せて
月の夜道を里帰り さて里帰り」
恋の着くずれ 乱れたままじゃ
芸の細道 迷うだけ
花のいのちも 加賀友禅(かがゆうぜん)も
情け手ざわり あとひく未練
いいえ 昔は昔 今は今
越前夢舞い おんな舞い
竹の林が 波打つたびに
うしろ振りむく 意気地なし
噛んだ小指に にじんだ紅が
生きる支えの 扇の要
いいえ 昔は昔 今は今
越前雪舞い おんな舞い
3.博多川
作詞:たきのえいじ
作曲:岡千秋
雨に打たれて 身を染める
咲いて七日の 萩の花
添えぬ運命の ふしあわせ ふしあわせ
何故に私に つきまとう
あなた偲んで 泣いてます
紅も悲しい 博多川
橋のたもとに 佇めば
やがて中州に 冬がくる
まぶた閉じれば 写し絵に 写し絵に
浮かぶひと夜の 隠れ宿
せめても一度 抱きしめて
ひとり淋しい 博多川
焦がれ泣きする その度に
傘を持つ手が 重くなる
夢の篝火 消さないで 消さないで
結び直して この縁
肌があなたを 恋しがる
ついて行きたい 博多川
4.海峡
作詞:星野哲郎
作曲:弦哲也
死ぬか生きるか 沈むか浮くか
崖を背にした 女がひとり
渦で占う 人生は
北へ進めと しぶきも叫ぶ
来いと言われた わけでもないが
潮の香りは 男の匂い
胸に切ない 海峡の
風は女を また吸い寄せる
泣くか笑うか 祈るか待つか
暗い波間に 女はひとり
なげたコインに しあわせを
賭けて求めて 海峡わたる
汽笛ならして 行き交う船に
乗せた運命を 悔みはしない
結ぶすべなく すれちがう
愛も涙に 咲く花だから
来いと呼ばれた わけでもないが
潮の香りは 男の匂い
胸に切ない 海峡の
風は女を また吸い寄せる
5.湯の華慕情
作詞:小島哲
作曲:高野かつみ
吹雪の夜に バスに乗り
雪山こえて いでゆの宿よ
おんな心を 湯舟にそめて
ぬくもりひと夜の 肌恋し
山間の雪紅葉 定山渓
湯煙り匂う 恋の華
あなたを追って 湯の街しぐれ
慕いひとすじ 頬よせあって
しぐれの涙に 仮の宿
湯の華に咲いた恋 定山渓
みぞれがまじり 華が舞う
根雪も白く 流れて消える
所栓勝てない おんなの春を
淋しさあなたに 身をなげた
月明り霧に舞う 定山渓
6.白い駅舎(えき)
作詞:麻こよみ
作曲:弦哲也
私も泣いて あなたも泣いて
見送る夜明けの 冬の駅舎
世間を捨てて すべてを捨てて
ついて行きたい ひとなのに…
涙 涙 涙凍えて 雪になれ
いつかはつらい 別れが来ると
わかっていました はじめから
あなたがくれた 思い出抱いて
生きて行きます この町で…
夢も 夢も 夢も散り散り 雪が舞う
忘れて欲しい 私のことは
雪に埋める 恋ひとつ
二人の心 引き裂くように
汽笛ひと声 汽車が出る…
涙 涙 涙隠して 雪よ降れ
7.郡上恋唄
作詞:加藤市平
作曲:徳久広司
郡上八幡 おんなが燃える
年に一度の 春駒おどり
旅のみやげに おまえをつれて
帰りたいよと 言った人…
逢いにいつ来る いつまた逢える
もうすぐ城山 蝉しぐれ
郡上水舟 つかった産湯
男知らずが 初めて惚れた
遠く泣くよな 笛の音聴けば
つらい別れが また浮かぶ…
あなた恋しい いつまた逢える
胸からやつれる 恋おんな
郡上祭りの ぼんぼり灯し
水に映した 契りの宿よ
袖でなみだは 拭えるけれど
忘れられない 面影が…
逢いにいつ来る いつまた逢える
もうすぐ秋風 吉田川
8.おりおりの酒
作詞:高林こうこ
作曲:徳久広司
髪をおろして 足袋を脱ぐ
女ごころが まだ迷う
愛に背(そむ)かれ 何度も泣いた
こんなわたしで いいのでしょうか
おりおりの酒に 夢を見て
そっと拭き取る 濡れた紅
花を散らせた 春の風
月をかくした 秋の雲
何が怖いの この先ずっと
ぼくがいるよと 肩抱くあなた
おりおりの酒に 夢を見て
枕明かりを 消す夜更け
右手つないで 歩く道
やがて芽吹きの 冬木立
思いかよわせ 寄り添うひとの
日向みたいな 男の匂い
おりおりの酒に 夢を見て
帯を解きます 花の宿
9.さいはて酒場
作詞:塚本さとい
作曲:徳久広司
“ダメね ダメね 私ってだめなのね…”
恥を捨てれば 恥知らず
義理を捨てれば ろくでなし
惚れたあの人 素敵に見えた
こんなはずでは なかった恋よ
親のなげきを 胸で聴く
風と潮騒 さいはて酒場
家を失くした こすずめが
心細げに 枝で啼く
忘れきれない 思い出くれて
どこへ去(い)ったか あの人消えた
親の小言と 冷や酒が
しみてくるよな さいはて酒場
愛だ恋だと えがく夢
所詮まぼろし 夢ん中
ひとつ狂えば 真も嘘に
変わる月日の 哀しいさだめ
親は帰れと 云うだろが
帰れないのよ さいはて酒場
“ダメね ダメね 私ってダメなのね…”
船の霧笛は 里ごころ
遠いふるさと 港町
酒でいのちを けずって生きて
思い悩んだ 季節もあった
親の情けも 欲しいけど
夢は捨てない さいはて酒場
10.奥山椿
作詞:水木れいじ
作曲:徳久広司
赤く咲いても 実らぬままに
雨に散りゆく 奥山椿
ふたりのさだめを 見るようで
濡れた袂(たもと)に また涙…
あなた忘れに 来た宿で
手紙を書くのは みれんでしょうか
つれはひと汽車 遅れて来ると
嘘で答えて 呑(の)みほすお酒
山鳩ホロホロ 啼(な)く窓も
暮れていつしか 舞う小雪…
酔って乱れて 甘えたら
可愛い女に なれたでしょうか
なんで今さら 湯上り化粧
ひとり旅なら ひとり寝ならば
身をひくだけでは 終らない
恋もあります この世には…
夢でいいから 抱かれたい
私はいけない 女でしょうか
11.おんなの浮世絵
作詞:水木れいじ
作曲:徳久広司
洗い髪をといて 薄絹(うすぎぬ)の
着物肩にはおり 口紅(べに)をひく
乳房(むね)の奥に眠る 揚羽蝶(あげはちょう)
羽根をそっと開き 舞い上る
染井吉野(そめいよしの)の桜(はな)の春
茜空(あかねぞら)から暮れゆく秋も…
あなた色に染めて 染めて 染めぬいて
初心(うぶ)よ一途よ いのちがけ おんなの浮世絵
蚊帳(かや)の中でふたり 枕辺(まくらべ)の
迷い蛍(ぼたる)みつめ 身をよせた
伽羅(キャラ)の香(こう)をたいて 瞳(め)をとじて
聴いた恋の歌の 懐かしさ
ほんの三十路(みそじ)は宵(よい)の口(くち)
ダメね四十路(よそじ)の純情なんて…
あなた待って泣いて 泣いて 泣きぬれて
馬鹿よ不埒(ふらち)よ いのちがけ おんなの浮世絵
こころ空蝉(うつせみ)聞く夏も
窓の紅葉(もみじ)に雪舞う冬も…
あなた色に染めて 染めて 染めぬいて
初心(うぶ)よ一途よ いのちがけ おんなの浮世絵
12.札幌・東京
野中彩央里・仁志陽介
作詞:富田洋行
作曲:高野かつみ
(女)初めて出逢った 南四条西三丁目
(女)男らしさに 一目で惚れました
(男)俺もおまえが 誰より好きと
(男)抱いたあの夜が 忘れられなくて
(女)ねえ ねえ ねえ それならなんで
(女)なんで一人にさせるのよ
(男)それが哀しい
(男女)札幌・東京
(男女)ああ 二人の 二人の 運命です
(女)揃いの浴衣で
(女)染めた湯舟の夢定山渓
(女)煙る出湯が 私を燃やしたの
(男)雪がちらちら 降る夜だった
(男)今もこの瞼に 浮かぶ面影よ
(女)ねえ ねえ ねえ それならなんで
(女)なんで一人にさせるのよ
(男)それが哀しい
(男女)札幌・東京
(男女)ああ 二人の 二人の 運命です
(女)見送る空港 心切なく影消えるまで
(女)今度逢う日を 思えば泣けてくる
(男)無理を言うなよ 知ってるくせに
(男)俺の女は おまえ一人だよ
(女)ねえ ねえ ねえ それならなんで
(女)なんで一人にさせるのよ
(男)それが哀しい
(男女)札幌・東京
(男女)ああ 二人の 二人の 運命です
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