16.歌謡組曲 おんな神輿歌
作詞:建石一
作曲:徳久広司
「さあさあさあ 道をあけておくれ おんな神輿のお通りだよ。
このおまつりのために一年三百六十五日 女をつとめているんだよ。
花のお江戸 火消しの親分 め組の辰五郎さんじゃないけれど、
いまのご時世、女は度胸 男は愛嬌…
今年のまつりに 花そえるため
お役にたてばとやってまいりましたおんな衆。
おっと出しゃ張り女じゃございません。」
?遠い神代の昔から 女ならでは夜も明けぬ(デモネ)
粋な男にゃ 粋な男にゃ 乙にすました女でも(アチョイト)
一目惚れ
「前口上はこれくらいにして、さあ皆さまのかけ声お手拍子いただいて
おんな神輿の出番とまいりましょう。」
まつり太鼓に 浮かれ山車(だし)
母のお胎内(なか)を ポンと出た
氏神様の 産湯を使い
巻いたさらしは 伊達じゃない
おんな神輿は エ〜 心意気
サーエ
格子作りに 御神灯下げて
兄きゃ宅(うち)かと 姉御に問えば
兄きゃ二階で 木遣りの稽古
音頭とるのは ありゃ内の人
エンヤラヤ サノ ヨーイサ
エンヤラヤ エンヤラヤレコノセ
サノセー アレワサ エンヤラヤ
(女)「じれったいねぇ…もう…あんたも男のはしくれだろう。
あたしに惚れてるなら惚れてると言っちまいなよ。」
(男)「馬鹿言え!そんなことたやすく言えるもんじゃない。
惚れてるってことはなぁ…こうなんか胸の中が熱くなって…
言葉じゃ言えないもんなんだ。」
(女)「それでそれでどうなるの。」
(男)「ほら、見てみろ お月さんをよ。
月にむら雲 花に風って言うだろう 半分見えない所が未曽なのさ。
俺なんて大した男じゃないけど、
古い男だからうまく言葉に出来ないのさ…自分の気持ちがさ
おまえわかんないのか。」
(女)「わかってるよ、あんたの良さはあたしが一番知ってるよ。
だけど だけどね心配なんだよ、あんたもてるだろう。
それに まだ夫婦(めおと)じゃないから。」
(男)「まつりの好きな女が俺は好きなんだ。
五穀豊穣や大漁の祈りと感謝をこめる それがまつりだ。
俺とおまえの夫婦(めおと)まつりは後回し。
まずは他人様の縁結びだ。
…じゃ 今夜は帰るぜ」
(女)「やっぱりあんたはいい男だねぇ。
理屈じゃないんだよ。
惚れるってことはさ…恋はあたしの負けさ。」
お声かかれば 参じます
めでためでたの 花の宴
人生まつり よいしょとかつぎ
旅がはじまる 夫婦(めおと)みち
おんな神輿の エ〜 祝い歌
「あんたと夫婦(めおと)になれたなら
あたしは ともに白髪の生えるまで
幸せいっぱい生きていきたいのさ。
親と子、人と人、男と女、心に流れる情感こそが大事だと、
子供の頃から父母に言われておりました。
私もやっとこの年になって情愛というものがわかりはじめました。
時代は百年に一度の寒い風が吹いておりますが、寒い時代だからこそ
人情のあたたかさが身にしみてわかるのでしょう…
明るく元気に皆で励ましささえ合って
共に生命(いのち)いっぱい生きてまいりましょう。
疲れたら叫びましょう大声で”笑顔万歳”とね。」
寒い時代で あればこそ
熱い人情(なさけ)が 宝もの
大地をふんで 荒海こえて
生きる男を ささえたい
おんな神輿は エ〜 春を呼ぶ
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