暫存

島津悦子 暫存歌詞
1.あの雲の下

作詞:八島義郎
作曲:吉田矢健治

辛く尾を引く別れの汽笛
押さえる程にはらはらと
掌濡らす切ない涙
私の心捧げ尽した
あなたが遠くかすみ行く
胸に無情の潮風が

二人っきりの小部屋の中で
語り明かした思い出を
印して行くよ心の底へ
あなたのいないこれからの日を
幻だけを追って行く
恋しい名をば呼び乍ら

かすかに残る航跡追いて
眺める行手淡路島
あの雲さえもあなたの姿
飛んで行き度い鴎の様に
又逢う日迄唯一人
冷たい風に染む涙


2.夫婦夢あかり

作詞:坂口照幸
作曲:大谷明裕

酒はこの頃 もっぱら家で
やっぱり女房が 一番ですと
男のつきあい 袖にして
これにはきっと 裏がある
わかってますとも その手の内は
夫婦宿借(めおとやどか)り 泣き笑い

いつも口癖 「いいってことよ」
風呂敷広げて 酒飲むあんた
大きく出ちゃって 知らないわ
憎まれ口を 二つ三つ
亭主としたなら 困った男
所帯もっても 火の車

玉の輿より 手鍋が似合う
人情芝居を 地でゆく二人
あんたと十年 縁つづき
一足先に 内祝い
ついてゆきます これから先も
夫婦宿借(めおとやどか)り 夢あかり


3.時雨海峡(しぐれかいきょう)

作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介

海のとばりに とじこめられて
月も岬も 闇の中
あなたを乗せた 捲網船(まきあみせん)の
灯りが一つ 波間に一つ
点(つ)いては消えて また点(つ)いて
恋を占う ああ 時雨海峡

翼ぬらした 風見の鳥が
くらい海みて 啼(な)いている
しぐれはほんの 一時なのに
止むまで待てぬ 女のこころ
わかっているよ わかるわと
胸にとげ刺す ああ 時雨海峡

男心と 山背(やませ)の風は
マリアさまにも 止められぬ
チャペルの鐘が あと追いかける
あなたの船は しぶきを浴びて
左へ右へ ゆれながら
西へ流れる ああ 時雨海峡


4.紀伊水道

作詞:木下龍太郎
作曲:花笠薫

結城つむぎの 袖振るたびに
匂い袋の 鈴が泣く
船を 船を見送る 紀伊水道
こんなか細い 未練の糸が
なんで切れない おんな指

馴れぬ手付きで 解(ほど)いて呉れた
酔った昨夜(ゆうべ)の 名古屋帯
宿の 宿の窓には 紀伊水道
後を引くから 許さぬはずが
肌は心に すぐ背(そむ)く

背伸びするたび 爪先痛い
辛さ分かるか 鼻緒まで
船が 船が消えてく 紀伊水道
みさき灯台 点(とも)しておくれ
女ごころに 夢あかり


5.眠れぬ移り香

作詞:八島義郎
作曲:伊藤雪彦

折りにふれ
はっとするのよ 肌の香よ
あなた… あなたの 移り香よ
あの宿で 飛石伝い浴衣がけ
あゝ 又 匂うわよ

あの煙
恋の温泉と聞いたけど
ほんと… ほんとよ あの日から
胸さわぎ 肌の香りで悩むのよ
あゝ 又 匂うわよ

靴の音
聞けばもしやと 耳すます
思いがけない 時々に
ふっと匂うの あの香りあなたなの
あゝ 又 匂うわよ


6.寄り道酒場

作詞:木下龍太郎
作曲:立木達也

酔って羽目でも 外さなければ
重いばかりよ 肩の荷は
そうよ…ここは人生 寄り道酒場
聴いてあげるわ 愚痴ばなし
お酒は お酒は 心の洗い水

恋の傷なら 一つや二つ
持っているのよ 誰だって
そうよ…ここは止まり木 寄り道酒場
覚えあるわよ 私にも
お酒は お酒は 未練の忘れ水

他人は他人だと あせらず行けば
いまに変わるわ 風向きも
そうよ…ここは人生 寄り道酒場
夢を捨てずに いたならば
お酒は お酒は 明日の命水


7.宵化粧

作詞:深山未遊
作曲:松原正明

宇治の流れに 迷いを託し
浮橋渡る 影ふたつ
少しだけ 少しだけ
運命の糸を たぐります
十六夜の 束ねた髪に
ああ 宵化粧

夢の名残りを 振り切るように
あなたの足音 遠ざかる
乱れても 乱れても
祗園の夜は みじかくて
萩時雨 ひと彩濡らし
ああ 宵化粧

三味線の途切れに 耳澄ましては
障子に面影 追いかける
好きだから 好きだから
ひとりの夜は 淋しくて
風音に 暮れ行く秋の
ああ 宵化粧


8.焼酎天国

作詞:吉岡治
作曲:弦哲也

一つおじゃったもんせ 鹿児島へ
ふとか男は 西郷隆盛
三つ見上げる 桜島
四の五のいわずに まず一献
芋 麦 黒糖 米麹
酔えば気分は 錦江湾
鯨泳がせ 大皿で
いただきもっそう 焼酎天国

いっぺこっぺ ちりりんりん
わっかおなごが ちりりんりん
おはん恋しと 手まねをしとる Wow Wow Wow
いっぺこっぺ ちりりんりん
いっぺこっぺ ちりりんりん
ベイビー 罪つくり ベイビー 罰あたり

六つ無理して得を 取るよりも
七つ転んで 八つで笑えば
苦労九の字の 憂き世でも
とうとう花咲く 春がきた
キビナゴ トンコツ さつま揚げ
酒のさかなにゃ 困らない
鯨泳がせ 大甕で
いただきもっそう 焼酎天国

いっぺこっぺ ちりりんりん
わっかおなごが ちりりんりん
せつね涙を ホレ流しとる Wow Wow Wow
いっぺこっぺ ちりりんりん
いっぺこっぺ ちりりんりん
ベイビー 人違い ベイビー 勘違い

いっぺこっぺ ちりりんりん
わっかおなごが ちりりんりん
おはん恋しと 手まねをしとる Wow Wow Wow
いっぺこっぺ ちりりんりん
いっぺこっぺ ちりりんりん
ベイビー 酔っぱらい ベイビー はしご酒

(ソレソレソレソレ) いただきもっそう
(焼酎天国) いただきもっそう
(焼酎天国) おやっとさー


9.瀬戸内から…

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司

あなたを追いかけて 縋(すが)ったら
きっとふたりは 傷つくわ
女がひとり 身をひいて
倉敷(くらしき)・掘割(ほりわり) 石畳
日暮れの水面(みずも)に 面影ゆれて
恋しさばかりが こころに募(つの)ります

小雨の尾道(おのみち)は 坂の町
フェリー行(ゆ)き交(か)う 港まち
苦しいだけの 恋だけど
倖せぬくもり 感じてた
あの日の指輪を 波間に捨てて
おんなの迷いを 今日こそ断ちたいの

あなたに愛された あの頃に
戻れないのね もう二度と
錦帯橋(きんたいきょう)の 鵜飼舟(うかいぶね)
残り火みたいな 篝火(かがりび)よ
ひと晩眠って 夜明けが来れば
上りの列車で 明日(あした)へ旅立つの


10.可愛い女

作詞:城岡れい
作曲:弦哲也

恋の初めは 誰だって
可愛い女に なりたいの
だけど月日が 経つうちに
可愛いばかりで いられない
誰のせいなの 誰のせい
いいえ 止(や)めましょ責めるのは
貴方(あなた)が今でも 好きだから

恋を重ねて 行くほどに
可愛い女に なるつもり
だけど男の 裏切りに
女は疲れて やせ細る
誰のせいなの 誰のせい
いいえ 止めましょこれ以上
貴方に傷など 残すのは

恋の終わりは いつだって
可愛い女の 振りをする
だって男も 生きるため
涙のお酒を 飲んでいる
誰のせいなの 誰のせい
いいえ 仕合(しあわ)せ過ぎただけ
私も笑顔で 明日(あす)を見る


11.逢瀬の花

作詞:坂口照幸
作曲:弦哲也

「男は引きずる 昔のことを…」
「女は忘れる 昔のことと…」
それが世間の たとえでも
今宵一夜(ひとよ)の 逢瀬の花は
燃えて一輪 紅ひと色に
日ごと身体(からだ)に 咲き誇ります

この手も真白く なるほど抱いた
強気なあなたの あの日の涙
心あなたと 通わせた
花の歳月(としつき) 私のものと
派手に泣かせて 一生分を
ひとり上手に 送ったあとは

霧降るあとから 樹雨(きさめ)に変わる
木(こ)の葉の音まで 女の吐息
その身案じて いるのです
むしろこれから 別れてからよ
つづきますとも ふたりの縁(えにし)
この世ばかりか 次の世までも


12.彩花(あやばな)

作詞:城岡れい
作曲:弦哲也

女には…心底惚(ほ)れてる人のため
死ぬまで枯れない 花がある
優しさ一つに 引かされて
笑顔磨(みが)いて ついて来た
泣いて 忍んで 変わらぬ心
貴方(あなた)と彩花 咲かせたい

淋(さみ)しくて…涙の躯(からだ)をもて余し
貴方を恨んだ 時もある
何度も想(おも)いが すれ違い
やっと貴方が 見えてきた
濡れて 色増す 愛(いと)しい心
命の彩花 抱きしめて

女なら…一途に愛する人のため
支えてみせたい 夢がある
苦労をかけると 言わないで
明日(あす)は貴方に 春が来る
耐えて 見つけた 根強い心
二人の彩花 いつまでも


13.鴎(かもめ)のブルース

作詞:城岡れい
作曲:弦哲也

添い寝する間に 逃げてゆく
男ごころと あの霧笛(むてき)
釧路(くしろ) 函館(はこだて) あなたを探し
独り唄うは 独り唄うは 鴎のブルース

一夜(ひとよ)限りと 決めたのに
女ごころに 返り波
酒田(さかた) 小名浜(おなはま) あなたの噂
聞けば恋しい 聞けば恋しい 鴎のブルース

羽根にこぼした 泪(なみだ)より
男ごころは 潮辛い
清水(しみず) 師崎(もろざき) あなたを想い
漏らすため息 漏らすため息 鴎のブルース

手紙ひとつを 信じつつ
女ごころは 夢を漕ぐ
輪島(わじま) 金沢(かなざわ) あなたの匂い
忘れられない 忘れられない 鴎のブルース

島の数だけ 恋を待つ
男ごころの 頼りなさ
神戸(こうべ) 高松(たかまつ) あなたの影と
西へ流れる 西へ流れる 鴎のブルース

恋に引かれて 出た船と
女ごころが 着く波止場
唐津(からつ) 鹿児島(かごしま) あなたに逢えず
未練たたんで 未練たたんで 鴎のブルース


14.鹿児島の恋

作詞:吉岡治
作曲:石田光輝

子どもの頃から 心に決めた
未来はあなたの お嫁さん
恋する気持ちが 伝わりきれず
薩摩おごじょは 薩摩おごじょは
胸に火を抱く 桜島
焦らにゃよかが そのうちなびく
ふとか恋です 鹿児島(かごんま)の恋

鹿児島(かごしま)名産 云わずと知れた
黒豚・黒牛・芋焼酎
おなごに乱れる 人ではないが
薩摩隼人は 薩摩隼人は
つよさ競って 焼酎(さけ)を呑む
どうでもよかが 天文館の
せつね恋です 鹿児島の恋

花は霧島 煙草は国分
燃えて上がるは オハラハー 桜島
ヨイヨイヨイヤサー

霧島それとも 指宿あたり
温泉めぐりを するふたり
明るく目覚めりゃ やっぱり夢で
薩摩おごじょは 薩摩おごじょは
鹿児島(かごんま)つつじの 花に泣く
焦らにゃよかが そのうち実る
ふとか恋です 鹿児島の恋


15.よりそい酒

作詞:城岡れい
作曲:弦哲也

愚痴さえ言わずに 凍(こご)えた夢を
抱えるあなたの 側(そば)にいて
浮世氷雨(うきよひさめ)が 切ない夜は
優しい追い風 さらりと送る
なんとかなるネ なんとかなるサ 大丈夫
よりそい酒で また明日(あす)も

綺麗(きれい)に見えてる 白鳥だって
見えない所で 水を掻(か)く
そうよ女も 言えない辛さ
袂(たもと)にかくして からりと生きる
なんとかなるネ なんとかなるサ 大丈夫
よりそい酒で また一歩

ひとりで転べば 泣きたくなるが
ふたりで転べば 笑えるわ
低い目線で 眺めてみれば
新たな自分が きらりと見える
なんとかなるネ なんとかなるサ 大丈夫
よりそい酒で また夢を


16.男と女の別れ道

島津悦子&夏木ゆたか
作詞:麻こよみ
作曲:市川昭介

(女)あなたの煙草に 両手を添えて
(女)風をよければ あふれる涙
(男)泣くのはおよしと か細い肩を
(男)抱けばなおさら つらくなる…
(女)どんなにどんなに 愛していても
(男)月日が別れを 連れて来る
(女)二人の最後の
(男)思い出に
(男女)せめてそこまで 歩く別れ道

(女)も少し上手に 甘えていたら
(女)今も幸せ 続いたかしら
(男)おまえの淋しさ 気づきもぜずに
(男)わがままばかりを 通したよ…
(女)あんなにあんなに 愛していても
(男)いつしか心は 色褪せる
(女)悔やんでみても
(男)遅すぎる
(男女)胸にせつなさ 揺れる別れ道

(女)どんなにどんなに 愛していても
(男)月日が別れを 連れて来る
(女)二人の最後の
(男)思い出に
(男女)せめてそこまで 歩く別れ道