1.海鳴りの詩
作詞:星野哲郎
作曲:船村徹
五体に刻んだ 赤銅色(しゃくどういろ)の
シワが男の 五線紙だ
明るい娘に 育てたことが
冥土の母ちゃんへ でかい土産だと
笑う親父(とうちゃん)の 髭から背中から
海鳴りの詩が 聞こえてくる
ヤンサエー ヤンサエー
酒断(さけだ)ちしてまで 口説いた女
死んだあとまで 恋女房
世間の女が カボチャに見えて
ヤモメを通したね 男盛りをよ
いばる親父(とうちゃん)の 胸から腕(かいな)から
海鳴りの詩が 聞こえてくる
ヤンサエー ヤンサエー
母親知らずに 嫁いだ娘
無事に女房を してるやら
初孫祝って 酒のむまでは
倒れちゃなるまいと 波に揺れながら
力む親父(とうちゃん)の 舟から帆綱から
海鳴りの詩が 聞こえてくる
ヤンサエー ヤンサエー ヤンサエー
2.桃色鴉
作詞:星野哲郎
作曲:村沢良介
二度や三度の 桃色話
あってよさそな 年頃を
男嫌いで 通したけれど
惚れました 惚れました
流れ流れて やっと見つけた
ああ… あんたが命
色も盛りの 桃色桜
安く散るのは まっぴらと
粋に構えて 生きてたけれど
落ちました 落ちました
好きと言わずに 好きと言わせる
ああ… あんたの胸に
旅が塒の 桃色鴉
夢を持たなきゃ 渡れない
殺し文句も 呉れないけれど
惚れました 惚れました
女心の 底の底まで
ああ… あんたが命
3.母ごころ宅配便
作詞:星野哲郎
作曲:聖川湧
風邪をひくなと 送ってくれた
綿入れ羽織が 泣かせるね
心づくしの 宅配便に
一枝(ひとえだ) 添えた 紅梅(こうばい)の
花は 花は 花は
わが子に賭ける 母の夢
蝶よ花よと 育ててくれた
苦労は涙の つづら折り
男女(おとこおんな)と 指さされても
化粧も せずに 働いた
愛を 愛を 愛を
夕陽に偲ぶ 母の恩
生まれ故郷を 忘れるなよと
ちりめん鰯(いわし)も 入れてある
磯の香りの 宅配便は
街より 一歩(ひとあし) 先にくる
春を 春を 春を
わが子に送る 母ごころ
4.愛染かつらをもう一度
作詞:星野哲郎
作曲:新井利昌
花と嵐の 青春を
涙と共に 生きるとき
父さんあなたの 主題歌だった
古い艶歌が わかります
いつかいっしょに 唄いましょうね
愛染かつらを もう一度
灯りさざめく 東京の
日暮れは夢の 吹き溜まり
父さん私は あなたの娘
負けはしないと 唇を
噛めば心に 聞こえてきます
愛染かつらの あの歌が
真実(まこと)つくした男道
破れたけれど 悔いはない
俺にはかわいい おまえがいると
酔えば口癖 お父さん
どうぞ元気で 唄ってほしい
愛染かつらを いつまでも
5.度胸船
作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介
人を押しのけ 出世のできる
柄じゃないぜと あきらめて
北へきたんだ 千島の海に
眠る親父を ゆりおこし
唄う男の 度胸船
親父来たぞと 吹雪を呼べば
風がほめるぜ よくきたと
写真だけしか 知らないけれど
海を見せれば 勇み立つ
熱い血をひく 度胸船
ころぶ兄貴を 弟がかばう
沖は地獄だ 戦場だ
ホッケ大漁の 祈りをこめて
網に御神酒を ふりかけて
雪に放浪う 度胸船
6.あすなろごころ
作詞:吉田旺
作曲:岡千秋
あすなろ あすなろ 桧になろう
俺は持ちたい あすなろごころ
昨日の涙と くやしさバネに
越えてゆこうよ 九十九折坂(つづらざか)
今日がだめでも 今日がだめでも ヨー
オットどっこい! 明日があるさ
あすなろ あすなろ くちびる噛んで
行くぞ前向き あすなろごころ
雪よりつめたい 憂き世の風が
前途(ゆくて)じゃまして 吹こうとも
にげてどうする にげてどうする ヨー
オットどっこい! 男じゃないか
あすなろ あすなろ 燦(きら)めく星に
希望(のぞみ)ひとすじ あすなろごころ
男の宝は 負けん気根気
耐えて貫きゃ いつの日か
きっとお前の きっとお前の ヨー
オットどっこい! 時代は来るさ
7.出世坂
作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介
千里を走る 虎よりも
一里を登る 牛になれ
やると決めたら 男じゃないか
曲げるな道を ひとすじの
闘志が結ぶ 出世坂
こぼれた人に 手を貸して
一緒にこける 時もある
いいさ待とうよ またくる春を
死ぬまで続く 人生の
灯りは人の 愛だから
紬は雪で 艶を出す
流れて石は 丸くなる
苦労くの字に からだを曲げて
涙と登る この坂が
明日へ続く 出世坂
8.袴をはいた渡り鳥
作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介
西へ傾く 昨日は追うな
東に出てくる 明日を待て
そんなせりふで 決めては 決めてはいても
胸の真ン中 のぞいてみれば
みれん模様の 涙が泳ぐ
あンあ… 袴をはいた渡り鳥
どうせ誰かが 傷つくならば
代ってやろうか その役を
粋なつもりで かぶった かぶった笠を
笑うからすに 怨みはないが
好きで別れた あの娘が恋し
あンあ… 袴をはいた渡り鳥
人の弱身に つけこむ奴を
ゆるしておけない 性格(たち)なのさ
こんな血すじを さずけた さずけた親の
恩義ひとつを 心に抱いて
浮世七坂 倒れて起きる
あンあ… 袴をはいた渡り鳥
9.男のあけぼの
10.にくまれっ子のなにわ節
11.毎度みなさまおなじみの
作詞:松井由利夫
作曲:岡千秋
毎度みなさま おなじみの
意地と涙の 男節
義理もすたれた 人情もかれた
今のご時世 とてもじゃないが
俺の出番じゃ ないけれど
よろしゅう おたのみ申します
毎度みなさま おなじみの
好いた惚れたの 迷い節
先の出方じゃ 鬼にもなるが
なぜか逃げ腰 あの娘にだけは
みての通りの 野暮なやつ
よろしゅう おたのみ申します
毎度みなさま おなじみの
酒のつまみは 演歌節
はぐれ雲だと 笑われようと
自分だけには まっ正直に
生きてゆきたい この世間
よろしゅう おたのみ申します
12.幸せ出番の春がくる
13.隅田川慕情
14.ふたりの人生行路
15.憂き世春秋
作詞:新本創子
作曲:三島大輔
風が頬うつ 雨が泣く
あなたの背中に 隠れて越える
憂き世春秋 ふたり坂
いのち連れ添う しあわせに
賭けて悔いない 女です
いつかあなたの 胸に咲く
雪割り草だと 云われてみたい
憂き世春秋 ふたり坂
こころ寄せあい 寒い夜は
ともに飲みたい このお酒
苦労ひとつに 夢がある
笑顔をあなたと たやさずいたい
憂き世春秋 ふたり坂
花の咲く日へ 七曲がり
明日を信じて 生きてゆく
16.女ヤン衆流れ唄
作詞:星野哲郎
作曲:三浦伸一
白い流氷 船首(みよし)で分けりゃ
帰れ帰れと 海が泣く
根室生まれで オホーツク育ち
花も蕾の 優(や)さ肌を
ゴムのかっぱに 押し込んで
女ヤン衆 アンアアン… 流れ唄
雪を被(かぶ)った ラウスの山が
波の谷間に 見え隠れ
海が暴れりゃ 苦労もするが
時化(しけ)は大漁の 知らせだと
怒鳴るしぶきに 乗せられて
女ヤン衆 アンアアン… 気が勇む
好きなお方(ひと)は いないじゃないが
親をすてては 嫁げない
明日は北見の 流氷祭り
遠く聞こえる 笛の音に
恋のみれんを 断ち切って
女ヤン衆 アンアアン… 流れ唄
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