チダ電アダムス

チダタカシ チダ電アダムス歌詞
1.風町電車

作詞:小幡英之
作曲:小幡英之・チダタカシ

夢の中 君が言った 「春だね…」って 僕は目覚めて
何となく そわそわする

椅子も ニュースも 牛乳も 早過ぎた朝に ちょっと 孤独
漂わせ 音を立てる

君のいない 不自然な時間と 昨夜(ゆうべ)買った コンビニのパン
ぼーっと開けた 口に放り込むだけの
味気ない朝食

風の電車に乗り 金の夜明けのなか 君を迎えに行こう いますぐに

アパートの ドアの向こう 朝焼けが 僕を急(せ)かした
海沿いの 君の町へ

誰もいない 駅を始発電車 西へ向けて 滑り出した
空になった ギターケースにもう一度
溢れ出す旋律(メロディー)

風の駅を過ぎて 銀の海を越えて 君の眠る町まで 笑顔まで

風の電車に乗り 金の夜明けのなか 君を迎えに行こう いますぐに

風の駅を過ぎて 銀の海を越えて 君の眠る町まで 笑顔まで


2.水無月の声

作詞:小幡英之・今井智
作曲:チダタカシ

地底湖を回遊する 僕らは魚のように
目を閉じることなど 知らないまま一日中
群青色の 夢を見ていた

大きな手で地上へと むりやり放り出され
密度の濃い風に 鱗を剥がれた僕らは
泳ぐことさえ 忘れてゆく

夜空から 降りて来る 小さな声を 確かに聞いたんだ今
汚れた 鼓膜を 破った 懐かしい鼓動

そして降り続く 降り続く 降り続く 水無月の優しい雨は
羊水 みたいに 僕らを 再び包んだ

密かな夜更けを 泳いでみようよ 光を知らない 少年になって

水の無い空の下 僕らは弱さに溺れる
自由だった手足を 忘れてしまわぬように
身体中で 雨を受けた

大地へと 沁みてゆく 小さな声に 僕らは耳を澄まして
歓びを 産み出す 陣痛に 黙々と耐える

だから降り続け 降り続け 降り続け 水無月の母なる雨よ
脊髄を 伝って 心へ すぐに注ぎ込め

溢れてしまった 温もりを少し 土へ帰そう 涙にして

降り続く 降り続く 降り続く 水無月の優しい雨は
羊水 みたいに 僕らを 再び包む

だから降り続け 降り続け 降り続け 水無月の母なる雨よ
脊髄を 伝って 心へ すぐに注ぎ込め

密かな夜更けを 泳いでみようよ 光を知らない 少年になって


3.京祭り

作詞:小幡英之・チダタカシ
作曲:チダタカシ

迷ひ込んだ 花小路(こうじ)に
炎(も)ゆる山の端(は) 碧(あお)く
浴衣(ゆかた)の君は 石畳(いしだたみ)に
立ちのぼりゆく 陽炎(かげろう)

人と夢が逢ひ 儚(はかな)き泡となる ソーダ水の戀(こひ)
君は簾(すだれ)越し 咲く夕顔を 一つ切り 髪に飾る

嗚呼 夢はまた夢 藍(あひ)色に染め
夢はまさ夢へ 咲き乱れる 高嶺(たかね)の花
まるで逃げ水 追へば消へゆく
宿命(さだめ)と知りつ 心止まらない
走馬燈(そうまとう)の切なさ

裸電球と 十六夜月(いざよひづき)が
眩(まぶ)しさ競ふ 夜店(よみせ)
その指から 零(こぼ)れた金魚
水飛沫(みずしぶき)あげ 舞ひ踊る

今宵(こよひ)月影で 人知れず瞬(またた)いた
蛍火(ほたるび)の戀(こひ)
君の強き意志と 愁(うれ)ひを帯(お)びた
瞳がそっと 閉じた刹那(せつな)

嗚呼 夢はまた夢 戀(こひ)の結び目
夢はまさ夢へ 渡る浮世の 綴(つづ)れの帯(おび)
賀茂のせせらぎ 水面は揺らぎ
君は汗ばみ そのうなじへ触れた 指先を幻想に変へる

古都の片隅 何にも言はず
君が見つめる 線香花火は 宇宙の花になった
夢はまた夢 夏の通り雨
夢はまさ夢へ 心濡れて濡れて 思はず君を抱きしめてた


4.キズナノキ

作詞:小幡英之・チダタカシ
作曲:チダタカシ

僕らは出会った 出会うために
渇ききった心の 大地で

僕は土を掘り 君は種を蒔き
そして天を仰ぐ なんてちっぽけな 存在だ

肌寒い風 が僕らの
息吹いた 芽を枯らして 泣かせるけど
涙は また次の種の 役に立つはずさ
肩を寄せて 待とうよ キズナの 木になるまで

僕が鳥になり 彷徨っても
すぐに見つけられる その木だけは

他の木と較べ 形はどうとか
何色をしているか なんてちっぽけな 問題だ

光と影 気まぐれに
梢の 先の日々を 弄(もてあそ)ぶけど
高く 高く幹は伸びて 明日を見つけるから
迷わないで 待とうよ キズナの 花咲くまで

吹きつける時代(とき)は 止まらない
だけど この木はふたりが
流されないように 立ってるんだ

新しい風 が僕らを
過酷な 未来へと 連れ去っても
この木はまた その大地を
落ち葉で 優しく染めるさ 黄金(こがね)に
深く 深く根を広げて 愛を包んだから
肩を寄せて 待とうよ キズナの 実がなるまで


5.アオの矛盾

作詞:小幡英之・チダタカシ
作曲:チダタカシ

その時 カーテンが揺れて 花瓶を倒した
こぼれた水が 映した 歪む世界を

蒼く 沈黙の空 何も教えてくれなくていい
矛盾や 嘘と並んで ただそばにあるだけで
ちっぽけな生命 捧げたくなる

その時 雲の上で 崩れそうな闇に
僕らは 気付かず 笑ってたんだ

碧く 静寂の空 泣き出したくなる高揚感
自分が 何者なのか 何をするべきなのか
そんなことは どうだっていい

蒼く 沈黙の空 何も教えてくれなくていい
矛盾や 嘘と並んで ただそばにあるだけでいい
そこには キレイな何かが 見えるかどうか
試されてる たぶんそうだろう


6.虹のオモイデ

作詞:小幡英之・チダタカシ
作曲:チダタカシ

胸の奥から 引っぱり出した
虹のオモイデが 夜明けの空色を複雑にして困る

前触れもなく 現れた君と
なすすべもなく いざ混沌(カオス)の中へ

貼り付けた虹 びゅうと 風が飛ばした
たとえそれが君に 関係なくても 大事なモノ


都合のいいように いじくりすぎて
虹のオモイデが てのひらで汚れてく

もう一度君と キヲクを作んなきゃ
あの頃のままの空は どこにもいないなら

唾つけた指 びゅうと ページ飛ばした
物語は続く 君の決めた その場所から


もう一度ひとり キヲクを作んなきゃ
明日また早く起きて 真っさらな空見て

突きつけた虹 びゅうと 越えてくれたら
たとえそれが哀しい 結末でも 構いやしないさ

唾つけた指 びゅうと ページ飛ばした
物語は続く 君の決めた その場所から