十年 ~70年代の歌たち~

クミコ 十年 ~70年代の歌たち~歌詞
1.十年(新曲)

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

凍えた並木の下 あなたに初めて会った
あなたをあきれさせる生意気な口をきいた

嵐に折られかけた あなたの日々を見てた
私はいたわりもせず薄情に離れていた

わざとよ 心の中で波が騒いでたから
わざとよ あなたの傍にいるべき人を知ってたから

十年は長い月日か 十年は短い日々か
恋する者には 無きにひとしい
想いだけが ただ咲いていた

並木は枝を伸ばし 緑のトンネルになった
二人でいると聞いてたあなたに再び出会った

本当よ 二人のこと遠くで安心してたのに
ずいぶん前からまさか あなたが孤独だったなんて

十年は長い月日か 十年は短い日々か
恋する者には 無きにひとしい
想いだけが ただ咲いていた

枯葉の並木の下 あなたを祝っている
すさんだ日々を支えた新しい彼女を褒めている

本当ね 十年なんてほんのひとつ 恋ひとつぶんね
ふざけてあなたが肩を抱いてくれたから もういいよ

十年は長い月日か 十年は短い日々か
恋する者には 無きにひとしい
想いだけが ただ咲いていた
十年は長い月日か 十年は短い日々か
恋する者には 無きにひとしい
想いだけが ただ咲いていた
想いだけが ただ咲いていた


2.闇夜の国から

作詞:井上陽水
作曲:井上陽水

闇夜の国から 二人で舟を出すんだ
海図も磁石も コンパスもない旅へと

うしろで舵をとるお前は あくびの顔で
夜の深さと夜明けの近さを 知らせる
歌おうよ 声合わせ 舟こぐ音にも合わせて
闇夜の国から二人 二人で舟を出してゆく

舟出の理由を 確かめ合うこともなく
未来と将来の 区別もつかないまま

言葉の軽さを 二人で笑い続けて
俺の腕まくら お前は眠れそうかい?
流れ星 願い事 消えないうちに早く
闇夜の国から二人 二人で舟を出してゆく

波まかせ 風まかせ 星くずの空に揺られ
一人の国から今夜
闇夜の国から二人 二人で舟を出してゆく


3.時の過ぎゆくままに

作詞:阿久悠
作曲:大野克夫

あなたは すっかり つかれてしまい
生きてることさえ いやだと泣いた
こわれたピアノで 想い出の歌
片手でひいては ためいきついた

時の過ぎゆくままに この身をまかせ
男と女が ただよいながら
堕ちてゆくのも しあわせだよと
二人つめたい からだ合わせる

からだの傷なら なおせるけれど
心のいたでは いやせはしない
小指に食い込む 指輪を見つめ
あなたは 昔を 思って 泣いた

時の過ぎゆくままに この身をまかせ
男と女が ただよいながら
もしも 二人が 愛せるならば
窓の景色も 変わっていくだろう

時の過ぎゆくままに この身をまかせ
男と女が ただよいながら
もしも 二人が 愛せるならば
窓の景色も 変わっていくだろう


4.北の宿から

作詞:阿久悠
作曲:小林亜星

あなた変わりはないですか
日毎寒さがつのります
着てはもらえぬセーターを
寒さこらえて編んでます
女心の未練でしょう
あなた恋しい北の宿

吹雪まじりに汽車の音
すすり泣くよにきこえます
お酒ならべてただひとり
涙唄など歌います
女心の未練でしょう
あなた恋しい北の宿

あなた死んでもいいですか
胸がしんしん泣いてます
窓にうつして寝化粧を
しても心は晴れません
女心の未練でしょう
あなた恋しい北の宿


5.喝采

作詞:吉田旺
作曲:中村泰士

いつものように幕が開き
恋の歌うたう私に
届いた報らせは 黒いふちどりがありました
あれは三年前 止めるアナタ駅に残し
動き始めた汽車に ひとり飛び乗った
ひなびた町の昼下がり
教会のまえにたたずみ
喪服のわたしは 祈る言葉さえ失くしてた

つたがからまる白い壁
細いかげ長く落として
ひとりのわたしは こぼす涙さえ忘れてた
暗い待合室 話すひともないわたしの
耳に私のうたが 通りすぎてゆく
いつものように幕が開く
降りそそぐライトのその中
それでも私は 今日も恋の歌 うたってる


6.神田川

作詞:喜多條忠
作曲:南こうせつ

貴方は もう忘れたかしら
赤い手拭い マフラーにして
二人で行った 横丁の風呂屋
一緒に出ようねって 言ったのに
いつも私が 待たされた
洗い髪が芯まで 冷えて
小さな石鹸 カタカタ鳴った
貴方は私の 身体を抱いて
冷たいねって 言ったのよ
若かったあの頃 何も怖くなかった
ただ 貴方のやさしさが 怖かった

貴方は もう捨てたのかしら
二十四色の クレパス買って
貴方がかいた 私の似顔絵
巧(うま)くかいてねって 言ったのに
いつもちっとも 似てないの
窓の下には 神田川
三畳一間の 小さな下宿
貴方は私の 指先見つめ
悲しいかいって きいたのよ
若かったあの頃 何も怖くなかった
ただ 貴方のやさしさが 怖かった


7.「いちご白書」をもう一度

作詞:荒井由実
作曲:荒井由実

いつか君と行った 映画がまた来る
授業を抜け出して 二人で出かけた

哀しい場面では 涙ぐんでた
素直な横顔が 今も恋しい

雨に破れかけた 街角のポスターに
過ぎ去った昔が 鮮やかによみがえる

君もみるだろうか 「いちご白書」を
二人だけのメモリィー どこかでもう一度

僕は無精ヒゲと 髪をのばして
学生集会へも 時々出かけた

就職が決まって 髪を切ってきた時
もう若くないさと 君に云い訳けしたね

君も見るだろうか 「いちご白書」を
二人だけのメモリィー どこかでもう一度

二人だけのメモリィー どこかでもう一度


8.ざんげの値打ちもない

作詞:阿久悠
作曲:村井邦彦

あれは二月の寒い夜
やっと十四になった頃
窓にちらちら雪が降り
部屋はひえびえ暗かった
愛と云うのじゃないけれど
私は抱かれてみたかった

あれは五月の雨の夜
今日で十五という時に
安い指輪を贈られて
花を一輪かざられて
愛と云うのじゃないけれど
私は捧げてみたかった

あれは八月暑い夜
すねて十九を越えた頃
細いナイフを光らせて
にくい男を待っていた
愛というのじゃないけれど
私は捨てられつらかった

そうしてこうして暗い夜
年も忘れた今日の事
街にゆらゆら灯りつき
みんな祈りをする時に
ざんげの値打ちもないけれど
私は話してみたかった


9.プカプカ

作詞:象狂象
作曲:象狂象

俺のあん娘はたばこが好きで
いつもプカプカプカ
体に悪いからやめなっていっても
いつもプカプカプカ
遠い空から降ってくるって言う
倖せってやつがあたいにわかるまで
あたいたばこをやめないわ
プカプカプカプカプカ

俺のあん娘はスウィングが好きで
いつもドゥビドゥビドゥビ
下手くそなうたはやめなっていっても
いつもドゥビドゥビドゥビ
あんたがあたいのどうでもいいうたを
涙ながしてわかってくれるまで
あたいうたはやめないわ
ドゥビドゥビドゥビドゥビドゥビ

俺のあん娘は男が好きで
いつもHuHuHuHuHuHu
おいらのことなんかほったらかしで
いつもHuHuHuHuHuHu
あんたがあたいのねた男たちと
夜が明けるまでお酒のめるまで
あたい男やめないわ
HuHuHuHuHuHuHuHuHuHu

俺のあん娘はうらないが好きで
トランプスタスタスタ
よしなっていうのに俺らをうらなう
おいら明日死ぬそうな
あたいのうらないがピタリとあたるまで
あんたとあたいの死ねる時わかるまで
あたいうらないやめないわ
トランプスタスタスタ


10.俺たちの旅

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

夢の坂道は木の葉模様の石畳
まばゆく白い長い壁
足あとも影も残さないで
たどりつけない山の中へ
続いているものなのです

夢の夕陽はコバルト色の空と海
まじわってただ遠い果て
輝いたという記憶だけで
ほんの小さな一番星に
追われて消えるものなのです

背中の夢に浮かぶ小舟に
あなたが今でも手をふるようだ
背中の夢に浮かぶ小舟に
あなたが今でも手をふるようだ

夢の語らいは小麦色した帰り道
畑の中の戻り道
ウォーターメロンの花の中に
数えきれない長い年月
うたたねをするものなのです

背中の夢に浮かぶ小舟に
あなたが今でも手をふるようだ
背中の夢に浮かぶ小舟に
あなたが今でも手をふるようだ


11.今日までそして明日から

作詞:吉田拓郎
作曲:吉田拓郎

私は今日まで生きてみました
時には誰かの力を借りて
時には誰かにしがみついて
私は今日まで生きてみました
そして今私は思っています
明日からもこうして生きて行くだろうと

私は今日まで生きてみました
時には誰かをあざ笑って
時には誰かにおびやかされて
私は今日まで生きてみました
そして今私は思っています
明日からもこうして生きて行くだろうと

私は今日まで生きてみました
時には誰かに裏切られて
時には誰かと手をとり合って
私は今日まで生きてみました
そして今私は思っています
明日からもこうして生きて行くだろうと

私には私の生き方がある
それは おそらく自分というものを
知るところから始まるものでしょう
けれど それにしたって
どこでどう変わってしまうか
そうです わからないまま生きて行く
明日からの そんな私です

私は今日まで生きてみました
私は今日まで生きてみました
私は今日まで生きてみました
私は今日まで生きてみました

そして今私は思っています
明日からもこうして生きて行くだろうと


12.チューリップ(新曲)

作詞:松本隆
作曲:JY Choi

君は言葉を選んで
とても言いにくそう
ぼくを傷つけないように
斜め横を見てた

不意の別れ
予感してたから
表情変えず
でも心は凍った

こんな風に理性を
制御できるって
誉めてほしかった
ぼくたちは大人だと

同じ夢を
追いかけた道も
今は遠く
平行線描いて

楽しい思い出ばかり
浮かぶ 不思議にね
君のいなくなる
この部屋の広さにも
慣れなきゃ

チューリップの球根から
根があんなにでてる
フラスコ越し 陽がキラキラ
奇麗ねと君が言う

庭の花壇に埋めて
あとは育てるよ
花が見れなくて
残念ね そう微笑う

あんな愛注いでも
日々は枯れてった
それは君のせいじゃなく
ぼくのわがまま


13.あの日、桜の下

(新曲)
作詞:川村結花
作曲:川村結花

あの日、桜の下 一人見てた空のように
どこまでもどこまでも 未来は広がってた

あの日、桜の下 待ち合わせた校舎の外
はじめて名前で 呼ばれてうつむいた

距離を縮めたくて もどかしすぎた帰り道
そっと手をかさねたら 微笑んでくれた人

確かなものなど なにひとつなかった 遠い春よ

あの日、桜の下 淡い日差しに包まれて
こんな日がいつまでも 続くと思ってた

あの日、桜の下 花びら舞い落ちるホーム
待っててほしい、って 言葉にうなづけずに

急ぎ乗った電車 一人ドアにもたれながら
遠ざかる町並みを ぼんやり見送ってた

確かな何かを 探し始めていた 遠い春よ

あの日、桜の下 二人通い詰めた店も
今ではがらんとした 灰色の駐車場

ゆずれないと泣いた 夢の果てが今としたら
こんなにも立ち止まる 毎日はどうして?

確かなものなど 見つけられないまま 今も今でも

そして、桜の下 いくつ春を見送っても
どこまでもこの路を 歩いて行くのでしょう
いつの日もいつまでも 歩き続けるでしょう